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この記事でわかること

この記事では、セルフメディケーション税制(スイッチOTC薬控除)の仕組みから、具体的な申告方法・計算例・必要書類まで、40〜70代の方が確定申告で迷わないよう、わかりやすく解説します。
- セルフメディケーション税制の基本的な仕組み
- 通常の医療費控除との違いと選び方
- 対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品)の種類
- 確定申告が必要かどうかの判断基準
- 実際の節税効果を数字で確認する計算例
- 申告に必要な書類の一覧
先に結論

セルフメディケーション税制とは、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間12,000円超購入した場合に、超えた金額(上限88,000円)を所得から差し引ける制度です。2017年1月から始まり、2026年12月31日まで適用が延長されています。
ポイントをひと言でまとめると、「ドラッグストアのレシートを捨てずに取っておくだけで、最大88,000円の所得控除が受けられる」制度です。ただし、通常の医療費控除との併用はできないため、どちらが有利かを比較して申告する必要があります。
なお、この制度を利用するには確定申告が必要です(年末調整では対応不可)。会社員であっても、この控除を受けたい場合は自分で確定申告を行わなければなりません。詳細は国税庁の公式ページをご確認ください。
対象となる人

セルフメディケーション税制を利用できるのは、以下の2つの条件を両方とも満たす人です。
- その年に健康の維持増進・疾病予防のための取り組みを行っている(健康診断・がん検診・予防接種など)
- 対象のスイッチOTC医薬品を年間12,000円超購入している
下の表で、通常の医療費控除との対象者・控除額の違いを比較しています。自分がどちらに当てはまるかを確認してください。
| 比較項目 | セルフメディケーション税制 | 通常の医療費控除 |
|---|---|---|
| 控除の対象 | 対象スイッチOTC医薬品の購入費 | 医療費全般(病院・薬・交通費など) |
| 控除が始まる最低金額 | 12,000円超から | 10万円超から(総所得200万円未満は所得×5%超) |
| 控除上限額 | 88,000円(購入額12,000円超の部分) | 200万円 |
| 健診等の要件 | 必要(健康診断・がん検診・予防接種等) | 不要 |
| 対象者のイメージ | 病院にはあまり行かないが市販薬をよく買う人 | 病院への通院が多い・入院した人 |
| 確定申告 | 必要(年末調整では適用不可) | 必要(年末調整では適用不可) |
| 併用 | 通常の医療費控除との併用不可 | セルフメディケーション税制との併用不可 |
どちらを選ぶべきか?病院代・入院費など医療費全体が年間10万円を超えるなら通常の医療費控除が有利なことが多く、市販薬の購入が中心なら本制度が有利です。両方の金額を計算してから、有利な方で申告しましょう。
制度・手続きの概要

対象となるスイッチOTC医薬品とは
「スイッチOTC医薬品」とは、もともと医療用として処方されていた成分が、市販薬(OTC=Over The Counter)として販売されるようになった医薬品のことです。パッケージに「セルフメディケーション税制対象」の識別マークが表示されているので、ドラッグストアで簡単に見分けられます。
代表的な対象品目には、鎮痛剤(ロキソニンS・イブA錠など)、胃腸薬(ガスター10・ファモチジン錠など)、花粉症薬(アレグラFX・クラリチンEXなど)、水虫薬、ニコチンパッチ類などが含まれます。ただし、すべての市販薬が対象ではないため、必ず識別マークを確認してください。最新の対象医薬品一覧は、厚生労働省の公式サイトで確認できます。
具体的な計算例
以下の具体例で、実際にいくら節税できるかを確認しましょう。
【例1】年収400万円の会社員(所得税率10%・住民税率10%)が、年間30,000円のスイッチOTC医薬品を購入した場合
- 購入額:30,000円
- 控除額:30,000円 − 12,000円 = 18,000円
- 所得税の軽減:18,000円 × 10% = 1,800円
- 住民税の軽減:18,000円 × 10% = 1,800円
- 合計節税額:3,600円
【例2】年収600万円の会社員(所得税率20%・住民税率10%)が、年間100,000円購入した場合
- 購入額:100,000円(上限88,000円が控除上限)
- 控除額:100,000円 − 12,000円 = 88,000円(上限に達するため88,000円)
- 所得税の軽減:88,000円 × 20% = 17,600円
- 住民税の軽減:88,000円 × 10% = 8,800円
- 合計節税額:26,400円
花粉症薬・胃腸薬・鎮痛剤など、日常的に市販薬を購入している方には、年間を通じてレシートを保管しておくだけで、数千円〜数万円の節税が実現します。
確定申告が必要かどうかの判断基準
セルフメディケーション税制は、年末調整では適用されません。以下のいずれかに該当する場合は、確定申告が必要です。
- 会社員で、この控除の還付申告をしたい場合(翌年1月1日から5年間申告可能)
- 自営業者・フリーランスで毎年確定申告を行っている場合
- 年金受給者で、年金所得がある場合
- すでに確定申告が必要な状況(副業収入20万円超など)の場合
会社員の方でこの控除だけを申告したい場合、「還付申告」として翌年1月1日から申告でき、税務署が混雑する2〜3月より前に手続きができます。申告はe-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)を使えばオンラインで完結します。
必要書類と確認先
確定申告でセルフメディケーション税制を申請する際には、以下の書類が必要です。事前に揃えておきましょう。
- 確定申告書(第一表・第二表):国税庁(https://www.nta.go.jp/)の確定申告書等作成コーナーまたはe-Taxで作成可能
- セルフメディケーション税制の明細書:国税庁の公式ページからダウンロード、または税務署窓口で入手
- スイッチOTC医薬品の購入レシート(領収書):対象品目が明記されたもの(2022年分以降は提出不要・自宅で5年間保管)
- 健康の維持増進・疾病予防の取り組みを証明する書類(以下のいずれか1点)
- 定期健康診断の結果通知書(勤務先が実施するもの)
- 特定健康診査(メタボ健診)の結果通知書
- がん検診・歯科検診・人間ドックの領収書や結果通知書
- 予防接種(インフルエンザ・肺炎球菌など)の領収書や予診票の控え
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- マイナンバーカードまたは本人確認書類
※2022年分の申告からは、レシート(領収書)の税務署への提出は不要となり、自宅での5年間保管のみとなりました。代わりに「明細書」を申告書に添付します。不明点は最寄りの税務署に確認しましょう。
ケース別の注意点
ケース1:会社員で年末調整を済ませた場合
会社員は年末調整でほとんどの控除が完了しますが、セルフメディケーション税制は年末調整では申告できません。控除を受けるには必ず「還付申告(確定申告)」が必要です。還付申告は翌年1月1日から受け付けており、確定申告の繁忙期(2〜3月)を避けて早めに手続きできます。申告期限は5年以内なので、過去の申告漏れがある方は遡って申告できます。
ケース2:年金受給者の場合
65歳以上で公的年金を受給している方も、セルフメディケーション税制の対象です。ただし、公的年金等の収入が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下の場合は確定申告不要となりますが、この控除で税金が還付される場合は還付申告が可能です。健康診断や人間ドックを受けている年金受給者は積極的に活用を検討しましょう。また、生計を同一にする家族全員分をまとめて申告できます。
ケース3:通常の医療費控除とどちらを選ぶか迷う場合
同じ年に通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の両方の要件を満たしている場合、どちらか一方しか選べません。必ず両方の控除額を計算して、節税効果の高い方を選ぶことが重要です。一般的に、病院・入院費が年間10万円を超えるなら通常の医療費控除、市販薬中心の支出なら本制度が有利になるケースが多いです。判断が難しい場合は税務署や税理士に相談しましょう。
ケース4:家族分まとめて申告する場合
生計を同一にする配偶者や家族が購入した対象医薬品も、まとめて申告者の控除として計上できます。たとえば夫婦それぞれが花粉症薬や胃腸薬を購入している場合、両方のレシートを合算して申告可能です。所得が多い方(税率が高い方)が申告すると節税効果が大きくなります。家族全員のレシートをひとつにまとめて管理する習慣をつけましょう。
今日やること3つ
- 【ドラッグストアのレシートを今日から専用封筒に保管する】今後購入する市販薬のレシートを捨てずに保管します。識別マーク(「セルフメディケーション税制対象」)がついた商品を中心に、まず全レシートを取っておき後で整理するのが確実です。家族全員分もまとめて保管しましょう。
- 【健康診断・がん検診・予防接種の証明書類を確認・保管する】勤務先の健康診断結果通知書、市区町村のがん検診結果、インフルエンザ予防接種の領収書などを探して保管します。これがないと制度が使えません。今年分がまだなら、年内に受診・接種しておきましょう。
- 【e-Taxにアクセスして申告準備を始める】e-Tax(https://www.e-tax.nta.go.jp/)にアクセスし、マイナンバーカードを使った申告準備を始めます。会社員なら翌年1月以降に還付申告として手続きできます。初めての方は「確定申告書等作成コーナー」が画面の案内に沿って入力できるため便利です。
よくある誤解
誤解1:「すべての市販薬が対象」だと思っている
セルフメディケーション税制の対象になるのは、スイッチOTC医薬品に限定された特定の市販薬だけです。一般的な栄養ドリンク・サプリメント・ビタミン剤・消毒薬・絆創膏・体温計・マスクなどは対象外です。対象品目かどうかは、商品パッケージの識別マークまたは国税庁の公式サイトで確認してください。レシートに「対象商品」の印字がある店舗もあります。
誤解2:「医療費控除と両方使える」と思っている
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、同じ年に両方を同時に申告することはできません。どちらか一方を選択する制度です。「病院にも行ったし、市販薬も多く買った」という場合は、それぞれの控除額を計算し、節税効果の大きい方を選んで申告してください。両方使えると誤解して申告すると修正申告が必要になる場合があります。
誤解3:「健康診断を受けなくても使える」と思っている
市販薬の購入額が12,000円を超えれば自動的に適用されると誤解している方がいますが、健康の維持増進・疾病予防のための取り組み(健康診断・がん検診・予防接種など)の証明書類が必須です。この条件を満たしていない場合、購入額がどれだけ多くてもセルフメディケーション税制は利用できません。証明書類がない場合は、通常の医療費控除の適用を検討してください。
FAQ
Q1. レシートをなくした場合はどうすればいいですか?
A. レシート(領収書)を紛失した場合、対象購入額の証明が困難になるため、原則として申告できません。購入店舗によっては購入履歴の照会が可能な場合もありますが、保証はありません。今後は購入のたびに封筒やファイルに保管する習慣をつけることをお勧めします。ドラッグストアのポイントカードアプリで購入履歴を確認できる場合もあるので、店舗に問い合わせてみましょう。
Q2. 会社員ですが、確定申告をしたことがありません。どうすればいいですか?
A. 会社員で初めて確定申告(還付申告)をする場合は、e-Taxの「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが最も簡単です。マイナンバーカードとスマートフォンがあればオンラインで完結できます。不安な場合は、確定申告期間中(2〜3月)に税務署で無料相談が受けられます。還付申告は1月から受け付けているため、混雑前の早期申告がおすすめです。
Q3. 年金受給者でも利用できますか?
A. はい、利用できます。年金受給者も健康診断(人間ドック・がん検診等)や予防接種を受けていれば、セルフメディケーション税制の対象です。ただし、課税される所得がない方(所得税・住民税が非課税の方)は控除を受けても税負担が減らないため、実質的な節税効果はありません。まず自分の課税状況を確認しましょう。不明な場合は市区町村の窓口または最寄りの税務署に相談してください。
Q4. 過去の申告漏れは遡って申告できますか?
A. はい、過去5年分の申告漏れは「還付申告」として遡って申告できます。たとえば2024年中の申告であれば、2019〜2023年分のレシートや証明書類が保管されていれば申告可能です。ただし、当時のレシートおよび健康診断等の証明書類の両方が必要です。書類がそろっている年度分だけでも申告してみましょう。申告はe-Taxまたは最寄りの税務署窓口で受け付けています。
Q5. セルフメディケーション税制はいつまで続きますか?
A. 当初2021年12月末までの時限立法でしたが、2026年12月31日まで適用期間が延長されています。制度の継続には今後も政治的判断が必要ですが、政府の「セルフメディケーション推進」政策の一環として延長が続いています。最新の適用期間については国税庁の公式サイトで必ず確認してください。
まとめ
セルフメディケーション税制は、日常的に市販薬を購入している方が比較的手軽に節税できる制度です。重要なポイントをまとめます。
- 対象のスイッチOTC医薬品を年間12,000円超購入した場合に、超えた分(最大88,000円)が所得控除になる
- 健康診断・がん検診・予防接種などの疾病予防の取り組みが必須条件
- 通常の医療費控除との選択適用(両方は使えない)
- 会社員でも確定申告(還付申告)が必要(年末調整では不可)
- 申告はe-Taxで手軽にオンライン完結できる
- 過去5年分の申告漏れも遡って申告可能
レシートの保管と健康診断の受診、この2点を習慣にするだけで、毎年数千円〜数万円の節税が実現できます。特に花粉症・胃腸・鎮痛剤など市販薬を頻繁に購入している40〜70代の方には、ぜひ活用いただきたい制度です。
公式情報・相談先
制度の詳細・最新情報・申告手続きについては、必ず以下の公式機関で確認してください。
- 国税庁トップページ:https://www.nta.go.jp/
- 国税庁|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
- e-Tax(電子申告・オンライン手続き):https://www.e-tax.nta.go.jp/
- 全国の税務署(窓口相談・所在地検索):https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
- 厚生労働省|セルフメディケーション税制対象医薬品一覧:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
- 日本税理士会連合会(税理士への相談・税理士検索):https://www.nichizeiren.or.jp/
申告方法や控除額の計算に不安がある場合は、最寄りの税務署または税理士に相談することを強くお勧めします。税務署では確定申告期間(2〜3月)を中心に無料相談が受けられます。e-Taxを使えば自宅からいつでも申告手続きを進めることができます。
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