年末調整で見積もる給与収入には、非課税となる通勤手当を含めません。課税される部分は含めます。給与明細の「総支給額」や銀行への振込額を、そのまま申告書へ写すと金額を取り違えることがあります。
たとえば、基本給30万円・残業手当1万2,000円・全額非課税の通勤手当1万2,000円なら、総支給額は32万4,000円でも、税の給与収入に含めるのは31万2,000円です。明細の仮定例で、この違いと確認手順を整理します。確認日:2026年11月7日。
通勤手当は、非課税分を除き課税分を含める

国税庁は、手当は原則として給与所得となる一方、通勤手当の一定額以下の部分は非課税になると説明しています。「交通費」という項目名だけで全額を足したり引いたりせず、勤務先で課税分と非課税分がどう分けられているかを確認します。根拠:国税庁・給与所得となるもの。
電車・バスのみの通勤では、最も経済的かつ合理的な経路・方法による運賃等が基準で、月15万円が上限です。「月15万円以下ならどんな支給でも全額非課税」という意味ではありません。限度額を超える部分は給与として課税されます。電車・バス通勤者の公式説明を確認してください。
マイカー・自転車などでは距離等によって基準が異なります。電車・バスの上限をそのまま使わず、国税庁のマイカー・自転車通勤者の説明と給与担当者に確認しましょう。
明細の具体例:総支給32万4,000円でも給与収入は31万2,000円

通勤手当1万2,000円が全額非課税で、毎月同じ給与、賞与・前職の給与・ほかの支給がないと仮定した編集部の計算例です。個人の税額や還付額を確定する試算ではありません。
| 明細の項目 | 月額 | 税の給与収入への算入 |
|---|---|---|
| 基本給 | 300,000円 | 含める |
| 残業手当 | 12,000円 | 含める |
| 通勤手当(全額非課税と仮定) | 12,000円 | 含めない |
| 総支給額 | 324,000円 | この全額を写さない |
| 税の給与収入に含める額 | 312,000円 | 300,000円+12,000円 |
12か月分では、総支給額は3,888,000円、税の給与収入は3,744,000円となり、非課税通勤手当の年額144,000円だけ差が出ます。この144,000円がそのまま減税額や還付額になるわけではありません。
一部が課税されている場合は、その課税分まで引かないようにします。「総支給額-通勤手当の全額」ではなく、非課税として処理された部分を区別してください。源泉徴収票の「支払金額」も、非課税の通勤手当を除いた金額です。国税庁資料の「4 給与所得の源泉徴収票の記入」でも確認できます。同資料の改正時の精算手続は令和7年分の説明であり、ここでは支払金額の考え方を参照しています。
社会保険の標準報酬月額では、通勤手当を原則含める

税金で非課税でも、標準報酬月額を算定する報酬から除かれるとは限りません。日本年金機構は、給与規定に定める通勤手当は報酬に含まれ、数か月分をまとめて支給する場合も対象だと説明しています。根拠:通勤手当と標準報酬月額のQ&A。
ただし、報酬月額と、等級に当てはめて決める標準報酬月額は別です。資格取得時・定時決定・随時改定などで決まるため、一月の総支給額がそのまま現在の標準報酬月額になるとは限りません。標準報酬月額の決まり方を参照してください。この説明を、社会保険への加入や扶養のすべての判定に当てはめないでください。
保険料調整制度の対象かを調べたい場合は、通勤手当を含む報酬と保険料調整制度の確認方法で、年末調整とは分けて確認できます。
申告書へ記入する前に、給与担当へ確認する3点

- 通勤手当は課税分・非課税分それぞれいくらか。「課税支給額」などの名称や集計方法は会社によって異なるため、表示名だけで判断しません。
- その年の給与・賞与の見込みはいくらか。残りの支給予定も含めて見積もります。転職した人は前職の源泉徴収票で確認する給与もあります。支給時期の扱いは年末調整の対象となる給与を参照してください。
- 記入欄は「給与収入」か「給与所得」か。給与所得は給与収入から給与所得控除などを差し引いて計算するため、同じ金額ではありません。該当する人には所得金額調整控除もあります。対象年の申告書や会社の案内に沿って記入します。
「年末調整の給与収入を見積もりたいので、今年の非課税通勤手当を除いた支給見込額と、課税になる通勤手当の有無を教えてください」と聞くと確認事項がまとまります。税金や社会保険料などを控除した手取り額を、給与収入欄にそのまま使わないようにしましょう。
申告書全体の記入順は、年末調整2026の書き方で確認できます。
確認日:2026年11月7日。制度の説明はリンク先の一次資料に基づき、明細の金額は編集部の仮定例です。図解5点は当サイトが独自作成。人物写真・企業ロゴ・第三者画像は使っていません。
