財務省を封じた25兆円衝撃 高市政権と片山大臣の補正予算戦略

高市政権が掲げる積極財政と大規模補正予算の方針

高市政権は発足当初から、国民生活を守るために「大胆な積極財政」を進める姿勢を明確にしています。特に物価高が長期化し、医療や介護の現場で赤字が拡大している現在、財政出動は避けられない状況です。成長産業への投資、物価高対策、中小企業の支援、さらに国土強靭化などを同時に進めるためには、従来の枠を超えた補正予算が不可欠だと判断されています。

政府内では、デフレ圧力の再来を防ぐためにも、早期に実効性のある財政出動が必要とされました。高市首相は「投資をためらう時期ではない」と繰り返し発言しており、社会保障や安全保障を含めた多方面への財源投入を指示しています。この前向きな方針が、今回の大規模補正予算の土台となっています。

片山財務大臣の初動と“17兆円案”の伏線

片山財務大臣は就任直後の会見で、補正予算の必要性を丁寧に説明しました。しかし、その段階では具体的な金額を明言しませんでした。これは単なる慎重姿勢ではなく、水面下で財務省との激しい折衝が続いていたためです。財務省は従来の方針として「プライマリーバランス黒字化」を最優先する組織であり、積極財政とは本質的に相性が悪いという背景があります。

片山大臣の会見では、医療・介護分野の深刻な赤字、企業のコスト負担増、物価高による生活圧迫などを踏まえ、幅広い支援策が必要であることを述べました。ただし予算規模には触れず、あえて曖昧にした形です。この“沈黙”こそが伏線であり、財務省との攻防がすでに始まっていたことを示しています。

13.9兆円の壁と、大規模補正をめぐる緊張関係

2023年度の補正予算は13.9兆円であり、当時は「大規模予算」と位置づけられました。この数字が財務省にとって基準値となり、今回も「13兆円台で抑えたい」という強い意向がありました。しかし、高市政権の政策はそれを大きく超える規模を必要としており、片山大臣の考える“最低限のライン”は17兆円と見られていました。

とはいえ、財務省の抵抗は強固です。予算編成過程で、情報開示を渋る、査定を通さない、内部で大臣を孤立させるなど、さまざまな圧力が発生していたと報じられています。この構図の中で片山大臣が数字を出さなかったのは、財務省に早期にターゲットを絞られないための戦略的判断だった可能性が高いと言えます。

高市政権の経済方針と補正予算拡大の必然性

高市首相が掲げる政策の中心は「成長と安全保障の両立」です。成長産業への投資は、短期的な景気刺激だけでなく、中長期の国力強化にも直結します。また物価高の影響を最も受けるのは生活者と中小企業であり、これらの層を支えなければ国全体の消費が落ち込み、景気回復が遅れる恐れがあります。

こうした背景から、高市政権は今年の補正予算を「日本経済の転換点」と位置づけ、大規模な財政出動を決断しました。17兆円という規模が現実味を帯びたのは、実は片山大臣だけの判断ではなく、議連や各省庁の意見、そして財務省の抵抗を織り込んだ結果とも言えます。これが後に“25兆円の衝撃”へとつながる流れを作ることになります。

財務省が積極財政を嫌がる本当の理由とは

高市政権が積極財政を掲げる一方、財務省は従来通り「支出抑制」を基本姿勢としています。理由の中心にあるのが、長年続けてきた「プライマリーバランス(PB)黒字化目標」です。これは国債の利払いと償還を除く基礎的財政収支を黒字にすることを意味し、財務官僚にとっては実質的な“成果指標”となっています。PBを守るほど評価され、出世にもつながる構造が存在するため、積極財政は本能的に受け入れにくいのです。

さらに、PB黒字化の背後には政治と民間企業の関係も影響しています。大企業は法人税引き上げを避けたい一方で、財政改善には税収確保が必要となるため、財務省は消費税を中心とした税収維持を優先する傾向があります。このバランス構造により、財務省は「支出を増やす=PB悪化=評価が下がる」という意識から抜け出せないのです。

財務省が固執するプライマリーバランス黒字化の背景

財務省がなぜここまでPBにこだわるのか。それは「健全財政こそ日本経済を守る」という伝統的な信念に基づいています。官僚組織は、国債残高の増加を危機と捉え、国際的信用の維持も重要視しています。この価値観自体は理解できますが、問題は日本経済がデフレ圧力や物価高といった構造変化に直面している現実です。国民生活を守るためには、支出拡大が必要な局面があるにもかかわらず、財務省は基本姿勢を変えないのです。

こうした財務省の論理は、近年の経済状況と噛み合わない場面が増えています。特に高市政権が目指す「成長投資と生活支援の両立」は、PB黒字化よりも優先すべき課題が明確です。にもかかわらず財務省が抵抗する背景には、歴史的な組織体質と評価制度が深く関わっています。

財務省が行った3つの抵抗:サボタージュ・情報非開示・査定拒否

水面下で報じられた財務省の動きとして、まず「サボタージュ」があります。これは片山財務大臣を省内で孤立させ、周囲との連携を弱めることで政策推進力を削ぐ方法です。大臣が「官僚の協力を得られない状態」に置かれると、予算編成の調整が難しくなるため、財務省側には大きな武器となります。

次に「情報非開示」です。予算や税制、さらには政党や野党の動向など、財務省は他省庁に比べても圧倒的な情報量を持っています。ここを締められると、大臣の判断材料が減り、政策決定力が低下します。官僚側は「最低限の情報しか出さない」という姿勢を取ることで、大臣に圧力をかけることが可能になります。

財務省の最大の武器「査定拒否」が予算を止める

財務省が持つ最も強力な権限は「各省庁の査定を通さない」ことです。これは事実上、政策を“止める”行為に等しく、高市政権の掲げる成長投資も、査定を通さなければ実現しません。報道では、今年に入ってから複数の省庁が「予算要求が通らない」「理由が示されない」といった状況に直面したとされています。

財務省としては、補正予算を13兆円規模に抑えたい思惑がありました。これは2023年度補正の13.9兆円を基準とし、それを超える拡大を避けるための防衛ラインでもありました。しかし、この抵抗が強まるほど、政権側の危機感も増し、最終的に“議連による25兆円カウンター”の引き金となることになります。ここから状況は一変し、財務省の戦略は崩れ始めたのです。

積極財政議連が示した「補正25兆円」という衝撃

11月17日、自民党内の積極財政議連が公式に「補正予算25兆円が妥当」と発表しました。この数字は財務省が目指していた13兆円台を大きく超えるだけでなく、片山財務大臣が想定していた17兆円規模も一気に飛び越えるものです。議連が出した25兆円案は、単なる強気の提言ではなく、物価高対策、中小企業支援、防衛力強化、国土強靭化などを積み上げた上で導き出された数値として説明されました。

特に、トランプ前政権による関税強化の影響、中小企業のコスト上昇、防災投資の必要性など、複数の政策領域が同時に負荷を受けている現状では、10兆円程度の追加支出では不十分と判断されています。議連は「いま拡大投資を行わなければ経済が停滞し、国民生活の防衛もままならない」と強調しました。これにより25兆円という数字は、裏付けのある“現実的な積み上げ案”として受け止められることになりました。

25兆円提言が財務省への“強烈なカウンターパンチ”となった理由

この25兆円案が財務省にとって最も痛烈だったのは、「財務省の13兆円案」が完全に世論の土俵から外れたことです。財務省は従来、補正予算は13兆円台が限界だと主張してきました。しかし議連が正式に「25兆円が必要」と公表したことで、13兆円案は国民から見ても“縮小し過ぎ”だと捉えられやすい状況になりました。

また、議連は記者会見で「17兆円案では不十分」と明言し、片山大臣の想定よりももっと上を要求する形を取っています。この発言は一見すると片山大臣への批判にも見えますが、実はこれこそが戦略の肝です。議連をあえて強硬派として立たせることで、片山大臣を「財務省と議連の間のポジション」に移し、調整役として自然に“中間案(17兆円)”を成立させやすくする狙いがあったのです。

議連 vs 財務省 の対立構図が生んだ“板挟み戦略”

25兆円案の発表によって、政治構図は「高市政権・片山大臣 vs 財務省」というシンプルな対立から、「積極財政議連 vs 財務省」という別の軸が明確に浮かび上がりました。これにより、片山大臣は一気に中立的な調整役へとシフト。これが絶妙な状況で、財務省は議連の要求と世論の圧力を無視できない一方、片山大臣の17兆円案であれば“落とし所”として受け入れざるを得なくなっていきます。

財務省から見れば、議連は「25兆円」という到底受け入れられない数字を突きつけてきた“強硬派”に映ります。つまり財務省は、対立相手を片山大臣ではなく議連側にすり替えられた形になるのです。この構図変化こそが、カウンターパンチの核心部分です。財務省は25兆円に対抗して13兆円を押し通すことはできません。13兆円と25兆円の中間にある17兆円こそが、唯一の現実的ラインとして浮かび上がってきます。

数字の“盛り”こそが交渉の武器になる理由

議連の25兆円案は、単なる政治的アピールに留まりません。これは実際の政策決定プロセスに大きな影響を与える、「数字を戦略的に使う交渉術」でした。例えば米国のトランプ前大統領は、貿易交渉で高い関税率を示した後に大幅に引き下げることで、相手国に「譲歩した」と思わせる手法を用いていました。今回の議連案も同様で、あえて高い数字を提示し、そこから現実的な落とし所に導く狙いがあったと考えられます。

実際、議連の25兆円案が出た後、メディアも「17兆円規模で落ち着くのでは」と分析し始め、財務省も従来の防衛線を守り切れない状況に追い込まれました。議連の強硬な姿勢が世論を動かし、財務省の“従来型財政”が時代遅れに映るようになった点も重要です。この環境変化が、結果的に片山財務大臣の政策推進を後押しすることになりました。

議連の「25兆円」→17兆円への交渉術が奏功した背景

議連がまず25兆円という高い数字を提示した背景には、交渉の古典的手法が隠されています。これを実践することで、財務省は13兆円案を押し通せなくなり、代替案として17兆円が浮上することとなりました。まさに“高く吹いてから落とす”戦略です。片山財務大臣はその橋渡し役として立ち位置を整え、議連と財務省の間で調整を進める形となりました。

このような構図が成立した理由はいくつかあります。まず、議連が正式に数値を提示したことで世論が動き始めました。「13兆円では足りない」「25兆円なら本気だ」という声がメディアを通じて拡散されました。次に、財務省としては13兆円案を正面から守ることが難しくなり、かといって25兆円には手を出せず、現実的な“落とし所”である17兆円を受け入れざるを得なくなったのです。

今後の補正予算の行方と財務省の選択肢

では、17兆円案が確定すると、今後何が起きるのでしょうか。まず、財務省としては13兆円案を撤回せざるを得なくなった以上、17兆円を「やむを得ず受け入れる」形で了承する可能性が高まります。その時点で、積極財政を掲げる高市政権の主張が勝利したように見えるのです。

さらに、片山財務大臣は「単年度のプライマリーバランス黒字化を目指さない。複数年度で改善」と発言しました。これは財務省が長年掲げてきた方針を転換する重大なサインです。つまり、短期的に支出を拡大しても、数年後に収支を改善すれば良いという新たな考え方が制度的に受け入れられようとしているのです。

なぜ今、複数年度PB目標へと方針転換したのか

複数年度でプライマリーバランスを改善するという方針転換には、物価高・成長の遅れ・少子高齢化という日本経済の構造的課題が深く影響しています。単年度黒字を追い求めて支出を抑えてきた従来のモデルは、現実の経済環境にそぐわなくなってきています。高市政権はこの状況を“緊急対応”と捉え、今こそ財政出動のタイミングであると判断しました。

この方針転換により、財務省内部の論調も変化しつつあります。従来、財務省が単年度PB黒字化を頑なに守ってきた背景には評価制度がありましたが、今回「数年単位でバランスを取る」という発言により、組織全体に大きな波紋が広がっています。これは単なる補正予算の数字以上に、財政運営そのものの構図を変える可能性を秘めています。

結論:補正予算拡大は高市政権の転換点となるか

まとめると、今回の補正予算をめぐる攻防は、高市政権が掲げる積極財政の意思と、財務省が長年守ってきた枠組みの衝突から始まりました。議連が25兆円という高額案を提示することで、財務省を追い込んだうえで中間案17兆円を現実的な線として成立させる流れができています。

この過程は単なる予算規模の話ではありません。財務省のPB黒字化至上主義からの脱却、複数年度での収支改善という新たな財政運営モデルへの転換を意味します。高市政権にとって、この補正予算拡大が“政策実現の分水嶺”となる可能性があります。今後も推移を注視する必要があります。