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セルフメディケーション税制とは 市販薬で税金を安くする方法

この記事でわかること

U.S. tax forms with pencils and paperclips on green surface in a flat lay setup.
Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels

この記事では、セルフメディケーション税制(スイッチOTC薬控除)について、制度の仕組みから確定申告の手順、必要書類、具体的な節税額まで、40〜70代の方に向けてわかりやすく解説します。

  • セルフメディケーション税制の基本的な仕組み
  • 通常の医療費控除との違いと選択のポイント
  • 対象となるOTC医薬品(市販薬)の種類
  • 確定申告が必要かどうかの判断基準
  • 実際にいくら税金が安くなるかの計算例
  • 申告に必要な書類と入手方法

先に結論

Two professionals exchanging documents in an office setting, focusing on paperwork and data analysis.
Photo by RDNE Stock project on Pexels

セルフメディケーション税制とは、市販薬(OTC医薬品)の年間購入額が1万2,000円を超えた場合に、超えた分を所得から差し引ける制度です。最大8万8,000円まで控除でき、所得税と住民税の両方が軽減されます。

ただし、この制度を使うには「健康の維持増進・疾病予防への取り組み」を行っていることが条件です。具体的には、会社の健康診断・特定健診・がん検診などを受けていることが必要になります。

通常の医療費控除(年間10万円超が条件)とどちらか一方しか選べないため、自分にとって有利な方を選ぶことが節税のカギです。年間の医療費が10万円未満でも市販薬を多く購入している方には、セルフメディケーション税制の方が有利になるケースが多くあります。

対象となる人

U.S. tax documents with a 'Tax time!' reminder, highlighting the importance of filing deadlines.
Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels

セルフメディケーション税制の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。

  • 所得税または住民税を納めている(課税所得がある)
  • 定期的な健康診断・特定健診・がん検診・予防接種などを受けている
  • 対象のOTC医薬品(スイッチOTC薬)を年間1万2,000円超購入している
  • 通常の医療費控除を同年に申告しない
対象者の状況 セルフメディケーション税制 通常の医療費控除 おすすめの選択
市販薬が年1.2万円超、医療費が10万円未満 ○ 適用可能 × 適用不可 セルフメディケーション税制
医療費が年10万円超、市販薬も多い ○ 適用可能 ○ 適用可能 控除額の多い方を選ぶ
市販薬が年1.2万円以下 × 適用不可 医療費次第 通常の医療費控除を検討
給与所得者(会社員)で年末調整済み △ 確定申告が別途必要 △ 確定申告が別途必要 確定申告で申請
年金受給者(公的年金収入あり) ○ 適用可能 ○ 適用可能 どちらか有利な方
健康診断を一度も受けていない × 適用不可 ○ 医療費次第 通常の医療費控除のみ

※年金受給者の方でも、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下の場合は確定申告不要制度の対象ですが、セルフメディケーション税制の還付を受けるためには確定申告が必要です。

制度・手続きの概要

Close-up of tax documents and calculator on wooden table, highlighting financial analysis.
Photo by RDNE Stock project on Pexels

セルフメディケーション税制の仕組み

セルフメディケーション税制は、2017年(平成29年)1月にスタートした比較的新しい税制優遇措置です。2026年(令和8年)12月31日まで適用される時限措置(期限付きの特例)ですので、活用できる期間に確実に申告しましょう。国税庁の公式解説ページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm)でも制度の詳細を確認できます。

控除の仕組みは次のとおりです。

  • 年間のOTC医薬品購入額から1万2,000円を引いた金額が控除額
  • 控除額の上限は8万8,000円(購入額が10万円を超えても8万8,000円が上限)
  • 控除額に所得税率をかけた分が所得税の還付として戻ってくる
  • 翌年の住民税も軽減される(控除額×10%相当)

特例の適用条件(箇条書き)

  • 申告者本人が、その年に健康の維持増進・疾病予防のための取り組みを行っていること
  • 取り組みの具体例:会社の定期健康診断・特定健康診査(メタボ健診)・がん検診・予防接種・人間ドックのいずれか
  • 対象のスイッチOTC医薬品を年間合計1万2,000円を超えて購入していること
  • 同じ年に通常の医療費控除を申告していないこと(併用不可)
  • 確定申告書にセルフメディケーション税制の明細書を添付すること
  • 対象医薬品の領収書・レシートを申告後5年間保管すること

具体的な計算例

わかりやすいように、実際の数字で計算してみましょう。

【ケースA:市販薬の購入額が年間3万円・所得税率10%の場合】

  • 控除額:30,000円 − 12,000円 = 18,000円
  • 所得税の軽減額:18,000円 × 10% = 1,800円の還付
  • 住民税の軽減額:18,000円 × 10% = 1,800円の軽減
  • 合計節税効果:3,600円

【ケースB:購入額が年間10万円以上・所得税率20%の場合(上限適用)】

  • 控除額:上限の88,000円
  • 所得税の軽減額:88,000円 × 20% = 17,600円の還付
  • 住民税の軽減額:88,000円 × 10% = 8,800円の軽減
  • 合計節税効果:26,400円

対象となるOTC医薬品(スイッチOTC薬)とは

すべての市販薬が対象になるわけではありません。対象は「スイッチOTC薬」と呼ばれる、もともと医師の処方が必要だった成分を含み、薬局・ドラッグストアで購入できるようになった医薬品です。

具体的には、風邪薬・胃腸薬・花粉症薬・水虫薬・痛み止めなどが該当します。購入した薬のパッケージや領収書に「セルフメディケーション税制対象」の識別マークが印刷されているものが対象です。対象品目の詳細は厚生労働省が公表しています。

確定申告が必要かどうかの判断基準

セルフメディケーション税制は、年末調整では申告できません。必ず確定申告が必要です。

  • 会社員・公務員など給与所得者 → 確定申告が必要
  • 年金受給者 → 確定申告が必要(還付申告として申請)
  • 個人事業主・フリーランス → 通常の確定申告と合わせて申告
  • すでに確定申告をしている方 → 申告書にセルフメディケーション税制の欄を追加記入

還付申告(税金が戻ってくる申告)は、確定申告期間(2月16日〜3月15日)以外でも、対象年の翌年1月1日から5年間申告できます。過去の購入分を遡って申告することも可能です。申告はe-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)を使えば自宅から手続きが完結します。

必要書類と確認先

セルフメディケーション税制を申告する際に必要な書類は以下のとおりです。事前にしっかり準備しておきましょう。

申告に必要な書類一覧

  • 確定申告書:国税庁のウェブサイト(https://www.nta.go.jp/)またはe-Taxで作成・入手可能
  • セルフメディケーション税制の明細書:国税庁のウェブサイトからダウンロード(書式あり)。購入した医薬品の名称・購入日・金額を記入する
  • 対象OTC医薬品の購入を証明する領収書またはレシート:購入日・商品名・金額が記載されたもの。ドラッグストアのポイントカード明細でも可(薬局によって異なる)
  • 健康の維持増進・疾病予防への取り組みを証明する書類(以下のいずれか1点)
    • 会社の定期健康診断の結果通知書
    • 特定健康診査(メタボ健診)の結果通知書
    • 市区町村が実施するがん検診の受診結果通知
    • 予防接種(インフルエンザ等)の領収書・予診票
    • 人間ドックの結果通知書
  • 源泉徴収票(給与所得者・年金受給者の場合)
  • マイナンバーカードまたはマイナンバー確認書類と本人確認書類

書類の保管について

領収書・レシートは申告後も5年間保管する義務があります(税務署から提出を求められる場合があります)。購入のたびにレシートを封筒にまとめておくと便利です。なお、領収書の確定申告書への添付は不要ですが、手元での保管は必須です。

ケース別の注意点

ケース1:通常の医療費控除と迷っている場合

セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は、同じ年に両方を申告することはできません。どちらか有利な方を選ぶ必要があります。

目安として、年間の医療費(病院代・薬代・交通費等)が10万円を超えている場合は通常の医療費控除の方が有利なケースが多く、医療費が10万円未満でも市販薬を多く買っている場合はセルフメディケーション税制の方が有利です。両方の控除額を計算し比較してから申告することを強くお勧めします。国税庁のタックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/index2.htm)でも詳しく解説されています。

ケース2:家族分のOTC医薬品もまとめて申告できる

生計を一にする(同じ家計で生活している)家族が購入したOTC医薬品の購入額も合算して申告できます。夫婦・親子で別々に購入したレシートをまとめ、所得の多い方(税率の高い方)が申告すると節税効果が最大になります。ただし、申告できる名義人は1人に限られます。

ケース3:健康診断の受診要件は申告者本人に限られる

健康診断等の受診要件は、申告者本人が受診していることが必要です。配偶者や家族が受診していても、申告者本人の要件を満たすことにはなりません。申告する予定の方が健康診断を受けているかどうかを事前に確認しておきましょう。もし今年まだ受診していない場合は、年内に受診しておく必要があります。

ケース4:ドラッグストアのポイント値引きがあった場合

OTC医薬品の購入においてポイントを使って値引きした場合、実際に支払った金額(値引き後の金額)が申告の対象となります。ポイント値引き分は控除の対象外です。レシートに記載された「実際の支払金額」を正確に集計しましょう。

今日やること3つ

  1. 【ドラッグストアで購入したレシートを全部集める】過去1年分のレシートを探し出し、「セルフメディケーション税制対象」のマークがあるものを分けて封筒に保管する。年間1万2,000円を超えているか合計金額を確認する。
  2. 【健康診断の結果通知書を探す】会社の定期健康診断・特定健診・がん検診などの結果通知書を探して手元に用意する。見つからない場合は会社の総務部や健康保険組合、市区町村の窓口に再発行を依頼する。
  3. 【e-Taxで控除額を試算・申告する】e-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除のどちらが有利かをシミュレーションしたうえで申告書を作成・送信する。

よくある誤解

誤解1:「薬局で買った薬は全部対象になる」

これは間違いです。薬局やドラッグストアで販売されているすべての医薬品が対象になるわけではありません。対象はあくまでも「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる特定の成分を含む製品に限られます。サプリメント・健康食品・化粧品・日用品などは一切対象外です。購入する際は商品パッケージに「セルフメディケーション税制対象」のマークがあるかどうかを必ず確認しましょう。

誤解2:「年末調整で申告できる」

これも間違いです。セルフメディケーション税制は年末調整の対象外です。会社員や公務員の方でも、この税制を利用するためには確定申告が必要です。「確定申告は自営業の人がやるもの」と思っている方が多いのですが、医療費控除やセルフメディケーション税制は給与所得者でも確定申告で申告できます。e-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)のガイドに沿って入力するだけで申告書が完成しますので、ぜひ活用してください。

誤解3:「1万2,000円の購入で1万2,000円が控除される」

これも誤りです。1万2,000円は「控除の対象外となる足切り額(自己負担額)」です。年間購入額が1万2,000円を超えた分が控除の対象となります。たとえば年間2万円購入した場合、控除されるのは「2万円−1万2,000円=8,000円」です。また、控除額がそのまま還付されるわけではなく、控除額に税率をかけた金額が還付・軽減されます。

FAQ

Q1. セルフメディケーション税制は2024年・2025年も使えますか?

A. はい、使えます。この制度は2026年(令和8年)12月31日までの時限措置として延長されており、2024年分・2025年分の確定申告でも申告できます。ただし制度の延長や内容変更の可能性もあるため、最新情報は国税庁公式サイト(https://www.nta.go.jp/)でご確認ください。

Q2. 過去の年分を遡って申告することはできますか?

A. できます。還付申告(税金が戻ってくる申告)は、申告対象年の翌年1月1日から5年以内であれば申告可能です。たとえば2025年3月時点では、2020年分〜2024年分まで申告できます。申告漏れがあった方は最寄りの税務署(所在地はこちら:https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm)に相談するか、e-Taxを使って過去分をまとめて申告することをお勧めします。

Q3. 夫婦どちらの名義で申告した方が得ですか?

A. 一般的に、所得税率の高い方(収入の多い方)が申告する方が節税効果は大きくなります。ただし、生計を一にしている家族の購入分は合算できますが、申告者本人が健康診断等の受診要件を満たしている必要があります。夫婦ともに健診を受けており、どちらの名義でも申告できる場合は、税率の高い方を選ぶのが基本です。

Q4. ネット通販(Amazon・楽天など)で購入した市販薬も対象になりますか?

A. 対象のスイッチOTC医薬品であれば、購入場所がネット通販であっても対象となります。ただし、申告には購入日・商品名・金額が明記された領収書(購入明細)が必要です。ネット通販の場合は注文確認メールや領収書PDFを印刷・保存しておきましょう。商品がスイッチOTC医薬品かどうかは商品ページや厚生労働省の対象品目リストで確認できます。

Q5. 確定申告の書き方がわからない場合はどこに相談すればいいですか?

A. 最寄りの税務署に相談するか、確定申告期間中(毎年2月中旬〜3月中旬)に開設される「確定申告相談会場」を利用するのが確実です。税務署の場所はこちらから検索できます(https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm)。また、複雑なケースや節税対策全般については、税理士への相談も有効です。日本税理士会連合会(https://www.nichizeiren.or.jp/)では税理士の無料相談窓口も案内しています。

まとめ

セルフメディケーション税制は、健康診断を受けている方が対象のOTC医薬品(市販薬)を年間1万2,000円超購入した場合に、超えた分を最大8万8,000円まで所得から控除できる制度です。

この制度の最大のポイントは以下の3点です。

  • 通常の医療費控除(10万円超が条件)よりも低いハードルで控除を受けられる
  • 年末調整ではなく確定申告が必要(会社員・年金受給者も同様)
  • 健康診断の受診が申告者本人に必要な要件となっている

特に花粉症薬・風邪薬・胃腸薬などを定期的に購入している40〜70代の方にとって、この制度は見逃すともったいない節税チャンスです。まずは昨年1年間のレシートを集め、購入額が1万2,000円を超えているかどうかを確認することから始めてください。

確定申告書の作成はe-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)を使えば自宅から手続きが完結します。わからないことがあれば税務署や税理士に気軽に相談しましょう。

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