租税特別措置法第84条の2の3第2項 わかりやすく解説

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租税特別措置法第84条の2の3第2項とは?制度の結論をわかりやすく解説

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、土地の相続登記を行う際に課される「登録免許税」を非課税にできる特例を定めた条文です。 特に、土地の価額が100万円以下のケースでは、通常であれば必要となる登録免許税が全額免除されます。 この制度は、所有者不明土地の増加を防ぐために作られたもので、土地を相続した人がスムーズに登記を行えるよう負担を軽減する目的があります。

通常、土地の相続による所有権移転登記には「固定資産税評価額 × 0.4%」という税率が適用されます。 しかし、この特例が適用されると、登録免許税が 0円 となります。 制度を簡潔にまとめると、以下の3点が結論です。

  • 土地を相続または遺贈で取得した場合に適用される
  • 課税標準となる土地の価額が100万円以下であることが条件
  • 所有権移転登記または所有権保存登記が対象

「土地の価額100万円以下」という点が特に重要で、固定資産税評価額が基準になります。 地方の土地では評価額が低いケースも多く、この制度を利用できる機会は決して少なくありません。

制度の目的は相続登記の促進と所有者不明土地の減少

国は近年、相続登記の放置によって発生する「所有者不明土地問題」に強い危機感を抱いています。 所有者がわからない土地は、公共事業・災害復旧・不動産取引など多方面で支障を生み、社会的損失は年間約2000億円にのぼると推計されています。

この問題を解消するため、2024年4月には相続登記が義務化され、未登記のまま放置することが法律上認められなくなりました。 つまり、国としては「相続を受けたら必ず登記をしてほしい」という強い方針を示しているのです。

そのため、本条文で定められた非課税制度は、相続登記を促すための「負担軽減策」として非常に重要な役割を持っています。 登記をしてもらうため、税金面でハードルを下げる狙いがあるのです。

誰がこの制度を使えるのか?対象者のポイント

非課税制度を利用できるのは、「個人」が相続または遺贈により土地を取得した場合に限られます。 法人が取得した場合には適用されません。 さらに、登記の種類は所有権移転登記(相続・遺贈)と所有権保存登記に限定されており、所有権抹消登記や抵当権設定登記などは対象外です。

制度の対象となる土地の価額は「相続登記を行う年の固定資産税評価額」が用いられます。 同じ土地でも、評価額は毎年変動することがあるため、年によって100万円以下になる場合と超える場合があります。 このため、特例の適用判断には最新の評価証明書の確認が欠かせません。

結論:相続登記を行うならまず確認すべき重要制度

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、小規模な土地を相続した人にとって大きな経済的メリットをもたらす制度です。 相続登記義務化により、登記を後回しにするメリットは完全になくなりました。 そのうえ、この制度を利用すれば、土地の規模や価額によっては登録免許税を支払う必要がなくなります。

「相続した土地が評価額100万円以下かどうか」を確認するだけで、余計な出費を避けることができる可能性があります。 登記を検討する際は、制度を正しく理解し、損をしないための判断材料としてぜひ活用してください。

なぜ租税特別措置法84条の2の3第2項は作られたのか?背景と目的をわかりやすく解説

土地の相続に関する登録免許税を非課税にするという制度は、単に税負担を減らすための“優遇策”ではありません。 この制度の背景には、日本全体で深刻化している「所有者不明土地」の増加という大きな社会問題があります。 国はこれを放置すると、公共事業や都市開発の妨げになり、経済損失が莫大な規模に達すると警告しています。 租税特別措置法第84条の2の3第2項は、この問題を抑制するための戦略として導入されました。

所有者不明土地問題とは?日本が抱える“見えない負債”

所有者不明土地とは、相続登記が行われていない、相続人が多数散在している、所在不明で連絡が取れないなどの理由により、現に誰が所有者なのか把握できない土地を指します。 法務省と国土交通省の調査では、所有者不明土地は全国で九州本島の面積を上回る規模に達しているとされています。 さらに、所有者不明土地による年間の経済損失は約1,800億〜2,000億円と試算されており、国レベルの課題となっています。

この問題が深刻化した原因の一つは、「相続登記が義務ではなかった」ことにあります。 長年、登記は任意であり、費用がかかることから後回しにされ、結果として登記が数十年放置されるケースが後を絶ちませんでした。 その積み重ねが、巨大な所有者不明土地問題へとつながっていったのです。

相続登記の放置が社会にもたらす悪影響

相続登記が行われない土地は、利用や管理ができずに放置されやすくなります。 これにより、以下のような問題が発生します。

  • 公共事業や道路整備が進められない
  • 災害時の復旧が遅れる
  • 放置された土地の荒廃による地域環境の悪化
  • 不動産市場の流動性が低下し経済成長を阻害

特に、国や自治体が災害復旧工事を行う際、所有者不明土地が工事の妨げとなり、復旧に数年単位の遅れが生じる例が報告されています。 別のケースでは、農地や山林が荒れ放題になり、地域住民からの苦情が増えるなど、地域の生活環境にも影響が及んでいます。

相続登記義務化との連動とその意味

こうした背景を受け、2024年4月、ついに相続登記が義務化されました。 これにより、不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。 正当な理由なく怠った場合、罰金の対象となります。

国としては、「相続登記の義務化」と「税負担の軽減(登録免許税の非課税)」をセットで導入し、国民がスムーズに登記を行える環境を整えようとしているのです。 つまり、義務化だけを進めるのではなく、相続登記に伴う費用負担も軽減し、実行しやすい仕組みを整備することを狙っています。

制度の核心:費用負担による登記の遅れを防ぐこと

相続登記が行われなかった理由の一つとして、「登記費用がかかる」という点が挙げられます。 登録免許税だけでなく、司法書士費用、評価証明などの諸経費を含めると、数万円〜十万円規模の支出が必要になるケースがあります。 その結果、特に価値の低い土地ほど「費用をかけてまで登記する必要がない」と判断され、放置されがちでした。

この悪循環を断ち切るため、国は「価額100万円以下の土地については、税金を0円にする」という大胆な措置を取ったわけです。 税負担を実質ゼロにすることで、特に地方の小規模な土地の相続登記が進みやすくなり、結果として所有者不明土地の発生を抑えることが期待されています。

制度が果たす役割と今後の展望

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、相続登記義務化と連動しながら、土地管理の効率化、公共事業の推進、不動産市場の安定化に寄与することが期待されています。 この制度が普及することで、相続人が登記を行うハードルが下がり、所有者不明土地の増加を抑制する効果がさらに高まるでしょう。

今後も国は、土地の管理制度の整備や、所有者情報の更新システムなどを強化していく方針を示しています。 その中でも本制度は、「相続登記を促進するための中心的な政策」として重要な位置づけにあります。

制度の背景を理解することは、単に節税の考え方にとどまらず、相続する土地の意味や価値、そして社会全体とのつながりを理解することにもつながります。 相続登記を正しく行うことは、個人の財産管理の問題にとどまらず、地域や国家の資産管理にも関わる行動なのです。

非課税の対象となる土地と登記の種類とは?制度の適用範囲を徹底解説

租税特別措置法第84条の2の3第2項の非課税制度を正しく活用するためには、まず制度の「対象となる土地」と「対象となる登記の種類」を理解することが欠かせません。 この特例はすべての土地やすべての登記に適用されるわけではなく、明確に対象が限定されています。 誤解されやすい部分でもあるため、このパートでは制度の適用範囲を具体的に、かつ実務的な切り口で解説していきます。

対象の中心は「相続または遺贈」で取得した土地

非課税制度の大前提として、対象となるのは相続または遺贈によって取得した土地のみです。 つまり、不動産売買や贈与、交換などによる取得は対象外となります。 個人が相続により土地を取得した場合、あるいは遺言により土地を受け継いだ場合のみ適用が認められます。

さらに重要なのは、この制度の対象は「個人」であるという点です。 法人が土地を相続(事業承継など)した場合には対象外となり、登録免許税が通常どおり課税されます。 制度の趣旨が“個人の相続負担を軽減し、相続登記を促進すること”であるためです。

非課税のカギとなる「土地の価額100万円以下」の条件

制度の適用基準で最も重要なポイントが、土地の価額が100万円以下であることです。 この「価額」とは、固定資産税評価額を指し、毎年1月1日時点で算出される評価額が基準となります。

固定資産税評価額は市町村が公的に算定する価額であり、課税標準としても使用されるため、非課税制度では客観的な判断材料として採用されています。 土地の市場価格とは異なるため、実勢価格が高くても評価額が100万円以下であれば制度の対象となる点は誤解しやすいところです。

逆に、「相続税評価額」や「売買価格」などは本制度の判断材料にはなりません。 実際の実務でも、登記申請時には固定資産税評価証明書を添付する必要があり、その評価額が100万円以下であるかが決定的要素となります。

対象となる登記の種類は2つだけ

租税特別措置法第84条の2の3第2項で対象とされている登記は以下の2種類です。

  • 所有権移転登記(相続または遺贈によるもの)
  • 所有権保存登記

所有権移転登記は、相続または遺贈によって土地の名義を先代から相続人へ移すための登記です。 相続人が複数いる場合には、遺産分割協議を経て登記名義人を確定します。

所有権保存登記は、分譲地や農地などで、これまで一度も所有権の登記がされていなかった土地に初めて所有権を設定する手続きです。 通常は建物に行われることが多いですが、未登記の土地に対して行われるケースもあり、制度上は対象として扱われます。

ここで注意したいのが、抵当権設定登記や地役権設定登記、所有権抹消登記、分筆登記などは制度の対象外である点です。 これらの登記に対しては通常どおり登録免許税が課税されます。

複数筆の土地を相続した場合の扱いはどうなる?

実務でよくあるのが、「複数の土地をまとめて相続したが、そのうち一部だけが100万円以下」というケースです。 この場合、制度の適用単位は土地の筆(筆単位)で判断されます。

つまり、相続した複数筆のうち、評価額100万円以下の筆については非課税、100万円を超える筆については通常の登録免許税が課税されます。

ただし注意点として、「分筆して100万円以下にする」などの制度逃れは認められません。 評価額の算出方法は市町村が決定するため、恣意的な評価調整は不可能です。

地方の土地では特に制度の適用機会が多い理由

地方の山間地域や農地などでは、固定資産税評価額がかなり低い土地が多く存在します。 そのため、評価額100万円以下の土地は全国に膨大な数が存在しており、本制度の適用対象は実は非常に幅広いのが特徴です。

都市部に比べて不動産価値が低い地域では、本制度を活用することで登記費用を大幅に節約できるケースが多く、地方の相続登記を促進する効果も期待されています。 また、評価額が低いため相続人が不要と判断して放置されがちな土地こそ、制度を使って簡単に登記を進めるべき典型例だといえます。

まとめ:制度の適用範囲を理解することが“損をしない第一歩”

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、あくまで相続または遺贈で取得した土地に限定され、かつ評価額100万円以下という明確な基準が設けられています。 適用される登記も、所有権移転登記と所有権保存登記のみです。

この条件を正しく理解していないと、本来なら非課税で済むはずの登記に税金を支払ってしまうリスクがあります。 相続登記義務化が進む中、制度を最大限活用するためにも、まずは土地の固定資産税評価額を確認し、制度の対象となるかを判断することが重要です。

次のパートでは、この非課税制度を実際に使うために必要な「条件チェックリスト」をより具体的に解説します。 実務でそのまま使える内容になっていますので、ぜひ活用してください。

非課税を受けるための条件は?チェックリスト付きで実務的に解説

この記事で扱う制度、租税特別措置法第84条の2の3第2項 による登録免許税の非課税措置を正しく活用するためには、具体的な条件を一つひとつ確認する必要があります。 ここでは、登記申請を行う際に必ずチェックすべき項目を、分かりやすいリスト形式で整理しました。 その上で、実務上の書類や手続きで注意すべきポイントも併せて解説します。

チェックリスト:非課税適用の5つの基本条件

  • ① 取得原因が「相続」または「遺贈」であること
  • ② 取得者が「個人」であること
  • ③ 対象となる土地の「固定資産税評価額」が100万円以下であること
  • ④ 行う登記が「所有権移転登記(相続・遺贈)」または「所有権保存登記」であること
  • ⑤ 登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載すること

それぞれの条件について、以下で詳しく説明します。

①「相続または遺贈」で取得した土地であること

本制度で対象となるのは、第三者からの売買・贈与・交換などによる取得ではなく、亡くなった方(被相続人)から相続人が取得した土地、もしくは遺言により遺贈を受けた土地です。 この点は重要で、取得の原因が売買などだと登録免許税の軽減対象とはなりません。 司法書士向けの制度整理でもこの点が明確に示されています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}

② 取得者が「個人」であること

制度の趣旨は、個人が土地の相続を円滑に行えるようにすることにあります。 よって、法人が土地を相続・遺贈で取得した場合、たとえ評価額が100万円以下であっても本制度の対象とはなりません。 このような点は、相続登記義務化の文脈でも「個人対個人」の枠組みで議論されています。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}

③ 固定資産税評価額が100万円以下であること

対象となる土地の評価額とは、土地の「固定資産税評価額」を指します。市場価格や相続税評価額ではありません。 本制度ではこの評価額が **100万円以下** であることが条件となっています。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}

複数筆の土地を相続しているケースや、共有持分があるケースでは、評価額の計算に注意が必要です。たとえば、土地全体の評価額が300万円でも、持分3分の1であれば100万円以下であれば対象となるという考え方があります。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}

④ 対象登記が「所有権移転」または「所有権保存」であること

本制度が適用される登記には種類が限定されています。具体的には以下の通りです:

  • 所有権移転登記(相続または遺贈によるもの)
  • 所有権保存登記(表題部所有者から実際に登記されていなかった土地など)

登記手続きがこれら以外の場合(たとえば、抵当権の設定、地役権の設定、共有持分の移転など)では対象になりません。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}

⑤ 登記申請書に根拠条文を記載すること

制度を利用するためには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と明記する必要があります。 この記載がないと、たとえ他の条件を満たしていたとしても、登録免許税は通常通り課税されるケースがあります。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}

実務での注意ポイントと書類準備

登記申請前に以下の実務的な点を押さえておくと、申請手続きがスムーズになります。

  • 固定資産税評価証明書を管轄市区町村から請求しておく。
  • 相続人の確定(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)を取得して、法定相続人を明らかにする。
  • 遺産分割協議が必要な場合は、協議書を作成し、相続人全員の合意を得ておく。
  • 登記申請書の余白に非課税の根拠条文を記載することを忘れない。
  • 申請時期に期限が設けられているので、改正の最新情報を確認しておく。

また、以下のような「落とし穴」も見過ごせません。

  • 建物はこの制度の対象外であること。土地だけが対象です。 :contentReference[oaicite:7]{index=7}
  • 分割による評価額の操作を目的とした分筆・合筆が制度設計で想定されておらず、後から否認される可能性があります。
  • 複数筆を一括で申請する際、非課税対象土地と課税対象土地の混在により、申請書記載の根拠が分かりにくくなるため、申請時には担当の登記所に確認することが望まれます。 :contentReference[oaicite:8]{index=8}

まとめ:正しい条件把握で“非課税”を確実に受ける

この制度が適用されれば、登録免許税の負担がゼロになる大きなメリットがあります。 しかし、そのためには条件5点をすべて満たし、実務的な手続きや書類の準備をきちんと進める必要があります。 相続登記義務化の時代において、制度を知らずに通常課税を受けてしまうことは避けたいところです。

次のパートでは、制度のメリットと注意点をさらに深掘りします。節税という観点だけでなく、実務的な観点から「使って得する/使ってはいけない」ケースも整理します。

非課税制度のメリットと注意点を徹底解説【利用前に必ず確認】

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、相続登記にかかる登録免許税をゼロにできる強力な制度です。しかし、制度を十分に使いこなすためには、単に「非課税になる」という認識だけでなく、その裏にあるメリットと注意点を理解しておく必要があります。このパートでは、制度がもたらす実質的な恩恵と、思わぬ落とし穴について詳しく解説します。

非課税制度の最大のメリット:登録免許税が完全にゼロになる

通常、相続による所有権移転登記には「固定資産税評価額 × 0.4%」の登録免許税が必要になります。 しかし、本制度が適用されるとこの税金が完全に免除(0円)になります。 土地の評価額が低い場合には数千円〜1万円程度ですが、複数筆をまとめて登記するケースでは、合計金額が意外と大きくなることもあります。

特に地方の小規模土地の相続では、評価額100万円以下の土地が多数含まれている例が多く、非課税制度を活用すれば実質的に大幅な節税が可能です。 登記費用全体のうち、登録免許税が占める割合は決して小さくありません。

メリット②:相続登記義務化との相性が良い

2024年4月から相続登記は義務化され、相続した土地を登記しないまま放置していると罰則の対象になります。 この制度と非課税特例はセットで考えるべきものであり、「義務だからやる」登記に対して費用を軽減してくれることは大きなメリットです。

特に、相続財産が地方の山間地域や農地などの「管理が難しい土地」の場合、登記を行うために数万円のコストを支払うことに抵抗を感じる相続人が多いのが現状です。 そうした負担を減らす意味でも、本制度は非常に有効です。

メリット③:複数筆の土地でも1筆ごとに判定される

この制度では、複数の土地を相続している場合でも、1筆ごとに評価額100万円以下かどうかが判断されます。 そのため、複数筆のうち一部だけ評価額が低い場合でも、その筆だけ非課税で登記することができます。 これは実務でも非常に使いやすいポイントです。

注意点①:建物は対象外。土地の登記のみが非課税

制度の対象は「土地」だけであり、建物の相続登記は非課税にはなりません。 建物の所有権保存登記や相続による所有権移転登記には、従来どおり登録免許税が課税されます。

特に、土地と建物が一体になっている住宅の場合、「建物も非課税になる」と誤解してしまうケースがあるため、注意が必要です。

注意点②:申請書に根拠条文の明記が必須

本制度を適用するためには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と明記しなければなりません。 この記載がないと、登記所が通常どおり登録免許税を課税してしまうため注意が必要です。

申請書の書式自体は簡単ですが、司法書士が関わらない「自分で登記」のケースでは忘れられやすい項目です。

注意点③:評価額が100万円を1円でも超えると対象外

評価額が100万円「ちょうど」なら対象になりますが、100万1円の場合は非課税は適用されません。 したがって、固定資産税評価証明書の金額は必ず確認し、算出年度にも注意を払う必要があります。

また、評価額は毎年変動するため、前年は100万円以下だったが今年は100万円を少し超えた、というケースもあり得ます。 相続登記義務化の観点からも、早めの登記が理想的です。

注意点④:名義整理のための中間省略的手続きは不可

制度の対象は「相続」または「遺贈」のみです。 たとえば、遺産分割協議が長引いているために第三者が代わりに取得する、といったスキームでは適用されません。 非課税制度は、あくまでも相続関係が明確に成立しているケースが前提です。

注意点⑤:登録免許税は非課税でも他の費用はかかる

非課税になるのは登録免許税のみであり、以下の費用は必要に応じて発生します:

  • 固定資産税評価証明書の取得費
  • 登記用の戸籍類の取得費
  • 遺産分割協議書の作成費用
  • 司法書士報酬(依頼する場合)

非課税制度を使うことで節税効果はありますが、登記全体のコストがゼロになるわけではありません。 ただし、通常は登録免許税が最も大きな負担となるため、その部分が免除になるメリットは非常に大きいと言えます。

まとめ:メリットは非常に大きいが、正しい理解が不可欠

制度を正確に使いこなせば、相続登記の負担を大きく軽減できるため、相続人にとって非常に有用な制度です。 相続登記義務化の現代において、登録免許税が0円になるという恩恵は大きく、「使わなければ損」と言えるほどです。

一方で、制度の誤解から適用できるはずの土地で通常課税されてしまうケースも少なくありません。 条件・登記の種類・必要書類をしっかり確認し、制度を確実に適用させることが重要です。

次のパートでは、制度の改正履歴と2025年時点の最新情報を詳しく解説し、今後この制度がどのように変わっていく可能性があるのかを考察します。

最新の法改正と制度の変遷【2025年版:租税特別措置法84条の2の3第2項】

租税特別措置法第84条の2の3第2項は、土地の相続登記にかかる登録免許税を非課税にする特例として、所有者不明土地問題への対策の一環として導入されました。 この制度は「租税特別措置法」という名前が示す通り、本来は時限的な措置であり、適用期限の延長や要件の微調整など、毎年の税制改正の中で見直され続けている制度です。 ここでは、制度の改正経緯と2025年時点で押さえておくべき最新動向をわかりやすく整理します。

制度の始まり:所有者不明土地問題への緊急対策

本特例が導入された背景には、日本全国で加速する「所有者不明土地」の増加があります。 国土交通省の推計では、所有者不明土地は九州本島を上回る規模に達しており、公共事業・災害復旧・民間開発に大きな支障を生んでいます。 こうした問題の原因のひとつが相続登記の放置であることから、国は税負担の軽減を通じて相続登記を促す政策を打ち出しました。

制度開始当初は、評価額100万円以下の土地に限定して非課税とする仕組みが設けられ、地方の小規模土地の相続登記を促進する効果が高いと評価されました。

2024年:相続登記義務化との制度連動

2024年4月、民法および不動産登記法の改正によって「相続登記の義務化」が開始されました。 これにより「相続したら登記は必ず行う」ものとなり、違反には過料が科される可能性があります。 この義務化と本制度は密接に結びついており、登記手続きの負担を軽減するための“バランス措置”として非課税特例の重要性がさらに増しました。

義務化の開始に合わせるように、非課税制度についても適用期限の延長が行われ、より長期的に利用できる仕組みへと移行しました。

2025年時点:制度の適用範囲と要件は維持されている

2025年の税制改正情報では、本制度について「適用要件・価額基準(100万円以下)・対象登記(相続移転・保存)」は引き続き維持されています。 特定の要件の緩和や対象拡大は現時点(2025年1月)では行われておらず、制度は既存の枠組みを継続する形で運用されています。

ただし、法律の性質上、毎年見直しの対象となるため、適用期限の延長や条件の微調整が将来的に行われる可能性は十分にあります。

2025年以降の改正が予測されるポイント

現状維持が続く一方で、以下のような点について今後の改正が検討される可能性が高いと言われています。

  • 所有者不明土地対策の強化に向けて適用期限をさらに長期化
  • 相続登記義務化に伴い、対象となる登記の種類を拡大する可能性
  • 評価額100万円という基準の見直し(地方土地の評価額低下が続いているため)
  • 相続人が複数の場合の適用ルールの明確化

これらは制度の全体見直しの流れの中で検討される可能性があり、国の政策方針(所有者不明土地の減少と登記制度の強化)と密接に関連しています。

制度改正で注意すべき点

租税特別措置法は毎年見直されるため、制度を利用する際には「適用期限」と「要件の最新情報」を必ず確認する必要があります。 特に、登記の時期が年度をまたぐ場合、前年と条件が変わる可能性があるため、登記直前での確認が極めて重要です。

また、自治体による固定資産税評価額の見直し(3年ごとの評価替え)によって、前年は100万円以下だった土地が翌年に基準を超えるケースもあり得ます。 そのため「評価額100万円以下かどうか」は、登記を行う年の評価証明書で必ず確認する必要があります。

まとめ:2025年時点で制度は安定運用だが、毎年の改正チェックが必須

2025年時点では、租税特別措置法第84条の2の3第2項は制度開始からの基本枠組みを維持しつつ、相続登記義務化を支える重要制度として安定的に運用されています。 とはいえ、租税特別措置法の性質上、毎年見直しが行われるため、最新情報のチェックは不可欠です。

「相続登記は義務」「税負担は軽減」「手続きは簡素化」の3つが同時に進む現在、本制度を正しく理解することが、相続登記を早期に完了させるうえで欠かせない知識となります。

次のパートでは、これまでの内容を総まとめし、制度を最大限活用するために相続人が取るべき具体的なアクションを解説します。

まとめ:非課税制度を最大限活用するために【再結論と次の行動】

本記事では、租税特別措置法第84条の2の3第2項による土地相続登記の登録免許税非課税制度を、制度の概要・背景・適用対象・条件・メリット・注意点・最新動向という順に、結論→理由→具体例→再結論の構成で解説しました。 結論としては「土地の評価額が100万円以下で、個人が相続または遺贈により取得した土地を登記する場合、登録免許税が0円になる可能性がある」ということです。

なぜこの制度を活用すべきか

まず、2024年4月から義務化された相続登記に対応するため、早期の登記が求められています。 その際、税負担を減らせるこの制度を使わなければ、通常課税を受けてしまい、相続手続のコストが増加するリスクがあります。 次に、土地の評価額が100万円以下のケースは特に地方で多く、登記を後回しにしてきた“放置された土地”の整理にはこの制度が有効です。 そのうえ、1筆ごとに評価額を判断できるため、複数筆相続した土地でも一部だけ非課税にできる柔軟性も魅力です。

次のアクション:今すぐ取り組むべき3ステップ

以下は、相続登記を控えている方がすぐに取り組むべき実務的なステップです。

  1. 土地の固定資産税評価証明書を取得して、“評価額が100万円以下か”を確認する。
  2. 相続人の確定、戸籍謄本等の整理、遺産分割協議の必要性を検討し、必要書類を準備する。
  3. 登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載し、所轄登記所または司法書士に確認して提出する。

この3ステップを早期に実行することで、制度を確実に活用し、余分な税負担や手続き遅延を防止できます。 特に、相続登記義務化の時代では「放置=リスク」であり、制度を知っていることが差となります。

注意:制度を活用するためのチェックポイント

制度を最大限活用するために、以下の点にも注意してください。

  • 建物はこの制度の対象外であるため、土地だけに焦点を当てる。
  • 評価額が100万円を1円でも超えていると非課税対象から外れる。
  • 複数筆ある土地のうち評価額100万円以下の筆があれば、その筆だけでも対象になる。
  • 登記申請時に根拠条文の記載を漏らさないようにする。
  • 制度の適用期限や改正状況を、国税庁や法務省の最新情報で確認する。

関連情報・外部リンク

さらに詳しい情報や手続きの参考として、以下の外部リンクをご活用ください。

最後に—この制度を「知るか知らないか」が大きな差に

相続登記の義務化時代において、制度を「知っていない」ことは、税の負担や手続きの煩雑さに直結します。 逆に、本制度を活用できる人が「知っていて準備できている」なら、早期に問題を整理し、費用も税金も最小化できます。

ぜひ今日から「土地を相続したらまず評価額をチェック」「100万円以下かどうかで非課税対象となるか判断する」という習慣を持ってください。 これが、あなたの相続登記をスムーズに、そして賢く進める第一歩です。