参政党は保守?リベラル? 高市早苗の自民党保守との比較で見える本質
自民党は本当に保守政党なのか?
かつて「保守政党」と呼ばれてきた自民党。しかし、安倍晋三元首相の死去を機に、岸田政権はリベラル寄りの政策へとシフトしていると言われます。その結果、「自民党はもはや保守政党ではない」と失望し、参政党や日本保守党へ流れる支持層が増えているのです。
特に今回の自民党総裁選に立候補した高市早苗氏は「自民党最後の保守」とも呼ばれる存在。一方、神谷宗幣氏率いる参政党は、新しい保守像を掲げて急速に支持を集めています。
では、自民党の保守と参政党の保守は何が同じで、どこが違うのでしょうか? 本記事ではその違いを8つの視点から徹底解説していきます。
自民党は本当に保守政党なのか?

「自民党は保守政党」——この言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。戦後政治において、自民党は長らく日本の与党として国を支えてきました。憲法改正や国防強化、伝統的な価値観の尊重といった点で「保守の看板」を掲げてきたのです。
しかし、近年その姿に疑問を抱く声が急速に広がっています。特に安倍晋三元首相が暗殺され、その後を継いだ岸田政権が誕生してからは「自民党はもはや保守政党ではないのではないか」という失望の声が噴出しています。
なぜそうした声が出ているのでしょうか?その理由を探ると、自民党の政策が「左傾化」あるいは「リベラル化」しているのではないかという指摘に行き着きます。
岸田政権のリベラル化がもたらした保守層の離脱
自民党は戦後一貫して「保守」を自称してきましたが、安倍政権と比べて岸田政権は政策的に大きく変化しました。経済政策や外交姿勢、防衛政策においても「現実的保守」というより「中道リベラル」に近い印象を与えるようになったのです。
例えば防衛費増額の議論も、安倍政権時代には「憲法改正」とセットで語られていましたが、岸田政権下では「増税とセット」という方向にシフトしました。これにより、従来の「力強い保守」を期待していた層が落胆し始めています。
また、経済においても「分配重視」を掲げるなど、従来の成長重視路線からの転換が見られます。これらは一見すると中道的で国民に寄り添った政策のように見えますが、保守層からすれば「自民党らしさが薄れてきた」と感じられる要因となっています。
保守層はどこへ向かったのか?
自民党から離れた保守層は、どこに支持先を求めているのでしょうか。その一つが「参政党」です。2022年の参院選で初議席を獲得した新興政党であり、代表の神谷宗幣氏を中心に「真の保守」を掲げて急速に勢力を拡大しています。
参政党以外にも「日本保守党」や「国民民主党」などへ流れる動きが見られます。特に国民民主党は、立憲民主党と比べれば「保守寄り」に見えるため、自民党に失望した層が一部支持を寄せています。しかし、本当に「骨太の保守」を求める層は、やはり参政党に流れているのが実情です。
これは直近の選挙結果にも表れています。参政党は短期間で一定の得票数を集め、既存政党にはない熱量で支持者を拡大しました。「自民党が保守でなくなったから」という理由で参政党を選んだ有権者は少なくありません。
高市早苗という存在
そんな中、自民党の中で「保守の最後の砦」と言われるのが高市早苗氏です。彼女は憲法改正や国防強化、国旗・国歌の尊重など、伝統的な保守の主張を明確に掲げています。その姿勢は、リベラル化する自民党内において異彩を放っています。
高市氏の存在は「まだ自民党に保守が残っている」という希望の象徴であり、一方で「彼女しかいない」という危機感の象徴でもあります。そのため、今回の自民党総裁選に高市氏が出馬することで、保守層の一部は「自民党に戻ってもよいかもしれない」と考え始めているのです。
自民党保守と参政党の保守は同じか?
しかし、ここで重要な疑問が浮かびます。「自民党保守と参政党保守は同じなのか?」という点です。両者は表面的には似ている主張もありますが、実は根本的に異なる部分が存在します。
例えば憲法に対するスタンス、アメリカとの関係性、安全保障や核政策の在り方。これらは日本の将来に直結するテーマであり、単なる「同じ保守」では片づけられない大きな違いを生んでいます。
だからこそ、次章以降では「自民党保守(高市早苗)」と「参政党保守(神谷宗幣)」の違いを具体的に見ていく必要があるのです。本記事では8つの視点から両者を比較し、それぞれの強みと弱みを浮き彫りにしていきます。
あなたがもし「日本を本当に守る保守」を探しているのなら、この違いを知ることが欠かせません。果たして、自民党に未来を託すべきなのか、それとも新しい参政党に可能性を見出すべきなのか。ぜひ一緒に考えていきましょう。
自民党保守を象徴する高市早苗の立ち位置

現在の自民党において、「保守の旗手」として最も注目されているのが高市早苗氏です。総務大臣や経済安全保障担当大臣を歴任し、女性政治家としては異例の存在感を放ち続けています。彼女の主張や政治姿勢は、リベラル化が進んだ自民党の中で数少ない「真正保守」として、多くの有権者から支持を集めています。
高市早苗が掲げる保守の理念
高市氏の政治スタンスを一言で表すならば「現実的な保守」です。彼女は理想論ではなく、現実的に日本をどう守るか、どのように国家の伝統を継承していくかに重点を置いています。その主張の柱には以下のようなものがあります。
- 憲法改正: 日本国憲法を「押し付けられた憲法」と位置づけ、改正によって自衛隊を「国防軍」と明記することを主張。
- 国旗・国歌の尊重: 日の丸や君が代を軽視する風潮に警鐘を鳴らし、国旗損壊を処罰対象とする刑法改正を推進。
- 皇位継承: 男系男子による皇位継承を堅持し、旧宮家の復帰を容認。女性天皇には明確に反対。
- 安全保障: 防衛費の増額や抑止力の強化を訴え、現実的な防衛体制の確立を求めている。
これらは「伝統の尊重」「国家防衛」「自主独立」といった保守思想の根幹に位置するテーマであり、高市氏が自民党内で「最後の保守」と呼ばれるゆえんです。
高市早苗の存在感と期待
自民党内での高市氏の存在感は、単なる「女性初の首相候補」という枠を超えています。彼女は「現実的な保守」を体現しており、岸田政権下でリベラル化が進んだ自民党の中で異彩を放つ存在です。そのため、保守層の中には「自民党を支持し続けるかどうかは高市氏次第」という声も少なくありません。
また、国際関係や経済安全保障の分野でも積極的な発言を行い、特に中国や北朝鮮への警戒心を隠さない姿勢は、多くの国民に安心感を与えています。現実的かつ強いリーダーシップを発揮できる政治家として、安倍晋三氏亡き後の「保守の象徴」として期待されているのです。
高市早苗と安倍晋三の関係
高市氏は安倍晋三元首相との関係が深く、その思想的な影響を大きく受けています。安倍氏が掲げた「憲法改正」や「積極的平和主義」を継承する立場にあり、安倍氏亡き後もその理念を体現する存在として注目され続けています。
そのため、保守層の中には「高市氏こそが安倍路線の正統な後継者である」という認識が広がっており、彼女を次期首相候補として推す声が強まっています。
現実路線としての自民党保守
ただし、高市氏の保守思想は「理想主義」ではなく「現実主義」に根ざしています。憲法改正にしても「創憲」のように全面的に作り直すのではなく、現行憲法を土台に必要な修正を加えるスタンスを取っています。これは日本の国際的立場や外交環境を考慮したうえでの「実現可能な保守路線」と言えるでしょう。
また、防衛政策についても「日米同盟を基盤とした上での強化」という枠組みを維持しており、参政党のように「独自核武装」「米国依存からの完全脱却」といった急進的な提案は行っていません。この点が、現実的に政策を遂行できる自民党保守の強みであり、同時に限界でもあります。
自民党保守の今後
高市氏が自民党総裁となれば、保守層の一定数は再び自民党に戻ってくると予想されます。しかし同時に、すでに参政党の理念に共鳴し深くコミットしてしまった人々が、自民党に戻ることは難しいでしょう。
つまり、高市氏の存在は「自民党保守の延命装置」であると同時に、「参政党との境界線」を浮き彫りにする存在でもあるのです。自民党にとって彼女は希望であり、また試金石でもあると言えるでしょう。
次章では、参政党が掲げる独自の保守理念について見ていきます。自民党保守との共通点と決定的な違いを理解することで、今の日本政治が抱える本質的な課題が浮かび上がってくるはずです。
参政党が掲げる神谷宗幣の保守理念とは?

近年急速に注目を集めている新興政党「参政党」。その中心人物である神谷宗幣氏は、自民党のリベラル化に失望した保守層から熱烈な支持を受けています。街頭演説には若者から中高年まで幅広い層が集まり、SNSやYouTubeを通じて発信されるメッセージは大きな共感を呼んでいます。
では、参政党が掲げる「保守」とは一体どのようなものなのでしょうか?ここでは神谷氏の主張をもとに、その理念を詳しく見ていきます。
「創憲」——憲法を一から作り直す
参政党の最大の特徴は、現行憲法を改正するのではなく「新しい憲法を創る」ことを目指している点です。神谷氏らは、現行憲法を「GHQが日本に押し付けた憲法」と断じ、日本国民自身の手で憲法を作り直すべきだと主張しています。
この「創憲」構想では、日本を「天皇を中心とした国家」と位置づけ、戦前の大日本帝国憲法に近い要素を取り入れる方向性が示されています。例えば、天皇に一定の拒否権を認める条項や、平和主義条項を削除し自衛軍を明記する内容などが含まれています。
さらに、国民には「日本を守る義務」が課せられる仕組みを検討しており、これは事実上の徴兵制に繋がるのではないかと議論を呼んでいます。こうした方向性は、従来の「改憲論」とは一線を画す大胆な提案と言えるでしょう。
教育直後と神話教育の復活
参政党の理念において教育改革は大きな柱のひとつです。神谷氏は「教育勅語や神話を再び教育に取り入れるべきだ」と主張しており、戦後教育では失われてしまった「国を思う心」や「伝統文化の尊重」を取り戻すことを目指しています。
例えば、家族を大切にし、親を敬い、社会に尽くすといった教育勅語の内容は「日本人が本来持っていた美徳」として再評価されています。また、古事記や日本神話を子どもたちに伝えることによって、アイデンティティを育み、国民としての誇りを醸成する狙いがあります。
これは一部から「戦前回帰」と批判されることもありますが、参政党支持者にとっては「日本の精神的基盤を取り戻す」重要な取り組みとして強く支持されているのです。
強いナショナリズムと自主独立
参政党は「ナショナリズム」を前面に打ち出している政党です。彼らは「日本は未だにアメリカの支配下にある」と指摘し、食料政策やエネルギー、安全保障などあらゆる分野でアメリカ依存から脱却すべきだと訴えています。
例えば学校給食において、戦後アメリカから小麦が導入されたことを「食文化の占領」と捉え、日本人本来の米中心の食文化を取り戻すべきだと主張。経済や文化面でも「日本独自の路線」を模索する姿勢を示しています。
このように、参政党のナショナリズムは単なる感情的な愛国心ではなく、具体的な政策や生活に直結するテーマと結びついているのが特徴です。
グローバリズムへの強烈な批判
神谷氏が繰り返し強調するのは「グローバリズムの危険性」です。国際金融資本やグローバリストたちが世界中で戦争や経済支配を仕組んでいるという見解を示し、「彼らこそが日本の真の敵である」と訴えています。
グローバリズムが進むことで、安い外国人労働者が大量に流入し、日本の賃金水準が下がり、中小企業が淘汰される危険性があると警告。さらに、社会保障費の増大や治安の悪化といったリスクも指摘しています。
このように「グローバリズム=国民を苦しめ、大企業だけを潤す仕組み」と位置づけ、それに対抗するのが参政党の大きな使命であると語っているのです。
参政党の魅力とカリスマ性
参政党の強みは、単なる政策ではなく「理念の熱さ」にあります。神谷氏の街頭演説は熱気にあふれ、聴衆の心を強く揺さぶります。一度その演説に触れると「他の政治家では物足りない」と感じてしまう人も少なくありません。
現実的に実行可能かどうかはさておき、「日本を本気で良くしたい」という純粋な思いが支持者の心を掴んで離さないのです。だからこそ、一度参政党に共鳴した人々は、自民党に戻ることが難しくなっているのです。
参政党の保守理念の特徴
まとめると、参政党の保守理念は次のような特徴を持っています。
- 現行憲法を全面的に作り直す「創憲」を掲げる
- 教育勅語や神話教育の復活を重視する
- ナショナリズムを前面に打ち出し、アメリカ依存からの脱却を訴える
- グローバリズムを「国民の敵」と位置づけて徹底的に批判する
- 理想主義的で情熱的な発信により支持者の心を掴む
つまり、参政党の保守は「戦後レジームからの脱却」を徹底的に追求し、理想を掲げて国民を巻き込もうとする運動体なのです。
次章では、この参政党の保守と自民党の保守がどのように重なり、どのように分かれるのか。その「共通点と相違点」を詳しく比較していきます。
自民党保守と参政党保守の共通点

これまで、自民党保守を象徴する高市早苗氏と、参政党の神谷宗幣氏が掲げる保守理念を個別に見てきました。ここからは両者にどのような「共通点」があるのかを整理していきます。実は、自民党保守と参政党保守にはいくつかの大きな接点があり、それが「保守」という言葉で括られるゆえんでもあります。
共通点① 皇位継承は男系男子
まず最も大きな共通点は、皇位継承において「男系男子」を支持している点です。自民党の高市早苗氏は明確に「女性天皇反対」を表明し、旧宮家の復帰を容認する立場を取っています。一方、参政党の神谷宗幣氏も「基本的には男系男子による皇位継承を維持すべき」と語っており、日本の伝統を守るという姿勢では一致しています。
この点は、国民の間でも大きな議論を呼んでいるテーマであり、皇室の安定的な継承をどのように実現するかは日本の保守にとって最重要課題の一つです。両者がこの立場で共通していることは、伝統的価値観を守る上で大きな接点と言えるでしょう。
共通点② 選択的夫婦別姓に反対
もう一つの共通点は「選択的夫婦別姓」に対する姿勢です。自民党保守、参政党の双方が「家族制度の崩壊につながる」として反対の立場を取っています。
現代日本では「個人の自由」を重視する流れが強まっていますが、保守的な立場から見れば、夫婦別姓制度は「日本の伝統的な家族観」を壊しかねないものと映ります。この点でも両者は一致しており、「家族を守る」という共通の理念を有権者に強くアピールしています。
共通点③ 外国人参政権に反対
外国人に地方参政権を与えるかどうかは、日本政治において長年議論されてきたテーマです。自民党保守も参政党も、この問題に対しては「明確に反対」という立場を取っています。
理由は単純です。外国人に参政権を認めてしまえば、地域によっては在日外国人コミュニティが大きな影響力を持ち、政策決定が日本国民の意思から乖離する恐れがあるからです。特に中国や韓国からの影響を警戒する保守層にとって、この共通点は非常に重要なポイントとなっています。
共通点④ 憲法は「GHQの押し付け」
自民党保守も参政党も、現行憲法を「GHQによって押し付けられた憲法」と位置づけています。日本が敗戦後、連合国の占領下で制定されたことを問題視し、「真に日本人の手で作られた憲法ではない」という認識を共有しています。
ただし、この点は次章以降で解説する「違い」にも直結します。高市早苗氏は「改憲」という方法で修正を図ろうとするのに対し、神谷宗幣氏は「創憲」という方法で根本から作り直すべきだと考えています。つまり「押し付けられた憲法は問題だ」という認識は共通していても、その解決策は大きく異なるのです。
共通点⑤ 伝統と国家を重視する姿勢
両者はともに「伝統」や「国家」を強く意識した保守思想を掲げています。教育や文化の面でも「国を愛し、誇りを持てる社会を作るべきだ」という方向性は共通しており、日本人としてのアイデンティティを取り戻すことを重視しています。
これはリベラルな勢力が「個人の権利」や「多様性」を強調するのと対照的であり、両者が共通して「保守」と呼ばれる理由のひとつでもあります。
比較表:自民党保守と参政党保守の共通点
テーマ | 自民党保守(高市早苗) | 参政党(神谷宗幣) |
---|---|---|
皇位継承 | 男系男子維持、旧宮家復帰を容認 | 基本は男系男子を支持 |
選択的夫婦別姓 | 反対(家族制度の崩壊につながる) | 反対(日本の伝統的価値観を守る) |
外国人参政権 | 反対 | 反対 |
憲法観 | GHQの押し付けと認識 | GHQの押し付けと認識 |
教育・文化 | 伝統重視、愛国心の涵養 | 教育勅語や神話教育の復活を重視 |
共通点が示すもの
このように、自民党保守と参政党保守には「伝統・国家を守る」という大きな共通基盤があります。皇位継承や家族制度、外国人参政権といったテーマでは両者は足並みを揃えており、保守層の共感を得やすいのです。
ただし、共通点があるからといって同じ「保守」とは言えません。むしろ、これらの共通点の上に「どのような手段を選ぶか」「どこまで踏み込むか」という違いが存在し、それが両者を大きく分ける要因となっているのです。
次章では、その「決定的な違い」のひとつである「憲法観」に焦点を当て、両者の根本的な差を明らかにしていきます。
違い①:憲法観の根本的な差

自民党保守と参政党保守の最大の違いのひとつは「憲法」に対する考え方です。両者とも「現行憲法はGHQによる押し付け」という認識を共有していますが、その解決方法はまったく異なります。ここに両者の「現実路線」と「理想主義路線」の根本的な差が表れているのです。
自民党保守(高市早苗):改憲による現実的修正
高市早苗氏は憲法について「改正が必要」と明確に主張しています。特に焦点を当てているのが次の点です。
- 憲法9条の改正: 自衛隊を「国防軍」と明記し、憲法上の位置付けを明確化する。
- 国旗・国歌の尊重: 国旗損壊を処罰対象とするため、刑法の改正を提唱。
- 自衛権の明確化: 集団的自衛権の範囲を憲法に明示し、日米同盟の実効性を高める。
高市氏の立場は、現行憲法を「完全に破棄する」のではなく「必要な部分を修正する」ことで現実的な対応を目指すものです。これは日本が国際社会の一員であり、日米同盟という枠組みの中で安全保障を確立してきた歴史を踏まえた上での判断と言えるでしょう。
つまり、自民党保守は「現憲法を土台としながら日本の自主独立を強化する」スタンスを取っているのです。
参政党(神谷宗幣):創憲による全面的な作り直し
一方の参政党は、現行憲法を「全面的に作り直すべきだ」と主張します。これが「創憲」という考え方です。神谷宗幣氏らは、現行憲法を改正するのでは不十分であり、日本国民自身の手で「真に日本のための憲法」を新しく制定すべきだと訴えています。
参政党の構想する新憲法では、戦前の大日本帝国憲法に近い要素が多く盛り込まれています。具体的には次のような特徴が挙げられます。
- 天皇を国家の中心と位置付ける: 国家行為に対して天皇に一定の拒否権を認める。
- 平和主義の削除: 「戦争放棄」や「戦力不保持」の条文を削除し、自衛軍の保持を明記。
- 国民の義務: 日本を守る義務を国民に課す。事実上の徴兵制に繋がる可能性も。
- 教育直後や神話教育の復活: 道徳教育を憲法レベルで規定する。
このように、参政党の憲法観は「戦後レジームからの完全脱却」を目指すものであり、戦前日本の体制を部分的に取り戻そうとする方向性を持っています。
両者の根本的な違い
ここで改めて両者の違いを整理すると、次のようになります。
テーマ | 自民党保守(高市早苗) | 参政党(神谷宗幣) |
---|---|---|
憲法の立場 | 改憲(現行憲法を修正) | 創憲(憲法を全面的に作り直す) |
9条問題 | 自衛隊を「国防軍」として明記 | 戦争放棄を削除し、自衛軍を保持 |
天皇の位置付け | 現行憲法における象徴天皇制を基本的に維持 | 天皇に拒否権を認め、国家の中心に位置付ける |
国民の義務 | 特に憲法上の義務規定は強調せず | 「国を守る義務」を国民に課す |
教育 | 愛国心教育を推進 | 教育勅語・神話教育を復活 |
「改憲」と「創憲」、どちらが現実的か?
高市氏の「改憲」は、国際社会や日本の経済的立場を踏まえた現実的な選択肢です。国際的な信頼を損なわずに自主防衛力を高められる可能性がある一方、実際に憲法改正を実現するには国会発議と国民投票という高いハードルがあります。
一方、参政党の「創憲」は国民に強いインパクトを与える理想主義的提案ですが、現実的に実現できるのかは極めて不透明です。国際的批判や国内世論の分断を招くリスクも大きく、政治的な合意形成が困難であることは容易に想像できます。
憲法観の違いが意味するもの
この憲法観の違いは単なる政策の差ではなく、国家像そのものの差を示しています。自民党保守は「現実の国際秩序の中で日本を守る」立場であり、参政党は「理想的な日本の姿を新たに構築する」立場なのです。
どちらが正しいかは一概には言えません。現実的な改憲を支持する人もいれば、理想主義的な創憲に共鳴する人もいます。ただ、この違いを理解することは「自分がどの保守を支持するか」を考える上で避けて通れないポイントです。
次章では、この違いをさらに広げる「対米姿勢と国際関係」について比較していきます。ここでも自民党保守と参政党保守の立場は大きく分かれており、保守層の選択を左右する重要なテーマとなっています。
違い②:対米姿勢と国際関係

自民党保守と参政党保守の違いを語る上で、欠かせないテーマが「アメリカとの関係」です。戦後日本は、日米同盟を基盤とする安全保障体制のもとで経済発展を遂げてきました。そのため自民党保守は「アメリカありき」の現実路線を取らざるを得ません。一方で参政党は、アメリカ依存から脱却しようとする強いナショナリズムを掲げています。この立場の差は、両者を決定的に分ける要因となっています。
自民党保守:アメリカとの同盟を前提とする現実路線
自民党保守の基本姿勢は、戦後から続く「日米同盟を基盤とした現実的保守」です。高市早苗氏も繰り返し「日米同盟は日本の生存に不可欠」と述べており、アメリカとの協力を前提に外交・安全保障を考えています。
これは単なる外交的配慮ではなく、歴史的な経緯による必然性もあります。第二次世界大戦後、日本はアメリカの占領下で憲法を制定し、その後も冷戦構造の中でアメリカの核の傘に守られてきました。吉田茂首相の「吉田ドクトリン」以降、自民党は一貫して「アメリカとの協調路線」を歩んできたのです。
その結果、日本は安全保障をアメリカに依存する代わりに、経済発展に注力できる体制を築き上げました。高市氏もこの流れを現実的に評価しており、日米同盟を強化することを政策の柱に据えています。
参政党:アメリカ依存からの脱却を目指す
一方、参政党は「アメリカ依存からの脱却」を明確に掲げています。神谷宗幣氏は「日本は未だにアメリカに支配されている」と繰り返し訴え、戦後の日本は政治・経済・教育に至るまでアメリカにコントロールされてきたと指摘しています。
例えば学校給食への小麦導入を「食文化の支配」と捉え、日本の米文化を取り戻すべきだと主張。また、アメリカ製の兵器やシステムに依存する現状を問題視し、「日本独自で兵器を国産化すべき」と訴えています。
さらに参政党は「アメリカの背後に存在する国際金融資本・グローバリストこそが真の敵だ」と指摘します。世界各地の戦争は軍需産業や金融資本が利益を得るために仕組まれているとし、アメリカを単なる同盟国ではなく「グローバリズムを広げる主体」として批判的に捉えているのです。
対中姿勢では一致、だが…
興味深いことに、自民党保守と参政党保守は「対中姿勢」では大きく一致しています。両者とも「中国は脅威であり、仮想敵国として防衛力を強化すべきだ」と考えています。これは現在の国際情勢を踏まえれば当然の一致と言えるでしょう。
しかし、その対応方法には違いがあります。自民党保守は「アメリカとの協力によって中国に対抗する」現実路線を取るのに対し、参政党は「日本独自の力で中国に立ち向かう」理想路線を志向しています。この違いが日米同盟観の差を一層際立たせているのです。
比較表:対米姿勢と国際関係の違い
テーマ | 自民党保守(高市早苗) | 参政党(神谷宗幣) |
---|---|---|
基本姿勢 | 日米同盟を基盤とした現実路線 | アメリカ依存からの脱却を目指す |
歴史的背景 | 戦後からのアメリカ依存を継承 | 戦後体制そのものを問題視 |
対中姿勢 | アメリカと協力して中国に対抗 | 日本独自の力で中国に対抗 |
アメリカ評価 | 不可欠な同盟国 | 支配者、グローバリズムの象徴 |
現実主義か、理想主義か
このように、対米姿勢の違いは「現実主義か理想主義か」という根本的な価値観の差を示しています。自民党保守は「現実を受け入れた上で日本を守る」という立場であり、参政党は「理想の日本を取り戻すためにアメリカから自立する」という立場です。
どちらに共感するかは有権者次第です。アメリカとの同盟を維持しつつ現実的に国を守るべきだと考えるなら自民党保守、アメリカ依存から抜け出し独立国家としての道を歩むべきだと考えるなら参政党が選択肢となるでしょう。
次章では、この違いがさらに色濃く表れる「安全保障と核政策」について掘り下げます。ここでも両者の立場は大きく異なり、日本の未来を左右する重大な論点となっています。
違い③:安全保障と核政策の分岐点

自民党保守と参政党保守の違いは、憲法観や対米姿勢にとどまりません。安全保障、とりわけ「核政策」においても両者は大きく異なる立場を取っています。ここでは、その相違点を整理しながら、両者が描く日本の未来像を比較していきます。
自民党保守:日米同盟を前提とした核シェアリング
自民党保守の立場は、戦後一貫して「アメリカとの同盟を前提とした現実的防衛」です。高市早苗氏も「日米同盟の強化は日本の生存に不可欠」と強調しており、防衛政策の基盤をアメリカに置いています。
具体的には、アメリカの核の傘に依存する現体制を維持しつつ、必要に応じて「核シェアリング」を議論すべきだという立場です。核シェアリングとは、アメリカが保有する核兵器を同盟国と共同管理し、必要に応じて使用できるようにする仕組みを指します。
これは日本が直接核兵器を保有するわけではないため、国際社会との摩擦を抑えつつ抑止力を高める現実的な選択肢とされています。安倍晋三元首相も核シェアリングの議論を容認しており、自民党保守の基本的な方向性はこの路線にあります。
参政党:日本独自の核武装と兵器国産化
一方の参政党は、より踏み込んだ「日本独自の核武装」を主張しています。神谷宗幣氏らは「アメリカが本当に日本を守ってくれるのか?」という疑問を投げかけ、同盟依存の危険性を強調しています。
例えば、中国やロシアが日本に侵攻した場合、アメリカが核保有国同士の戦争に巻き込まれるリスクを冒してまで日本を守るのか? その保証はどこにもありません。むしろアメリカの国益が優先され、日本は見捨てられる可能性すらある——参政党はこうした危機感を抱いています。
そのため、核兵器は日本自身が保有し、独自の判断で抑止力を発揮できる体制を整えるべきだと主張します。加えて、戦闘機やミサイル、防衛システムといった通常兵器についても「国産化」を進め、アメリカ依存から脱却すべきだと訴えています。
核政策におけるリスクと現実性
核政策の違いを整理すると、次のようになります。
テーマ | 自民党保守(高市早苗) | 参政党(神谷宗幣) |
---|---|---|
基本方針 | 日米同盟を前提に核シェアリングを議論 | 日本独自で核武装し、兵器も国産化 |
アメリカ依存 | アメリカの核の傘に依存 | 依存を脱却し自主防衛を確立 |
リスク | アメリカに制約され、完全な自立は困難 | 国際的孤立や経済制裁の可能性大 |
現実性 | 国際社会との調和を保ちつつ実現可能 | 理念的には明確だが実現性は低い |
自民党保守の「核シェアリング」は国際的な摩擦を最小限に抑えつつ抑止力を確保できるため、現実的な選択肢といえます。しかし、それでも「アメリカ依存から抜け出せない」という弱点を抱えています。
参政党の「独自核武装」は理想としては強力ですが、国際社会からの制裁や孤立を招くリスクが非常に高いのも事実です。特に経済面での打撃は計り知れず、日本が本当にそのリスクを取れるのかという疑問が残ります。
安全保障の根本的なスタンス
核政策の違いは、安全保障全体のスタンスの違いを象徴しています。自民党保守は「同盟を基盤に現実的な抑止力を整備する」という現実主義路線。参政党は「独自に自国を守る体制を構築する」という理想主義路線です。
どちらを支持するかは、国民が「現実を取るか、理想を取るか」という価値判断に委ねられます。短期的には自民党保守の路線が安定をもたらすかもしれませんが、長期的に「日本が本当に独立できるのか」という問いを突きつけるのが参政党の存在意義だと言えるでしょう。
抑止力か、独立か
安全保障は国家の存立に直結する問題です。自民党保守の現実路線は確かに合理的であり、多くの国民にとって安心感を与えるものです。しかし、参政党の理想路線もまた「アメリカに依存し続けてよいのか」という根源的な問いを投げかけています。
結局のところ、どちらを選ぶかは「国民がどの未来を望むか」によって決まるでしょう。抑止力を維持する現実路線か、リスクを背負ってでも独立を目指す理想路線か。この選択は、日本の将来を大きく左右することになります。
次章では、これまでの違いを踏まえ、両者の立場を総合的に比較しながら「現実主義の高市早苗」と「理想主義の神谷宗幣」の対比を明確にしていきます。
結論:現実主義の高市、理想主義の神谷

ここまで、自民党保守を象徴する高市早苗氏と、参政党の神谷宗幣氏の保守思想を比較してきました。両者には多くの共通点がありながらも、憲法観、対米姿勢、安全保障政策において決定的な違いが存在します。その差は単なる政策論争にとどまらず、「現実主義」と「理想主義」という二つの立場を鮮やかに浮かび上がらせています。
高市早苗=現実主義の保守
高市氏は「自民党保守の最後の砦」と言われます。その理由は、彼女が掲げる政策が現実的に実現可能な保守だからです。憲法改正を掲げながらも「創憲」のような極端な提案はせず、日米同盟を前提に防衛力を高める現実路線を歩んでいます。
これは日本が直面する国際環境を踏まえた選択です。経済、外交、安全保障のいずれにおいても、日本が単独で独立路線を取ることは困難であり、現状では「同盟を基盤にしつつ自主性を強める」以外の道は限られているからです。
そのため、高市氏の立場は「夢や理想よりも、いま実際に日本をどう守るか」を重視する層にとって強い支持を集めています。
神谷宗幣=理想主義の保守
一方で神谷宗幣氏は、参政党を率いて「新しい保守の理想像」を掲げています。現行憲法を全面的に作り直す「創憲」、教育勅語や神話教育の復活、アメリカ依存からの脱却、そして独自核武装。これらは現実的には難しい提案ですが、国民の心を揺さぶる力があります。
神谷氏の魅力は「日本を本当に良くしたい」という熱意です。街頭演説で見せる情熱的な語りは聴衆を魅了し、一度その世界観に共感すると抜け出せないほどのカリスマ性を持っています。現実性よりも「理想に向かう姿勢」に共鳴する人々が参政党に集まっているのです。
保守層はどちらを選ぶのか?
問題は、保守層の有権者がどちらを選ぶかという点です。高市氏の現実路線に安心感を覚える人もいれば、神谷氏の理想路線に希望を見出す人もいます。この二つの選択肢は、日本の未来を大きく左右します。
特に、すでに参政党の理念に深く共鳴している人々は「自民党には戻らない」と考える傾向が強いです。逆に「現実的に政権を担えるのは自民党しかない」と考える層は、高市氏を通じて再び自民党に期待を寄せる可能性があります。
日本の保守は二つの道に分かれる
このように、日本の保守は「現実主義」と「理想主義」という二つの道に分岐しています。どちらが正しいというわけではなく、それぞれに強みと弱みがあります。
- 現実主義(高市早苗): 実行可能性が高く、国際社会との調和を保ちやすい。一方で、アメリカ依存から脱却できない限界がある。
- 理想主義(神谷宗幣): 国民の心を揺さぶる力があり、真の独立国家を目指す姿勢が鮮烈。ただし実現性が低く、国際的孤立のリスクが高い。
有権者は、自らの価値観に基づいて「安心を選ぶか」「希望を選ぶか」という判断を迫られているのです。
未来を決めるのは国民一人ひとり
最終的に、日本の行方を決めるのは国民です。高市早苗の現実主義を支持するのか、神谷宗幣の理想主義に共鳴するのか。どちらを選ぶかによって、日本の未来は大きく変わります。
現実路線を選べば、これまでの延長線上で安定を維持することができるでしょう。理想路線を選べば、困難な道のりを伴いながらも、日本の独立と精神的な再生を目指すことができます。
あなたはどちらの保守を支持しますか? 「現実か理想か」——この選択が、これからの日本を形作っていくのです。
まとめ
本記事を通じて、自民党保守(高市早苗)と参政党保守(神谷宗幣)の違いを整理してきました。両者は共に「日本を守る」という思いを持ちながら、そのアプローチは大きく異なります。
- 自民党保守=現実主義的な改憲と日米同盟の強化
- 参政党保守=理想主義的な創憲と独自核武装・自主独立
いま日本の保守は岐路に立っています。国民一人ひとりがどちらの道を選ぶのか。それこそが、これからの日本政治を大きく動かす原動力になるでしょう。
ぜひあなた自身の価値観と未来への願いに基づいて、考えてみてください。行動するのは「今」しかありません。
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