結論:小選挙区制は「選挙区ごとに候補者1人を選ぶ」方式、比例代表制は「政党の得票に応じて議席を配分する」方式です。衆議院では有権者が候補者名と政党名の2票を投じ、2つの方式を組み合わせます。
| 比較 | 小選挙区 | 比例代表 |
|---|---|---|
| 何を選ぶ? | 地域の候補者 | 政党(衆院)/政党または候補者(参院) |
| 当選・議席の決まり方 | その選挙区で最も票を得た1人が当選 | 政党の得票数に応じて議席を配分 |
| 特徴 | 勝敗が明確で、地域の代表を選びやすい | 少数政党にも得票に応じた議席が配分されやすい |
| 注意点 | 当選者以外に投じた票は議席に結びつかないことがある | 衆院と参院で投票方法・名簿の仕組みが違う |
「小選挙区の票は候補者へ、比例代表の票は政党へ」と覚えると、衆議院の投票用紙2枚の違いが分かりやすくなります。ただし参議院の比例代表では候補者名で投票することもできます。
小選挙区制とは?選挙区で最多得票の1人が当選
小選挙区制は、選挙区ごとに議員1人を選ぶ制度です。候補者が3人いて、A候補40%、B候補35%、C候補25%を得票した場合、最多得票のA候補が当選します。過半数に届かなくても、他の候補より票が多ければ当選するのが特徴です。
この例では、B・C候補に投じた合計60%の票は、その選挙区の当選者を直接決めません。このように当選者以外への票が議席に反映されにくいことを、一般に「死票」の問題と呼びます。小選挙区制は勝敗が明確になる一方、得票率と議席数に差が出ることがあります。
比例代表制とは?政党の得票に応じて議席を配分
比例代表制は、政党などが得た票の割合に応じて議席を配分する制度です。衆議院では全国を11ブロックに分け、各ブロックの政党得票をもとに議席数を決めます。参議院では全国を1つの選挙区として比例代表選挙を行います。
ドント式の簡単な計算例
衆議院比例代表などで使われるドント式は、各政党の得票数を1、2、3……で割り、商の大きい順に議席を割り当てる方法です。たとえば、定数4の仮想選挙でA党が6,000票、B党が3,500票、C党が1,200票を得たとします。
| 政党 | ÷1 | ÷2 | ÷3 |
|---|---|---|---|
| A党 6,000票 | 6,000(1位) | 3,000(3位) | 2,000 |
| B党 3,500票 | 3,500(2位) | 1,750 | 1,167 |
| C党 1,200票 | 1,200(4位) | 600 | 400 |
上位4つの商を数えるため、この仮想例ではA党2議席、B党1議席、C党1議席になります。実際の選挙ではブロックや定数、候補者名簿などに基づいて計算されます。この表は仕組みを説明するための単純化した例です。
衆議院は小選挙区と比例代表の「2票」
衆議院の定数は465人で、小選挙区289人、比例代表176人です。有権者は小選挙区では候補者名、比例代表では政党名を記入します。衆議院比例代表は拘束名簿式で、政党が届け出た名簿に基づいて当選者が決まります。
衆議院は「小選挙区比例代表並立制」です。小選挙区の議席と比例代表の議席は別々に決まります。比例代表の議席で、小選挙区の得票差を埋め合わせて各党の最終議席を比例化する仕組みではありません。この点が、比例代表の議席で小選挙区の偏りを調整する「併用制」との違いです。
小選挙区で落選しても比例代表で当選することがある
衆議院選挙では、候補者が小選挙区と比例代表の両方に立候補する「重複立候補」が認められています。小選挙区で落選しても、所属政党が比例代表で議席を得ていて、名簿上の条件を満たす場合は当選することがあります。同じ順位の候補者間では、小選挙区での「惜敗率」などが当選順位に関係します。小選挙区の当落と比例代表の名簿順位を別々に確認すると、復活当選の理由を理解できます。
参議院は選挙区と全国比例、比例は候補者名でも投票できる
参議院の定数は248人で、選挙区148人、比例代表100人です。選挙区は原則として都道府県を単位とし、定数に応じて複数人が当選する選挙区もあります。参議院の比例代表は全国を1つの選挙区とし、政党名または候補者名で投票できます。
参議院比例代表は非拘束名簿式が基本です。政党の議席数を決めた後、候補者名で得た票数などをもとに当選者を決めます。ただし、政党が優先順位を指定する「特定枠」があります。衆議院比例代表は政党名、参議院比例代表は政党名か候補者名、と区別してください。
| 議院 | 選挙区 | 比例代表 | 比例代表の投票先 |
|---|---|---|---|
| 衆議院 | 小選挙区289人 | 11ブロック・176人 | 政党名 |
| 参議院 | 選挙区148人 | 全国・100人 | 政党名または候補者名 |
小選挙区制と比例代表制のメリット・デメリット
| 方式 | メリット | 課題 |
|---|---|---|
| 小選挙区制 | 地域の代表を選びやすく、選挙区ごとの勝敗が明確 | 僅差でも勝者が議席を得て、少数意見や得票が議席に反映されにくい |
| 比例代表制 | 政党への支持を議席に反映しやすく、少数政党にも議席の機会がある | 有権者が選んだ個人が必ず当選するとは限らず、議席配分の計算がやや複雑 |
どちらが優れているかは、何を重視するかで評価が変わります。地域の代表性や政権の形成を重視する考えと、得票と議席の比例性・多様な意見の反映を重視する考えがあります。制度を比べるときは、候補者の選び方だけでなく、得票が最終的な議席にどう反映されるかを見ることが大切です。
よくある質問
小選挙区と比例代表は、どちらに投票すればよいですか?
衆議院選挙では両方に投票します。小選挙区は候補者名、比例代表は政党名を記入します。2つの票を同じ政党にそろえる必要はなく、それぞれ別の基準で選べます。
小選挙区の「死票」とは何ですか?
その選挙区で当選者以外の候補者に投じられ、議席の獲得に結びつかなかった票を指す言葉です。票が無効という意味ではありませんが、小選挙区では得票が議席に反映されない場合があります。
衆議院比例代表で候補者の個人名を書けますか?
衆議院比例代表では政党名を記入します。参議院比例代表では政党名または候補者名で投票できます。投票用紙の記入方法は、選挙ごとの選挙管理委員会の案内で確認してください。
「並立制」と「併用制」は同じですか?
異なります。日本の衆議院の並立制では、小選挙区と比例代表の議席を別々に計算します。併用制では比例代表の得票をもとに全体の議席配分を調整する方式があります。
小選挙区で落選した候補者が当選するのはなぜですか?
衆議院選挙で比例代表にも重複立候補し、政党が比例議席を獲得して名簿上の条件を満たすと、比例代表で当選することがあります。小選挙区での惜敗率が順位決定に関係する場合があります。
まとめ
小選挙区制は選挙区で候補者1人を選び、比例代表制は政党の得票に応じて議席を配分します。衆議院では候補者名と政党名の2票を使う並立制、参議院では選挙区と全国比例を組み合わせ、比例代表で候補者名も選べる仕組みです。
衆議院と参議院では定数や投票方法、名簿の扱いが異なります。選挙の際は、選挙管理委員会が公表する投票方法を確認してください。臨時国会の審議や法案の動きは2026年臨時国会の注目法案・日程まとめで更新しています。衆院比例の45議席削減案については、法案の条件と比例定数176人から131人への案も解説しています。
出典・参考資料
- 衆議院「国会の構成」(定数・選挙区の内訳)
- 参議院「国会の地位と権能」(選挙区・比例代表の定数)
- 参議院「参議院議員選挙制度の変遷」(選挙区・比例代表の仕組み)
- 東京都選挙管理委員会「選挙Q&A・用語集」(比例代表、拘束名簿式・非拘束名簿式)
内容確認日:2026年10月13日。定数等は出典の公表内容に基づきます。実際の投票方法は、選挙時に選挙管理委員会の案内をご確認ください。
