結論:OTC類似薬を処方薬として使う際の追加負担は、2027年3月1日から始まります。対象は市販薬と成分・投与経路が同じで、1日最大用量が異ならない医療用医薬品。厚生労働省が公表した対象は77成分・1,042品目です。対象薬を使う場合、通常の1〜3割負担とは別に、対象薬の薬剤費の4分の1を支払います。
ただし、対象薬を使えば誰でも追加負担になるわけではありません。子ども、がん・指定難病などの治療、入院中、医師が長期使用を必要と判断した場合など、対象外となる条件があります。この記事では「いつから」「いくら増えるか」「自分や家族は対象か」を、厚労省の9月30日公表資料に沿って整理します。
OTC類似薬の追加負担は2027年3月1日開始
厚生労働省は、OTC医薬品(市販薬)との代替性が特に高い一部の医療用医薬品について、保険診療で処方・調剤する場合に薬剤費の4分の1を別途負担する制度を、2027年3月1日から始めます。2026年9月30日に施行時期と対象外条件、品目リストが公表されました。
| 確認点 | 制度の内容 |
|---|---|
| 開始日 | 2027年3月1日 |
| 対象薬 | 市販薬と成分・投与経路が同じで、1日最大用量が異ならない医療用医薬品 |
| 対象数 | 77成分・1,042品目(施行時点) |
| 追加負担 | 対象薬の薬剤費の4分の1 |
| 受診・処方 | 必要な受診は可能。診察のうえで処方されても、条件により追加負担の対象外となる |
「OTC類似薬」は市販薬と同じ商品という意味ではありません。成分が似ていても、含量・剤形・効能・用法などが異なることがあります。市販薬へ自己判断で切り替えず、治療中の薬については医師・薬剤師に相談してください。
対象薬はロキソプロフェン・フェキソフェナジンなど77成分
対象には、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、去痰薬、便秘薬、皮膚保湿剤などが含まれます。厚労省の成分一覧には、ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、L-カルボシステイン、酸化マグネシウム、ヘパリン類似物質などが掲載されています。
薬のブランド名だけでは対象か判定できません。同じ成分でも規格や品目が異なるため、厚生労働省のOTC類似薬案内ページから「対象医薬品リスト」を確認してください。公式ページには対象成分一覧、品目リスト(Excel・PDF)、対象外となる効能・傷病名の資料があります。
代表例として名前が挙がる薬が、すべての使い方で追加負担になるわけではありません。対象薬かどうかに加え、処方目的や患者の状況が判断に関係します。
追加負担はいくら?厚労省の試算例
厚労省資料では、窓口負担が3割の人について、対象薬の処方例で現在と制度開始後の薬剤費負担を試算しています。
| 薬の例 | 日数 | 現在の試算 | 制度開始後 | 差額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 解熱鎮痛薬 | 5日分 | 50円 | 70円 | +20円 |
| 去痰薬 | 5日分 | 50円 | 70円 | +20円 |
| 便秘薬 | 30日分 | 360円 | 550円 | +190円 |
| 抗アレルギー薬 | 30日分 | 540円 | 790円 | +250円 |
これは厚労省が示した薬剤費の試算で、初診料・再診料・調剤基本料などは別にかかります。薬価や処方量、加入する医療保険の負担割合によって実際の金額は変わり、表の差額をそのまま全員に当てはめることはできません。市販薬価格の欄も参考比較であり、同じ効能・品質・受診費用を含む金額ではありません。
計算の考え方は「いつもの窓口負担に、対象薬の薬剤費の25%相当が別途加わる」です。25%は診察料や処方箋料を含む医療費全体ではなく、対象薬の薬剤費に対する別途負担です。
追加負担の対象外になる9つのケース
厚労省は、必要な医療を確保するため、次のいずれかに当たる場合は追加負担の対象外としています。
- 子ども:18歳に達した後、最初に迎える3月31日まで。
- がん治療:がん治療、または治療に関連して生じた状態に対象薬を使う場合。
- 指定難病・小児慢性特定疾病:指定難病、小児慢性特定疾病(18〜20歳)またはそれらに関連する状態に使う場合。
- 国の公費負担医療:公費負担医療で対象薬を使う場合。
- 入院中:入院中の使用と退院時処方。
- 検査・処置・手術の後:侵襲を伴う検査、処置、手術に伴う使用で、その後14日以内の場合。
- 医師が長期使用を必要と判断:症状が年間を通じて続き、治療の継続性を医師が確認した場合。
- 市販薬では対応できない効能・効果:対象成分でも、処方目的が市販薬の承認された効能・効果にない場合。
- 妊娠中・妊娠の可能性・授乳中:厚労省が指定した特定の対象薬を使う場合。
対象外かどうかは、患者が薬の名前だけを見て自己判断するものではありません。処方目的や治療状況を踏まえ、医師が判断します。例えば、抗アレルギー成分の薬でも、市販薬では対応できない効能を目的に処方された場合は対象外になる例が厚労省資料に示されています。
長期使用なら一律に対象外?薬の種類と経過措置を確認
長期使用の扱いは、内服薬と外用薬で考え方が異なります。厚労省の取りまとめでは、内服薬は50週(約1年)を超える使用など、年間を通じて医療上必要と医師が判断したケースが対象外となります。半年以上の使用実績があり、その後も年間を通じた処方が必要と医師が判断する場合も含まれます。
外用薬は、年間を通じた使用と長期使用の医学的根拠が確認できる場合が対象外です。アトピー性皮膚炎への保湿剤や、計画的なステロイド外用治療などが例示されています。重度の変形性膝関節症に使う湿布、アトピー性皮膚炎以外に使う皮膚保湿剤などには、2028年度末までの経過措置が設けられています。
「何か月使えば自動的に免除」という単純な制度ではありません。処方されている薬が対象薬か、使用目的は何か、長期治療の必要性が医師に確認されているかを、診察時に相談してください。
病院に行かず市販薬を買う制度ではない
厚労省は、必要な受診を行った結果として対象薬が処方される場合に別途負担を求める制度だと説明しています。受診を禁止したり、医師が対象薬を処方できなくなったりする制度ではありません。症状が続く、悪化する、いつもと違うなどの場合は、自己判断で受診を控えないでください。
市販薬は、医療用医薬品と同じ成分名があっても、用量・効能・使える人・注意事項が異なります。妊娠中、子ども、持病がある人、複数の薬を使っている人は、購入前に薬剤師へ相談しましょう。
自分が対象か、開始前に確認する手順
- お薬手帳や薬袋で、薬の一般名・成分名を確認する。
- 厚労省の公式「対象医薬品リスト」で、処方品目が対象か調べる。
- 薬の使用目的が対象外となる効能・傷病名に当たるか、医師に確認する。
- 子ども、がん・指定難病治療、公費医療、入院、妊娠・授乳、長期使用などの条件に当たるか相談する。
- 処方内容が変わる場合は、薬剤師に代替薬や費用の説明を受ける。
制度開始後の請求や、医療機関ごとの案内方法は、処方箋や薬局の説明で確認してください。施行までに厚労省から追加資料が出た場合は、この記事を更新します。
よくある質問
OTC類似薬はいつから負担が増えますか?
2027年3月1日開始です。2026年9月30日に厚労省が施行日と対象医薬品等を公表しました。
対象薬を使うと薬代が25%値上がりしますか?
薬価を25%引き上げる制度ではありません。対象薬の薬剤費の4分の1を通常の保険内自己負担とは別に支払う仕組みです。実際の窓口額は負担割合、処方量、対象外条件などで変わります。
ロキソニンやアレグラを使う人は全員対象ですか?
いいえ。対象となる品目かに加え、処方目的や患者の状況によって対象外となる場合があります。ブランド名だけで判断せず、医師・薬剤師に確認してください。
子どもや難病患者は対象外ですか?
対象薬を子どもに使う場合や、指定難病・小児慢性特定疾病、その関連状態の治療に使う場合は対象外です。年齢や疾病との関連、実際の処方内容など条件があります。
低所得者は追加負担が免除されますか?
厚労省が公表した対象外条件には、低所得であることだけを理由とする一律免除は示されていません。公費負担医療など個別の条件に当たるか、保険者や医療機関へ確認してください。
まとめ:対象薬の処方でも追加負担にならない場合がある
OTC類似薬の一部保険外療養は2027年3月1日に始まり、施行時点の対象は77成分・1,042品目です。対象薬を処方・調剤する場合、薬剤費の4分の1が通常の保険内自己負担とは別にかかります。
一方で、子ども、がんや指定難病等の治療、入院中、医師が必要と判断した長期使用、市販薬では対応できない効能など、対象外条件も設けられています。薬の成分名だけで自分の負担を決めつけず、厚労省の品目リストを確認し、診察時に処方目的と対象外条件を相談してください。
高額な医療費を支える制度の変更は、高額療養費制度2026年改正の上限額・年収別試算でも整理しています。臨時国会で扱う医療・社会保障の議論は、臨時国会2026の注目法案と家計への影響をご覧ください。
出典・確認資料
- 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて」(2026年9月30日更新):施行日、対象成分・品目、対象外条件、公式リスト。
- 厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」:対象薬の負担例と長期使用・経過措置の考え方。
- 日本医事新報社「OTC類似薬の一部保険外療養、2027年3月施行を正式決定」(2026年10月2日):制度決定の報道と薬剤例。
確認日:2026年10月12日(日本時間)。制度の対象と費用は、医師の判断・処方内容・厚労省資料の改定で変わることがあります。
