金の脱税方法を知れば一発でアウト。脱税が増えている理由をわかりやすく

金密輸が急増する日本の現状とは?最新統計から読み解く問題の深刻さ
近年、日本で摘発される脱税事件の中でも、特に金の密輸による消費税脱税が急激に増えています。 財務省の最新発表によれば、直近の摘発件数は約300件に達し、そのうち6割が金密輸に関連するものでした。 さらに深刻なのは、脱税額ベースでは約9割が金密輸によるもので占められている点です。 これは金密輸が「少ない件数で巨額の脱税を生む」極めて効率の高い犯罪になっていることを示しています。
なぜ金だけがこれほど多いのか?市場の特徴に秘密がある
金は世界共通の価値を持つ資産であり、どの国で購入しても基本的には価値が同じです。 そのため、為替リスクが小さく、持ち運びが容易で、価格の変動も比較的安定しています。 こうした特性により、金は「密輸しやすく、換金しやすい」という特徴を持ち、犯罪組織にとって魅力的な対象になります。 特に2023年以降の金価格高騰により、1kg当たりの価値は900万円前後に到達し、密輸1回あたりのリターンがさらに高まっています。
財務省も警戒を強めるほどの急増ぶり
税関では、金密輸の手口が年々巧妙化していることを強く警戒しています。 空港の荷物検査や金属探知機の強化、AIを活用した行動分析の導入など対策は進みつつありますが、摘発件数が減る兆しはありません。 むしろ「取り締まり強化に対応して手口が進化している」というのが現場の実感です。 身体への密着、衣服内に隠匿、郵便による分割送付など、新しい方法が次々に使われています。
摘発されても依然として増える理由は“利益の大きさ”
金密輸は摘発されるリスクがあっても、なお多くの人が手を出すほど利益率が高いのが特徴です。 理由はシンプルで、海外では消費税がかからず、日本国内で販売する際には10%の消費税を上乗せできるからです。 この10%がそのまま利益になるため、金額が大きくなるほど密輸による旨味も大きくなります。 1kg=900万円規模の取引であれば、単純計算で90万円の脱税が成立します。 犯罪組織にとっては、これが大きな資金源となっているのです。
社会問題としての金密輸の深刻化
金密輸は単なる税金の問題にとどまりません。反社会勢力の資金源となり、国際的な犯罪ネットワークとも結びついています。 日本の税制の構造が悪用されている現状を踏まえると、もはや経済問題であり安全保障にも関わる問題になっています。 この急拡大する潮流を理解することが、金密輸問題を正しく捉える第一歩です。 次のパートでは、なぜここまで金密輸が増加するのか、その核心となる「消費税の仕組み」について詳しく解説します。
金密輸がなぜ急増するのか?鍵は“消費税の構造”にある
日本で金密輸がここまで増える最大の理由は、非常にシンプルです。それは「海外では金の購入時に消費税がかからない」一方で、「日本に持ち込むと10%の消費税が課される」という税制の仕組みにあります。この“差”を悪用することで、密輸業者は簡単に大きな利益を得られます。ここに金密輸が急増する本質的な背景があるのです。
海外で金を買うと消費税がゼロ。そのまま密輸すれば利益が丸ごと残る
YouTube動画の中でも語られていたように、海外で金を買う場合、ほとんどの国では消費税がかかりません。例えば100万円の金を海外で購入しても、支払いは100万円のみで済みます。問題はここからです。本来であれば日本に帰国する際、税関で申告し、10万円の消費税を納める必要があります。これを怠る、あるいは意図的に隠すことが「密輸」となります。
密輸による利益モデルは“10%の消費税分”が丸ごと利益になる
例えば、海外で100万円の金を無申告のまま日本へ持ち込んだとします。そして国内で110万円(100万円+消費税10万円)で販売すれば、10万円がそのまま利益になります。しかも金は世界価格が統一されているため、どこの国で買っても大きく値段が変わりません。このため「海外で買って、そのまま日本で売るだけ」という単純な構造で利益が成立します。
金額が大きくなるほど“密輸の旨味”は指数関数的に増える
金価格の高騰により、1kgの金は900万円前後で取引されています。密輸を行えばその10%である90万円分の消費税を脱税できる計算になります。もし1kgではなく10kgを密輸した場合、利益は900万円という巨額に膨らみます。この利益率の高さが、組織犯罪を引き寄せる最大の理由です。
個人でも利益が出る構造だが、法律上は明確な“脱税”に該当する
動画でも説明されていたとおり、たとえ一般の個人であっても金を海外で買い、日本に持ち込む際には必ず消費税を払う義務があります。これは海外旅行者でも例外ではありません。申告を怠れば、たとえ小口であっても“脱税”と判断されます。法律は非常に厳格で、金額にかかわらず「申告するかどうか」で判断されます。
逆に、正しい手続きで輸入すれば利益はゼロになる仕組み
本来のルールに従った場合、海外で100万円の金を買って日本に持ち込む際には10万円を納めて110万円の取得価格になります。これを国内で売る場合、110万円で販売するか、110万円以上で売って初めて利益が生じます。しかし金価格が上昇していなければ利益は出ません。つまり、正規ルートでは金の輸入は大きく儲からないのです。
ではなぜ密輸が止まらないのか?利益とリスクのバランスが偏っている
「税関で見つかれば没収されるリスクがあるのに、なぜ減らないのか?」という疑問が生まれます。その答えは、リスクに比べて得られる利益が大きすぎるという点にあります。10万円〜100万円単位の利益が短時間で得られるため、組織的な密輸団はもちろん、個人までもが誘惑に負けてしまうのが実情です。税関が取り締まりを強化しても、犯罪側の“工夫”がすぐに新しい穴を突いてきます。
金密輸が増える“制度上の弱点”とは?
金密輸の増加は単なる犯罪増加の問題ではありません。日本の消費税制度の構造が「海外で安く買って日本で売るほど得をする」という状況を生み出してしまっている点が最大の弱点です。本来は輸入時に税金を課すことで課税の公平性が保たれるはずが、密輸という抜け道を使われることで制度が形骸化しています。これこそが、金密輸という問題が拡大し続ける本質的な原因なのです。
次のパートでは、実際にどのような手口で金密輸が行われているのか、具体的な密輸の仕組みと利益モデルを詳しく解説していきます。
金密輸の手口はどう進化しているのか?最新の具体例から見る実態
金密輸が増加する背景には、消費税という制度上の弱点に加え、手口が年々巧妙化しているという現実があります。空港の金属探知機やAI監視が進化しても、密輸は止まりません。ここでは現在主流となっている密輸の方法と、その背後にある収益モデルについて解説します。
代表的な金密輸の手法1:身体への密着・衣服内への隠匿
動画中でも触れられていたように、もっとも多い手口は身体に金を密着させて持ち込む方法です。ウエスト部分に巻き付ける、太ももにベルトで固定する、下着の中に隠すなど、極めて原始的ながら依然として使われ続けています。金は高密度で小型化しやすく、数百グラム〜1kg程度なら衣服内に収めることが可能です。税関が怪しまないと素通りできてしまうケースもあります。
代表的な手法2:荷物・スーツケースへの隠匿
スーツケースの二重底に隠す、日用品に紛れ込ませる、食品パッケージの内部に埋め込むなど、荷物型の密輸も一般的です。航空会社の乗り継ぎを利用し、チェックの緩い空港を経由するケースも確認されています。特に金インゴットは形状が規則的なため、何かの“部品”として偽装されやすい特徴があります。
代表的な手法3:郵便・国際小包に小分けして送る方法
近年増えているのが、金を数十グラム〜数百グラム単位に分割して郵便物として日本へ送る方法です。小分けされることで税関のX線検査に見つかりにくく、複数便に分散されるためリスクが低くなります。動画内でも紹介されたように、郵便物を使った密輸は“組織的に”行われているケースが多く、犯罪グループが専門のルートを使っているとみられています。
代表的な手法4:航空機内への隠匿(座席下など)
YouTubeでも紹介されていた「座席下に金塊5kgを隠す」という事例のように、航空機内に金を持ち込み、到着後に回収する手口も存在します。航空会社のセキュリティの盲点を突く方法ですが、重量や金属反応から発見されるケースが増えています。とはいえ一度成功すれば数百万円単位の利益が得られるため、完全に無くなる気配はありません。
代表的な手法5:虚偽申告・数量の分散
税関でわざと少量だけ申告し、残りを隠すという“二重構造型”の密輸もあります。例えば、表向きには指輪やネックレス数点だけ申告し、実際にはインゴットを衣服内に隠すといった手口です。税関職員が書類で安心した隙を突く方法であり、組織的な密輸で多用されます。
密輸が成立する「10%利益モデル」の具体例
金密輸の利益は非常に明確で、海外購入金額 × 10%=脱税利益というシンプルな計算で成り立ちます。例えば以下のようなモデルです。
- 海外で1000万円分の金を購入(消費税ゼロ)
- 密輸に成功し日本国内へ持ち込む
- 買取業者へ1100万円で売却(消費税10%が上乗せされる)
- 100万円がそのまま利益になる
つまり、密輸する量が増えれば増えるほど、利益は比例して増えていきます。動画でも触れられていた通り、金価格が上昇するほど消費税の額も増えるため、1kg当たりの利益が指数関数的に大きくなる構造です。
なぜ買取業者は消費税分を上乗せして買い取るのか?
買取業者が金を買い取る際、消費税10%を上乗せして支払うのが一般的です。これは金の売買が消費税の対象だからです。売り手が個人であっても、業者が支払う価格には消費税が含まれます。この制度があるため、密輸業者は「消費税10%を丸ごと利益にできる」構造になります。
個人は税務申告が必要だが、消費税申告は不要という“落差”も悪用される
個人が金を売却する場合、所得税の対象となることはありますが、消費税の申告義務はありません。動画で説明されていたように、事業者ではない一般人は免税事業者に該当します。この“誤解されやすいルール”が結果として悪用されることもあり、密輸→個人売却への流れが温存されている現状があります。
密輸を支えるのは「低リスク×高利益」という構造
税関のチェックをすり抜ければ、ほぼ確実に大きな利益が得られるため、組織的・継続的に密輸を試みるグループは後を絶ちません。罰則が強化されても、成功した際のリターンが大きすぎるため、リスクとリターンのバランスが犯罪側に極めて有利なのです。
次のパートでは、密輸ルートの国際的な広がりや、反社会勢力・海外組織犯罪がどのように関与しているのかについてさらに踏み込みます。
金密輸はどこから来るのか?国際ルートの実態を徹底解説
金密輸は単なる個人による脱税行為ではなく、近年では国際的な犯罪ネットワークが関与する高度なビジネスモデルへと変化しています。税関が摘発を繰り返しても件数が減らない背景には、海外から日本へ流入する複数の密輸ルートが存在し、組織的に運営されているという現実があります。
主要ルート1:香港・台湾など「金の取引が盛んな地域」
最も一般的な密輸ルートは、香港や台湾といった金取引が活発な地域から日本へ持ち込むケースです。これらの地域では金の流通量が多く、市場価格も透明性が高いため、大口の金塊を仕入れやすい環境が整っています。また、飛行機の便数が多く、渡航しやすいため、金を購入して即日日本へ持ち込むことも可能です。
主要ルート2:韓国を経由した「迂回ルート」
韓国を経由する迂回ルートも多く確認されています。直接日本へ入るよりも、韓国からの入国のほうが税関チェックが緩いと誤解してルートを選ぶ密輸者が存在するためです。実際には韓国からの流入でもチェックは厳しいものの、犯罪組織は“少しでもリスクの低いルート”を常に探しています。
主要ルート3:東南アジアからの低価格購入ルート
タイ・マレーシア・シンガポールなど、東南アジアの金市場を利用した密輸も広がっています。特にシンガポールは金の取引が盛んで、税制も輸出入に寛容であるため、金塊の調達拠点として利用されるケースがあります。動画でも紹介されていたように、航空貨物で15kgの金塊を密輸しようとした事例も報告されています。
海外からの“郵送ルート”が急増する背景
国際郵便や宅配サービスを使い、金を数十グラム単位に分割して送る手口も一般化しています。X線検査で発見されにくく、大量の荷物に紛れ込ませることで発見率が下がります。特に組織犯罪では、複数の送り主・宛先を使い分けることで追跡を困難にしています。
組織犯罪が深く関わる理由は“高回転で資金が動く”から
金は世界中で換金でき、価格も安定しているため、組織犯罪にとっては資金洗浄(マネーロンダリング)に最適な資産です。密輸→換金→再投資という流れを繰り返すことで、大量の資金を短期間で循環させることができます。反社会勢力や海外犯罪組織が金密輸に参入しているのは、まさにこの理由からです。
反社会勢力による“運び屋ネットワーク”の存在
金密輸の多くは運び屋(いわゆる「キャリア」)を使って行われます。組織は運び屋に数万円〜数十万円の報酬を支払い、航空機で金を運ばせます。1回の成功で組織側は数百万円を得るため、運び屋への報酬は安い労働コストとして扱われています。失敗しても組織の損失は限定的ですが、運び屋本人は重い法的責任を負うことになります。
国際的な犯罪ネットワーク化が進む理由
金密輸は「金がある国」から「消費税が高い国」へ流れる構造が基本です。そのため、日本は税率が高い=利益が出やすい市場として世界の犯罪組織に認識されています。最近では、複数の国籍を持つ運び屋が摘発されるケースが増えており、金密輸がもはや日本国内だけの問題ではないことが明らかになっています。
次のパートでは、税関の取り締まりが強化されているにもかかわらず、なぜ密輸が減らないのか。その理由を「制度」「取締り」「犯罪側の進化」という視点から詳しく解説します。
取り締まりは年々強化されているのに、なぜ金密輸は減らないのか?
財務省・税関は金密輸の急増を受け、検査体制を大幅に強化しています。しかし最新統計では、摘発件数も脱税額もむしろ増え続けています。「取り締まりが強くなるほど犯罪は減る」―本来はそうあるべきですが、金密輸だけは例外的に増加しているのです。その理由を正しく理解することが、金密輸問題の本質を捉える鍵になります。
税関はどこまで強化しているのか?最新の取り締まり状況
空港や港湾では、以下のような対策がすでに日常的に行われています。
- X線検査の精度向上
- 金属探知機の強化と新型機器の導入
- AIによる行動パターン分析
- 荷物検査の頻度増加
- 郵便物の抜き取り検査を拡大
動画でも触れられていた通り、税関は金を検知する専用装置も導入し、密輸の早期発見に努めています。特に空港では、金塊を身体に密着させて隠す方法が広く知られているため、身体検査の厳格化も進んでいます。
それでも密輸が続く理由1:利益が圧倒的に大きすぎる
最大の理由は、密輸によって生じる利益の大きさです。海外で金を購入し、日本国内で売却すれば、10%の消費税分がそのまま利益になります。例えば1kgの金(約900万円相当)を密輸した場合、90万円が“丸ごと利益”です。10kgなら900万円に増えます。この莫大な利益が、密輸を「ハイリスク・ハイリターン」ではなく、「ミドルリスク・ハイリターン」の犯罪に変えてしまっています。
理由2:密輸の成功確率がゼロではない(むしろ高いと錯覚されている)
税関が対策を強化しても、すべての密輸を防ぐことは不可能です。1日に日本へ入国する人数は膨大であり、荷物検査の対象も限られています。このため、「運が良ければ通れる」「自分は大丈夫」という心理が働き、密輸に手を染める人が後を絶ちません。組織犯罪は複数の運び屋を同時に使うため、たとえ一部が摘発されても“成功率は十分に高い”という判断を下します。
理由3:手口が進化し続け、取り締まりと“イタチごっこ”になっている
動画でも紹介されていたように、金密輸の手口は非常に多様化しています。
- 身体への密着(下着・ベルト・太もも)
- 二重底のスーツケース
- 食品パッケージへの埋め込み
- 座席下への隠匿
- 郵便物に小分けして送付
税関が特定の方法を取り締まれば、すぐに別の方法が使われるという構造になっており、完全なブロックは実質不可能です。
理由4:罰則が利益に比べて弱く、犯罪抑止力が効きにくい
密輸が摘発されれば金の没収や罰金が科されます。しかし、それでも「成功した場合の利益>摘発された場合の損失」という状況が続いています。また、運び屋本人は重いリスクを負いますが、背後にいる組織はほぼノーダメージで、別の運び屋を補充すれば活動を継続できます。この構造が密輸ビジネスを支えています。
理由5:金価格の上昇で“密輸の旨味”が増し続けている
2023〜2025年にかけて金価格はさらに上昇し、1kgあたりの価値は過去最高水準に近づいています。価格が上がるということは、10%の消費税額も増えるということです。つまり、金価格が上昇する限り、密輸による利益は増え続け、犯罪者にとっての魅力も高まり続けます。
理由6:制度の“抜け穴”が残っている
本質的な問題は、海外では消費税がかからず、日本で売ると10%が上乗せされるという制度構造にあります。この差を利用できる限り、密輸は根絶できません。税関だけでは対処できず、制度そのものを見直す必要があると専門家も指摘しています。
次のパートでは、金価格高騰が密輸にどのような影響を与えているのか、そして今後さらに増えるのかどうかを、最新の市場動向を踏まえて解説します。
金価格の高騰が密輸を加速させる?市場動向から読む“密輸バブル”の実態
金密輸の増加は、消費税制度だけが原因ではありません。近年続く金価格の歴史的な高騰が、密輸をより強力に後押ししています。金の価値が上がるということは、その10%である消費税額も同時に増えるため、密輸によって得られる利益も拡大します。ここでは金価格の上昇要因と、密輸との直接的な関係、そして今後の見通しについて解説していきます。
2023〜2025年の金価格はなぜ上がり続けているのか?
近年の金価格高騰の背景には、以下の国際要因が複数重なっています。
- 世界的なインフレ加速(資産の逃避先として金が買われる)
- 地政学リスクの増大(中東・欧州情勢の不透明化)
- 円安ドル高の長期化(円建ての金価格が上昇しやすい)
- 各国中央銀行の金保有量増加(特に中国・ロシア)
これらの要因が重なり、金の国際価格は史上最高値に近い水準で推移しています。日本国内では円安効果が加わり、1gあたりの金価格は過去最高を複数回更新しています。
金価格の上昇は密輸の利益を“倍増”させる
金密輸の利益は非常にシンプルで、金の価格 × 10%=消費税分の利益という計算です。つまり金価格が上がれば、密輸業者の利益も自動的に増えることになります。例えば:
- 金が1kg=600万円の時 → 消費税=60万円
- 金が1kg=900万円の時 → 消費税=90万円
- 金が1kg=1000万円に到達した場合 → 消費税=100万円
金価格が高騰すればするほど、密輸の“旨味”は指数関数的に大きくなります。これは、犯罪者にとって「リスクは同じなのにリターンだけ増える」状態を意味します。
買取業者が消費税を上乗せする仕組みも密輸利益を後押しする
国内の買取業者は、金を買い取る際に10%の消費税を上乗せして支払います。これは合法的な取引のルールとして定着しているため、密輸業者は「持ち込めば確実に10%利益が出る」という前提で動けます。市場が整備されていることが皮肉にも犯罪を助長する形になっているのです。
金価格上昇と密輸件数には“密接な相関関係”がある
金価格が上昇局面に入ると、密輸摘発件数も増加する傾向があります。動画でも紹介されていたように、密輸の動機は非常にわかりやすく、金額が大きくなればなるほど消費税の脱税額も大きくなり、犯罪としての魅力が増します。金相場と密輸の動きは、まさに連動していると言っても過言ではありません。
金が“運びやすい資産”であることも密輸を加速させる
金は高密度で、少量でも高額です。1kgの金はスマートフォン程度の大きさしかありません。これほど小型で価値が高い資産は他にほとんどなく、持ち運びのしやすさが密輸犯罪と極めて相性が良いと言えます。金価格が上がれば、同じ体積でより高額になるため、密輸に使われる金塊は年々“小型化・高額化”しています。
金価格高騰は今後も続くのか?専門家の見通し
多くの国際金融機関は、以下の理由から金価格は中長期的に上昇しやすいと予測しています。
- 世界的なインフレと金融緩和が続く可能性
- 地政学リスクの収束が見込めない
- ドル基軸通貨の不安定化が進行
- 各国中央銀行による積極的な金購入が継続
このため、金密輸は2025年以降も“減る”どころか、さらに増加する可能性が高いと考えられています。
金価格上昇が社会にもたらす“負の影響”
金密輸が増えれば税収が減るだけでなく、反社会勢力の資金源が拡大し、犯罪市場が活発化します。密輸が増えれば税関の負担も増大し、正規の流通業者や個人の取引にも影響が及びます。金価格の上昇は経済的にはプラスの要素もありますが、密輸においては明確に“負の連鎖”を招いているのです。
次のパート7では、こうした金密輸の増加に対して日本が今後どのような対策を取るべきなのか、そして企業・個人が注意すべきポイントについて解説します。
金密輸の急増は止まるのか?今後の制度改革と社会が取るべき対策
金密輸は、単なる個人の脱税問題ではなく、日本の税制や国際犯罪構造に深く関係する重大な社会問題へと発展しています。摘発件数・脱税額が過去最高を更新する中、今後どのような対策が必要なのか。ここでは「制度」「税関」「企業・個人」の3つの視点から、日本が取るべき対応と今後の見通しを整理します。
制度改革の論点1:消費税制度の“抜け穴”の見直し
金密輸が増えている根本原因は、海外では消費税がかからず、日本では販売時に10%上乗せされるという構造的なギャップです。この差を悪用され続ける限り、密輸は完全には防げません。そのため、政府内では以下のような改革案が議論されています。
- 金の輸入に対する課税方式の変更
- 「金の売買」そのものの課税方法の再検討
- 一時的な免税制度の整理・適正化
消費税を大幅に変更することは難しいものの、「金だけ別枠での制度」を設ける可能性が専門家から指摘されています。
制度改革の論点2:個人の持ち込みルールの厳格化
動画でも説明されていた通り、日本では1kg以上の金を持ち込む際は申告義務があります。しかし、現状では一般旅行者が誤解しやすい点が多く、ルールの認知不足から密輸が起きるケースもあります。今後は以下のような改善が必要です。
- 空港での“金の持ち込みルール”の明確化
- 旅行者向けの案内強化(多言語対応)
- 帰国者への申告フローのデジタル化
こうした施策により、悪意のない「無申告」を減らし、意図的な犯罪に対して取り締まりを集中させることが可能になります。
税関が強化すべきポイント:検査の効率化とデジタル連携
税関はすでに対策を強化していますが、密輸手口が巧妙化する中で、新たなアプローチが求められています。
- AIとデータ解析を活用した“行動分析型”の検査
- 海外税関との情報交換(国際協力の強化)
- 郵便物流への監視システム拡大
- 高リスク渡航パターンの自動識別
金密輸は一国だけでは対処できないグローバル犯罪であるため、国際連携がますます重要になります。
買取業者が取るべき対策:本人確認と取引履歴の厳格化
金密輸は「日本国内で売れる」から成立します。そのため、買取業者が対策を強化することも密輸防止の鍵です。業界ではすでに本人確認が義務化されていますが、今後は以下のような対応が求められます。
- 「短期間で大量の金を売却する人物」への重点確認
- 取引履歴のデジタル管理と共有
- 高額取引時の追加書類(購入証明)の確認
これにより、密輸された金が堂々と市場に出回ることを防ぎ、犯罪組織の資金源を断つことができます。
個人が注意すべきポイント:知らないうちに“脱税”になる可能性
動画でも強調されていたように、個人が海外で金を購入して日本へ持ち込む場合でも消費税は必ず発生します。つまり、以下の行為はすべて脱税に該当します。
- 海外で買った金を申告せずに帰国する
- 「元から持っていた」と虚偽申告をする
- 郵便で金を送って税関を避ける
知らなかったでは済まされず、悪質と判断されれば罰金や刑事責任を問われる可能性があります。特に、金価格が高騰する現在はリスクも高いため、正しい知識が不可欠です。
今後、金密輸は“減る”のか、それとも“さらに増える”のか?
結論から言えば、現時点の状況・金価格の動き・制度構造のままではさらに増加する可能性が高いと考えられます。理由は以下の通りです。
- 金価格は今後も高水準が続くと予測されている
- 消費税制度の構造はすぐには変わらない
- 密輸手口は進化し続ける
- 国際犯罪組織が参入している
つまり、金密輸には「利益が増える理由」が多く、「減る理由」が少ないのです。抜本的な制度改革と国際連携なくして、この問題が解決することはありません。
金密輸を理解することが、正しい税知識と安全な取引につながる
金密輸は、税制の理解不足が犯罪を招く典型例のひとつです。正しい知識を持つことで、自分が意図せず脱税に関与してしまうリスクを避けられるだけでなく、社会的な犯罪抑止にもつながります。今後、金密輸はより複雑で巧妙化し、日本社会全体の課題となることが予想されます。







ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません