消費者物価指数(CPI)の前年同月比がプラスでも、前月比がマイナスになることはあります。前年同月比は「1年前の同じ月」、前月比は「先月」と比べるためです。昨年より高く、先月より低い状態は両立します。
さらに、前月比を見るときは季節調整の有無も確かめます。数字の符号だけで「家計の負担が軽くなった」と判断せず、何月・どの地域・どの系列の数字かをそろえるのが出発点です。資料の確認日は2026年11月6日。以下の指数と計算は説明用の仮定で、実際の発表値ではありません。
前年同月比はプラス、前月比はマイナスになる計算例

同じ地域・同じ品目構成の季節調整前の指数について、前年の同じ月を100、前月を105、当月を104と仮定します。比較に使う3つの指数の条件は同じです。
| 比べ方 | 計算 | 読み方 |
|---|---|---|
| 前年同月比 | (104÷100−1)×100=+4% | 1年前の同じ月より4%高い |
| 前月比 | (104÷105−1)×100≒−1.0% | 先月より約1.0%低い |
前月から指数が1ポイント下がっても、下落率は1%ちょうどにはなりません。分母が105なので、100分の1ではなく105分の1の下落です。変化率は「当月の指数÷比較相手の指数−1」に100を掛けると求められます。計算方法は統計局「消費者物価指数のしくみと見方」30〜31ページでも確認できます。同資料は2020年基準ですが、ここでは変化率の定義だけを参照しています。
実際の統計は丸める前の指数から変化率を計算しているため、公表された小数第1位の指数で計算し直すと、公表の変化率とずれる場合があります。数値を確認するときは公表表の変化率欄と注記を読みます。統計局「利用上の注意」
季節調整済みの前月比は、店頭価格と同じではない

衣料品のセールのように、毎年同じ時期に現れやすい値動きがあります。季節調整は、こうした平均的な季節変動を推計して取り除き、直近の動きを読みやすくする処理です。原数値の前月比と、季節調整済みの前月比を混ぜて比較しないようにします。
統計局は、実際の価格が変わっていない月でも季節調整値が動く場合があると説明しています。調整済みの率を、その月の店頭価格や自分の支払額が下がった割合と読み替えることはできません。一方、季節調整を行わない前月比も公表されており、値動きそのものを見る際に参照できます。統計局Q&A C-2
前年同月比は同じ季節の月同士を比べられますが、その率には現在だけでなく1年前の値動きも影響します。足元の変化を確かめたい場合は、同じ系列の季節調整済み前月比も確認します。季節調整済指数は新しいデータを加えて改定される点にも注意が必要です。2025年基準CPIの解説「第7 季節調整」
ニュースから家計へ読み替える5項目のメモ

| 確認欄 | 書き留めること |
|---|---|
| 地域 | 全国/東京都区部など |
| 対象月 | 公表日ではなく、何月分の指数か |
| 指数系列 | 総合/生鮮食品を除く総合など |
| 季節調整 | あり/なし |
| 比較時点 | 前年の同じ月/前月/年平均など |
たとえば「全国・9月・総合・季節調整なし・前年同月比」と書き留めると、東京都区部の翌月分や、季節調整済みの前月比との取り違えを防げます。総合・コアなど集計対象の違いは3つのCPIに含まれる品目の比較で整理しています。
家計では、同じ商品の単価と購入量を分けて確認します。食費が減っていても、買う量を減らした結果なら値下がりとは限りません。電気代も、使用量・単価に加え、使用月と請求月のずれを確かめます。全国の指数の下落だけで、自分の家計全体の負担減を決めつけないことが大切です。
