ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は2026年10月9日、2027年2月期の親会社株主に帰属する当期純損益予想を、黒字1億5,000万円から80億円の赤字へ下方修正しました。営業利益も100億円から10億円へ90%減る見通しです。主な理由は、客数と買上点数の未達です。また、価格施策の影響で利益率も計画を下回る見通しです。さらに、店舗減損・閉鎖損・資産除却損も特別損失に見込んでいます。
この80億円は通期の予想で、確定した年間実績ではありません。また、閉店費用だけで80億円になると会社が説明したわけでもありません。売上・営業利益の下振れと、特別損失を分けて確認します。
USMHの下方修正、前回予想から何が変わった?
| 2027年2月期・通期予想 | 4月公表 | 10月修正 | 修正のポイント |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆1,332億円 | 1兆968億円 | 3.2%減 |
| 営業利益 | 100億円 | 10億円 | 90.0%減 |
| 経常利益 | 96億円 | 8億円 | 91.7%減 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1億5,000万円 | 80億円の赤字 | 黒字予想から赤字予想へ |
金額は会社資料の百万円単位を円に換算しています。営業収益は前回予想より下がりましたが、前期実績との比較では13.8%増の予想です。2026年3月にイオンフードスタイルが発足し、統合した事業の売上が加わったため、「前期比で増収」と「当初計画を下回る」は両立します。
下方修正の理由は?会社説明を3つに分けて解説
1. 客数と買上点数が計画に届かず、売上が未達
会社は、客数と買上点数が計画を下回り、通期売上高が計画未達になる見込みと説明しています。来店する人数だけでなく、1回の買い物で購入する点数も計画を下回ったことが、売上総利益の不足につながります。
2. 物価高・競争への価格対応で、利益率が計画を下回る
USMHは仕入統合や惣菜の構成比拡大で、売上総利益率を前年水準に保つ見込みとする一方、物価上昇や競争激化を背景とする価格対応の影響で、計画比では未達と予測しました。値下げや販促でお客さんを呼び込んでも、売上の伸びや利益率の改善が想定どおりでなければ、利益は計画に届きません。
10月9日の決算説明会資料では、価格競争、生活防衛意識、原材料・物流・人件費の上昇に加え、付加価値提案や高収益商品の構成比などの課題も挙げています。会社の説明をまとめると、外部コストだけでなく、売上と粗利益を計画どおり伸ばせなかったことが営業利益の下振れに重なっています。
3. 販管費削減だけでは補えず、店舗関連の特別損失も見込む
会社は販管費を計画以上に削減する見込みとしていますが、営業総利益の減少を補えず、営業利益は10億円にとどまる予想です。さらに、業績悪化に伴う店舗減損に加えて、次年度以降の構造改革に向けた店舗閉鎖損・資産除却損を見込み、純損益は80億円の赤字になると説明しています。
注意点は、80億円全額を閉店費用とみなせないことです。会社資料は、店舗の減損と閉鎖損・資産除却損を挙げていますが、それぞれの金額内訳は開示していません。店舗閉鎖は純損益予想に影響する要素の一つですが、客数・買上点数や利益率の未達は営業利益にも影響する別の要因です。
上期の実績と「通期80億円赤字予想」は別
2026年3月から8月までの中間期実績は、営業収益5,447億7,900万円、営業損失32億8,300万円、経常損失33億3,700万円、中間純損失46億4,500万円でした。これは8月末までの実績です。一方、80億円の赤字は2027年2月までの通期見通しであり、下期の結果を含む会社予想です。
上期はイオンフードスタイルの売上寄与で営業収益が前年同期比14.0%増えましたが、価格施策・販促の強化や資材価格上昇、客数・買上点数の未達、労務費・販促費・改装費の増加が利益を圧迫したと会社は説明しています。
「2030年度までに約100店閉鎖」と80億円赤字の関係
USMHは構造改革の一環で2030年度までに約100店舗を閉鎖する方針を示しています。10月12日掲載の質疑応答資料(資料記載日9日)では、閉鎖する全店舗が決まっているわけではなく、屋号・地域・規模を問わず、店舗年齢、営業損益、人口動態などを見て判断すると説明しました。現時点で個別店名が公表されたという意味ではありません。
閉店対象や時期の確認方法はUSMHの約100店閉鎖はどこ?対象店舗・時期と確認方法で整理しています。また、イオンのスーパー事業の中間決算とUSMHの業績は対象範囲が異なるため、イオンのスーパー事業が赤字となった理由も合わせて確認してください。
よくある質問
USMHは2027年2月期に80億円の赤字が確定したの?
いいえ。10月9日に公表した通期の会社予想です。対象期間は2026年3月1日から2027年2月28日で、今後の実績によって変わる可能性があります。
営業利益が90%減るのはなぜ?
客数と買上点数が計画を下回り、売上が計画未達となる見込みであること、物価上昇や競争激化に対応した価格施策の影響で売上総利益率が計画を下回る見通しであることが主な理由です。販管費は計画以上に削減する見込みですが、利益の減少を補えないと会社は説明しています。
80億円の赤字は店舗閉鎖だけが原因?
いいえ。会社資料は店舗減損、店舗閉鎖損、資産除却損を特別損失として見込む一方、営業利益の下振れ要因として客数・買上点数や利益率の計画未達も説明しています。特別損失の内訳金額は公表資料で確認できません。
閉鎖する100店舗の店名は発表された?
10月12日掲載の決算説明会Q&A(資料記載日9日)では、100店舗すべてが決まっているわけではないと説明しています。店名や所在地が公表済みと確認できる公式情報が出た段階で、個別に確認する必要があります。
まとめ
USMHは2027年2月期の営業利益予想を100億円から10億円へ、純損益予想を黒字1億5,000万円から80億円の赤字へ修正しました。会社が挙げた背景は、客数・買上点数の未達、価格競争や物価高による利益率の計画未達、そして店舗減損・閉鎖損・資産除却損の見込みです。80億円は通期予想であり、閉店費用だけの金額でも確定実績でもありません。次の決算発表や会社IRで予想の変更・実績を確認してください。
出典・確認資料
- USMH「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」2026年10月9日 — 前回予想と修正値、修正理由。
- USMH「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」2026年10月9日 — 上期実績と連結範囲。
- USMH「2027年2月期 第2四半期決算説明資料」2026年10月9日 — 上期の要因・対策、通期予想。
- USMH「2027年2月期 第2四半期決算説明会 質疑応答」2026年10月12日掲載(PDF記載日10月9日) — 約100店閉鎖と個別店舗の未決定について。
確認日:2026年10月16日(日本時間)。業績は会社予想であり、実績は変動する場合があります。投資判断は各自で最新の開示資料をご確認ください。