結論:DVやストーカー行為、児童虐待などの被害者を守る住民基本台帳の「支援措置」をめぐり、自治体の誤交付などによる情報漏えいが2021〜2025年度の5年間で計68件あったと報じられました。内訳は2021・2022年度が各14件、2023年度が12件、2024年度が21件、2025年度が7件です。
この記事の基準時点は2026年10月5日12時00分ごろ(日本時間)です。68件は総務省が都道府県から報告を受けた件数で、すべての漏えい事案を網羅した数字か、個々の被害の程度まで示す統計かは確認できません。報道で確認できる事実、現行の支援措置、まだ分からない制度運用を分けて整理します。
5年間で68件、年度別では2024年度が最多
10月5日付の報道によると、DV被害者などの住所情報が自治体の誤交付などで漏えいした件数は、2021年度と2022年度が各14件、2023年度が12件、2024年度が21件、2025年度が7件でした。合計すると68件です。
この数字は、自治体が把握して都道府県経由で報告した範囲の件数です。報告されていない事案があるか、同じ事案に複数の報告が含まれるか、住所が実際に加害者側へ届いたケースと未遂をどう分類しているかは、今回確認できた公表資料だけでは分かりません。
守る対象は住民票だけではない
支援措置は、支援の必要性が認められた人について、相手方からの住民基本台帳の一部の閲覧、住民票の写し等の交付、戸籍の附票の写し等の交付を制限する仕組みです。戸籍の附票は住所の履歴を確認できるため、住民票とは別に守る必要があります。
自治体の案内では、DV、ストーカー行為、児童虐待などの被害者が対象になり得ます。同一住所の家族を併せて対象にできる場合もありますが、具体的な要件と手続きは相談機関や自治体の窓口で確認します。
相手方の請求を原則拒否する制度
大分市や福島市などの自治体案内では、支援の必要性が確認された場合、相手方からの住民票や戸籍の附票の請求を制限し、閲覧台帳から対象者を外す仕組みが説明されています。制度の中心は、被害者が住所を知られないようにすることです。
ただし、支援措置は相手方からの不当な請求を制限する制度であり、あらゆる第三者の請求を自動的に拒否する制度ではありません。正当な請求かどうか、請求者の本人確認や請求理由を審査する運用が残ります。
本人が請求するときも確認が厳しくなる
支援措置を受けた本人が自分の住民票等を請求する場合も、自治体は本人確認を厳格に行います。代理人、郵送、広域交付などが制限される場合があるため、証明書が必要なときは先に担当窓口へ相談する必要があります。
これは被害者に余計な負担を課すためではなく、加害者が本人になりすまして住所情報を取得することを防ぐための手続きです。自治体によって窓口、必要書類、受付時間が異なる点は注意が必要です。
今回の68件で見えたのは「誤交付」と報告の遅れ
報道では、北海道名寄市で2024年4月、DV被害者の女性の住所が記載された戸籍の附票を元配偶者側に誤交付した後、市が9か月間報告を怠っていた事例が紹介されています。個別事案の全経緯や責任の所在は、自治体の調査結果を確認しなければ断定できません。
重要なのは、交付段階の対象者確認だけでなく、誤交付を把握した後の緊急報告、被害者への連絡、再発防止までが一続きの対応になることです。68件の集計だけでは、各自治体がどの対応を実施したかまでは分かりません。
標準化システムのポップアップは万能ではない
報道によると、全国の住民基本台帳システムの標準化では、支援措置対象者に関するポップアップを表示して誤交付を防ぐ仕組みが整備されています。一方で、システム事業者への発注が集中し、2025年度末を過ぎても導入が終わっていない自治体があるとされています。
ポップアップが表示されても、請求者の本人確認、請求理由の審査、例外処理、記録の引き継ぎは職員の運用に残ります。システムの導入率、自治体ごとの検証結果、未導入自治体の件数は今回確認した公開資料では明らかではありません。
支援措置を申し出るときの基本的な流れ
自治体の案内では、支援措置を希望する場合、まず警察、配偶者暴力相談支援センターなどの相談機関に相談し、支援の必要性に関する意見を付してもらう流れが基本です。その後、住民登録のある市区町村の窓口で申し出ます。
緊急性がある場合は、証明書の手続きより安全確保が優先です。政府広報は警察相談専用電話「#9110」や女性相談支援センター全国共通短縮ダイヤル「#8778」を案内しています。緊急の危険がある場合は110番を利用します。
支援措置は住所を隠す仕組みで、すべての情報漏えいを防ぐ制度ではない
支援措置は、住民基本台帳の閲覧や住民票・戸籍の附票の交付を通じて住所を知られることを防ぐ制度です。勤務先、学校、医療機関、郵便、SNSなど、別の経路で住所が伝わる危険まで一つの制度で解消するものではありません。
自治体の案内では、第三者からの請求についても本人確認と請求理由の審査を行いますが、正当な目的の請求まで一律に拒否する制度ではないと説明されています。被害者の安全計画は、自治体、警察、相談機関、勤務先などと個別に考える必要があります。
68件からは自治体ごとの対応差が分からない
今回の報道で確認できるのは、年度別の合計件数、誤交付の事例、総務省が自治体に周知していること、標準化システムの導入遅れが問題になっていることです。自治体ごとの原因、被害者への通知、再発防止策、処分の有無までは一つの全国表に整理されていません。
「68件あったから自治体の制度全体が機能していない」と結論づけることも、「標準化システムが入れば再発しない」と期待することも早計です。件数を入口に、行政の報告経路と窓口運用がどう改善されたかを追う必要があります。
12時時点で確認できたことと未確認のこと
2026年10月5日12時時点で確認できるのは、総務省への報告ベースで5年間に68件の情報漏えいがあったこと、住民票・戸籍の附票・閲覧台帳を対象にした支援措置があること、自治体の誤交付と報告の遅れが課題として報じられたことです。
一方、68件が全国の全事案を網羅しているか、自治体ごとの原因・被害・再発防止策、標準化システムの導入完了率は確認できません。総務省や各自治体が集計方法と改善状況を公表した段階で、数字の意味を改めて検証する必要があります。
出典と確認時点
主な出典は以下のとおりです。68件の年度別内訳と名寄市の事例は報道、支援措置の制度内容は自治体の公式案内、相談先は政府広報オンラインで確認しました。
- @T COMニュース「DV被害者などの情報漏えい、5年間で68件 報告怠る自治体も」(2026年10月5日7時)
- 練馬区「DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者への支援措置」(2026年1月26日更新)
- 福島市「支援措置制度」(2026年7月10日更新)
- 豊田市「住民基本台帳事務における支援措置」(2026年10月1日更新)
- 政府広報オンライン「ストーカー行為は犯罪です!迷わず警察に相談を」
- 政府広報オンライン「DVに悩んでいませんか」
- 警察庁「住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置」
Yahoo! JAPAN確認:2026年10月5日12時04分ごろ。国内「DV被害者らの情報漏洩 5年で68件」は302件のコメントでした。これはYahoo!利用者の関心シグナルであり、漏えい件数、制度の必要性、行政の責任を示す根拠には使用していません。
