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この記事でわかること

「厚生年金と国民年金、何がどう違うの?」「自分はいくらもらえるの?」——そんな疑問を持つ40〜70代の方に向けて、この記事では厚生年金と国民年金の仕組みの違い・受給額の計算方法・手続きの流れをわかりやすく解説します。
- 厚生年金と国民年金の根本的な違い
- 受給額のおおまかな計算方法(目安の数字つき)
- 会社員・自営業・専業主婦(夫)など立場別の注意点
- 繰り上げ・繰り下げ受給のメリット・デメリット
- 今日すぐできる手続き確認の3ステップ
公式情報をもとに正確な内容をお届けします。最後まで読めば「自分がとるべき行動」が明確になります。
先に結論

結論をひと言でまとめると、「国民年金は全員が入る土台、厚生年金はその上乗せ」です。
日本の年金制度は「2階建て」と呼ばれています。1階部分が国民年金(基礎年金)で、日本に住む20歳以上60歳未満の全員が加入します。2階部分が厚生年金保険で、会社員や公務員など給与所得者が追加で加入する制度です。自営業者やフリーランスは原則として1階部分の国民年金のみとなります。
そのため、会社員は老後に「老齢基礎年金+老齢厚生年金」の両方を受け取れるのに対し、自営業者は「老齢基礎年金」のみとなり、受給額に大きな差が生まれます。この差を知っておくことが、老後設計の第一歩です。
対象となる人

厚生年金と国民年金のどちらに加入するかは、職業・雇用形態・居住状況によって決まります。以下の比較表で自分の立場を確認しましょう。
| 立場 | 加入する年金 | 保険料の負担 | 老後の受給 |
|---|---|---|---|
| 会社員・公務員 | 国民年金+厚生年金 | 給与から天引き(会社が半額負担) | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
| 自営業者・フリーランス | 国民年金のみ | 月額16,980円(2024年度)を全額自己負担 | 老齢基礎年金のみ |
| 専業主婦(夫)/第3号被保険者 | 国民年金(保険料免除) | 配偶者の厚生年金から充当(自己負担なし) | 老齢基礎年金のみ |
| パート・アルバイト(週20時間未満等) | 国民年金のみ(原則) | 月額16,980円を全額自己負担 | 老齢基礎年金のみ |
| パート・アルバイト(一定要件を満たす) | 国民年金+厚生年金 | 給与から天引き(会社が半額負担) | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
| 海外居住者(任意加入) | 国民年金(任意加入) | 月額16,980円を全額自己負担 | 加入期間に応じた老齢基礎年金 |
※パートの厚生年金加入要件は2024年10月から従業員51人以上の企業に拡大されました。勤務先の規模によって判断が変わるため、詳細は日本年金機構公式サイトでご確認ください。
制度・手続きの概要

国民年金(老齢基礎年金)の受給額の計算方法
国民年金の受給額は、「保険料を納めた月数」によって決まります。2024年度の満額は年間816,000円(月額68,000円)です。
計算式は以下のとおりです。
老齢基礎年金額 = 816,000円 × (保険料納付済月数 ÷ 480月)
480月とは40年間(20歳〜60歳)をすべて納めた場合の月数です。たとえば35年間(420月)納めた場合、816,000円 × 420÷480 = 約714,000円(年額)となります。未納や免除期間があると、その分だけ受給額が減ります。
厚生年金(老齢厚生年金)の受給額の計算方法
厚生年金は、「在職中の平均標準報酬額(給与・賞与の平均)」と「加入期間」の両方で金額が変わります。
おおまかな計算式(報酬比例部分)は下記です。
老齢厚生年金(報酬比例部分) = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
たとえば、平均標準報酬額が月35万円・加入期間35年(420月)の場合:
350,000円 × 5.481/1000 × 420月 = 約805,707円(年額)
この金額に老齢基礎年金を合算すると、年間約152万円(月約12.7万円)が目安となります。ただし実際の計算は複雑なため、正確な見込み額はねんきんネットで確認することを強くお勧めします。
受給開始年齢と手続き
原則の受給開始年齢は65歳です。受給開始の約3か月前に日本年金機構から「年金請求書(事前送付用)」が届きます。それに必要事項を記入して、65歳の誕生日以降に年金事務所またはお近くの市区町村窓口へ提出してください。
手続きを忘れると年金は自動的には支払われません。請求書を受け取ったら速やかに手続きを行いましょう。
必要書類と確認先
老齢年金を請求する際に一般的に必要となる書類は以下のとおりです。状況によって追加書類が求められる場合があります。
- 年金請求書(日本年金機構から郵送される、または窓口で入手)
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 戸籍謄本(記載事項証明書)※生年月日確認のため
- 住民票の写し(マイナンバーを記載した場合は省略可)
- 本人の銀行口座がわかるもの(通帳またはキャッシュカードのコピー)
- 印鑑(認印可)
- 雇用保険被保険者証(60〜64歳で特別支給の老齢厚生年金を請求する場合)
- 配偶者の年金手帳・戸籍謄本(加給年金額の加算対象者がいる場合)
- 障害状態確認届または診断書(障害を理由とした加算がある場合)
書類の詳細は日本年金機構「老齢年金の受給手続き」ページで最新情報を必ずご確認ください。
手続き先・問い合わせ先
- 年金事務所窓口:全国の年金事務所(要予約推奨)
- 市区町村の国民年金担当窓口:国民年金のみの方はこちらでも手続き可
- ねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/):見込み額の試算・加入記録の確認
- ねんきんダイヤル:0570-05-1165(平日8:30〜17:15)
ケース別の注意点
ケース①:会社員から自営業に転職した場合
会社員を辞めて自営業になると、厚生年金の資格を喪失し、国民年金第1号被保険者に切り替わります。退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村窓口で国民年金への加入手続きが必要です。手続きが遅れると未納期間が生じ、将来の受給額が減ります。保険料の支払いが困難な場合は「保険料免除・猶予制度」を活用しましょう。
ケース②:専業主婦(夫)が扶養から外れた場合
配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れた場合も、14日以内に市区町村窓口で第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。手続きを怠ると「未届け」扱いとなり、後から過去に遡って保険料を納付しなければならないケースがあります。共働きになってパート収入が増えた方も、年収や勤務条件を確認しましょう。
ケース③:繰り上げ受給・繰り下げ受給を選ぶ場合
年金は65歳が原則ですが、60〜64歳での繰り上げ受給と66〜75歳での繰り下げ受給が選べます。
| 選択肢 | 受給率の変化 | 注意点 |
|---|---|---|
| 繰り上げ受給(最大60歳) | 1か月につき0.4%減額(最大24%減) | 一度決定すると取り消し不可。障害年金への切り替えも不可になる |
| 通常受給(65歳) | 基準額(100%) | — |
| 繰り下げ受給(最大75歳) | 1か月につき0.7%増額(最大84%増) | 長生きするほど有利。75歳まで繰り下げると受給額が1.84倍に |
繰り下げは長生きリスクに備える有効な手段ですが、健康状態や生活費の確保状況を踏まえて慎重に判断してください。
ケース④:海外居住者の場合
日本国籍を持ち海外に居住する20歳以上65歳未満の方は、国民年金に任意加入できます。海外在住期間は受給資格期間(最低10年)には算入されますが、年金額には反映されません(合算対象期間)。将来の受給額を増やしたい場合は任意加入が有効です。手続きは出国前に年金事務所か市区町村窓口で行うか、在外公館(大使館・領事館)でも受け付けています。
今日やること3つ
- 【ねんきんネットに登録して、自分の加入記録と受給見込み額を確認する】
ねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/)にアクセスし、基礎年金番号またはマイナンバーで登録。「年金見込み額試算」機能で、65歳時点での受給予定額をシミュレーションしましょう。 - 【「ねんきん定期便」の最新版を探して、未納・未加入期間がないか確認する】
毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」には、これまでの加入履歴と受給見込み額が記載されています。空白期間(未納・免除等)があれば、2年以内であれば保険料の後払い(追納)が可能です。期限を過ぎると追納できなくなるため、早めの確認が重要です。 - 【60歳以降の繰り上げ・繰り下げについて、年金相談センターまたはFPに相談する予約を入れる】
年金相談センター(https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/)では、専門の相談員が個別の状況に合わせたアドバイスをしてくれます。受給開始年齢の選択は一生に一度の重要な決断です。事前に情報を揃えて相談に臨みましょう。
よくある誤解
誤解①「年金は65歳になれば自動的に振り込まれる」
これは誤りです。年金は自動的に支給されるものではなく、本人が「年金請求書」を提出して初めて受け取れます。65歳の誕生日の約3か月前に日本年金機構から請求書が届きますが、提出しないと受給が始まりません。万が一請求書が届かない場合は、年金事務所または日本年金機構に問い合わせてください。なお、請求を忘れたまま5年以上経過すると、時効により過去の年金が受け取れなくなる場合があるため注意が必要です。
誤解②「国民年金は10年払えば満額もらえる」
これも誤りです。2017年8月から受給資格期間が25年から10年に短縮されましたが、「受給資格が得られる」だけです。満額(年間816,000円)を受け取るには40年間(480か月)の納付が必要です。10年(120か月)しか納めていない場合、受給額は満額の4分の1(約204,000円/年)にとどまります。未納期間がある方は追納や任意加入を検討しましょう。
誤解③「パートは厚生年金に入れない」
これも誤りです。2024年10月以降、従業員51人以上の企業でパート・アルバイトとして働く場合、①週20時間以上、②月額賃金8.8万円以上、③2か月を超える雇用見込みという要件を満たせば厚生年金に加入義務があります。将来の受給額増につながるため、該当する方は勤務先に加入状況を確認してください。
FAQ
Q1. 国民年金と厚生年金、両方に加入した期間がある場合はどうなりますか?
A. 会社員時代と自営業時代など、両方の加入期間がある場合は、それぞれの期間に応じた年金が合算して支給されます。老齢基礎年金は国民年金・厚生年金の全加入期間で計算され、老齢厚生年金は厚生年金に加入していた期間のみで計算されます。通算の加入記録はねんきんネットでいつでも確認することができます。
Q2. 年金の受給資格期間(10年)に満たない場合はどうすればよいですか?
A. 受給資格期間(合算対象期間を含む10年)に満たない場合は、年金が1円も受け取れません。対策として、①60歳以降も国民年金に任意加入する(最長65歳まで)、②厚生年金適用事業所で働いて加入期間を増やす、などの方法があります。詳しくは最寄りの年金事務所、または年金相談センターにご相談ください。
Q3. 夫が亡くなった場合、妻は厚生年金を受け取れますか?
A. はい、一定の要件を満たす場合、「遺族厚生年金」を受け取ることができます。夫が厚生年金の被保険者または老齢厚生年金の受給者であり、妻の年収が850万円未満などの条件を満たせば受給可能です。受給額は夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本となります。夫の死亡から5年以内に年金事務所への請求が必要ですので、早めに手続きを行いましょう。
Q4. 離婚した場合、相手の年金を分けてもらえますか?
A. はい、「年金分割制度」があります。婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を最大2分の1まで分割できます。合意分割(双方合意が必要)と3号分割(第3号被保険者期間は自動的に2分の1)の2種類があります。離婚後2年以内に年金事務所への請求が必要です。期限を過ぎると請求できなくなるため、離婚が決まったら速やかに日本年金機構または年金事務所に相談してください。
Q5. 65歳以降も働いている場合、年金は全額もらえますか?
A. 65歳以降も厚生年金適用事業所で働く場合は「在職老齢年金制度」の対象となります。2022年4月の法改正により、65歳以上は月給と年金の合計が50万円を超えた場合に超過分の半額が支給停止となります(2024年度)。月収が平均的な水準であれば多くの方は全額受け取れますが、高収入の場合は一部が減額されます。また、70歳未満であれば働きながら厚生年金保険料を払い続けることで将来の受給額が増えるメリットもあります。詳細はねんきんネットの試算機能でご確認ください。
まとめ
厚生年金と国民年金の違いを整理すると、以下のポイントが重要です。
- 国民年金は全員加入の基礎年金。満額は年約81.6万円で40年間の納付が必要。
- 厚生年金は給与所得者の上乗せ年金。収入と加入期間が長いほど受給額が増える。
- 自営業・フリーランスは国民年金のみのため、iDeCoや国民年金基金で上乗せを検討すること。
- 繰り上げ・繰り下げは健康状態と生活設計を踏まえて慎重に選択すること。
- 年金は自動支給ではない。65歳前後に届く請求書を見逃さず、速やかに手続きを行うこと。
- 未納・未加入期間があれば、2年以内の追納や任意加入で将来の受給額を増やせる。
年金制度は毎年のように改正が行われます。制度変更による影響を受けないよう、定期的にねんきんネットで自分の記録を確認し、疑問が生じたら早めに専門家や年金事務所に相談する習慣を持つことが大切です。老後の生活の柱となる年金を正しく理解し、今から備えていきましょう。
公式情報・相談先
- 日本年金機構 公式サイト:https://www.nenkin.go.jp/
制度の概要・手続き書類・最新の法改正情報はこちら - ねんきんネット(加入記録・受給見込み額の確認):https://www.nenkin.go.jp/n_net/
年金見込み額の試算や加入履歴の確認が24時間いつでも可能 - 年金相談センター(全国の窓口予約):https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/
複雑なケースや個別相談は予約制の窓口で専門家に直接相談可能 - ねんきんダイヤル(電話相談):0570-05-1165
受付時間:月〜金 8:30〜17:15(月曜のみ19:00まで延長)、第2土曜 9:30〜16:00 - 日本年金機構「老齢年金の受給手続き」詳細ページ:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
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