サンラグ式は、政党の得票数を「1、3、5、7…」で割り、商の大きい順に議席を配る方法です。現行のドント式の「1、2、3、4…」と割る数が違います。中小政党が議席を得やすくなる場合がありますが、すべての小党の議席が必ず増えるわけではありません。
2026年10月21日朝の読売新聞オンライン配信記事は、衆院比例への導入案が政党間協議で議論されたと報じています。この記事は同日昼(日本時間)の確認に基づき、制度変更の案と、すでに実施が決まった制度を区別して説明します。導入が決定したという説明ではありません。
サンラグ式とドント式の違いは「割る数」

どちらも、各党の得票数を一定の数列で割り、出てきた商を全党分まとめて大きい順に並べ、定数分の議席を配ります。標準のサンラグ式は奇数、ドント式は1から始まる整数を使います。
| 方式 | 得票数を割る数 | 配る順番 |
|---|---|---|
| ドント式 | 1、2、3、4、5… | 商の大きい順 |
| サンラグ式 | 1、3、5、7、9… | 商の大きい順 |
国立国会図書館「諸外国の下院の選挙制度」にも、自然数・奇数という数列の違いが整理されています。最初の割る数を1.4などに変える修正サンラグ式もあるため、「サンラグ式」という名前だけで細部まで同一と考えないことが必要です。
ニュージーランド選挙管理機関の公式説明ではサンラグ方式が使われています。ただし、同国の議席配分対象の条件などを、そのまま日本の導入案に当てはめることはできません。
同じ票数で5議席を配ると?計算例で比較

仮にA党10,000票、B党6,500票、C党4,000票に対して、5議席を配る場合を比べます。実在政党や実際の選挙の予測ではなく、配分方式だけの違いを見るための例です。
| 順位 | ドント式:大きい商 | サンラグ式:大きい商 |
|---|---|---|
| 1 | A:10,000÷1=10,000 | A:10,000÷1=10,000 |
| 2 | B:6,500÷1=6,500 | B:6,500÷1=6,500 |
| 3 | A:10,000÷2=5,000 | C:4,000÷1=4,000 |
| 4 | C:4,000÷1=4,000 | A:10,000÷3=約3,333.33 |
| 5 | A:10,000÷3=約3,333.33 | B:6,500÷3=約2,166.67 |
結果はドント式がA3・B1・C1、サンラグ式がA2・B2・C1です。ドント式の次点はBの3,250、サンラグ式の次点はAの2,000で、5議席目に同点はありません。Bは増えますが、この例で最も得票の少ないCは1議席のままです。
小党に必ず有利とは限らない|導入案を見る確認点

サンラグ式では、議席をすでに得た党の次の商が小さくなりやすく、相対的に小さい党の商が上位に入りやすくなります。ただし結果は各党の得票数、配る議席数、比例ブロックなどの条件によって変わります。「小党の議席が必ず増える」「特定の党が必ず得をする」という結論は、この方式名だけからは出せません。
また、議席数を減らすことと、残る議席の配り方を変えることは別の変更です。定数削減と組み合わせる案なら、配分方式だけ変えた計算と、定数も変えた計算を分けて比較する必要があります。比例の配分結果を、そのまま小選挙区を含む全体の結果と考えることもできません。
編集部の考え:制度案を評価する際には、同じ票数・同じ定数の比較をまず示し、その後に定数削減など別の条件を変えた結果を見る方が、効果を理解しやすいと考えます。今後は、採用する数列、比例の定数や区分、適用時期、法案の提出・成立状況を確認する必要があります。
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