法律案の「60日」は、衆議院が参議院の否決とみなせる条件です。予算の「30日」は、参議院が議決しない場合に、衆議院の議決が国会の議決となる条件です。法律案は60日が過ぎても自動成立せず、その経路で成立させるには衆院で出席議員の3分の2以上による再可決が必要です。
一方、予算にはこの再可決は必要ありません。参院が否決した場合や、衆院が参院の修正に同意しない場合は両院協議会を開き、意見が一致しなければ衆院の議決が国会の議決になります。参院の修正に衆院が同意した場合は、その内容で成立します。日本国憲法59条・60条に基づき、二つのルールを整理します。資料確認日:2026年11月6日。
法律案の60日と予算の30日を比較

共通するのは、参院が衆院で可決された議案を受け取った後のルールという点です。政府が国会へ提出した日から、すべての議案に一律に60日・30日を当てはめる仕組みではありません。
| 確認する点 | 法律案:60日 | 予算:30日 |
|---|---|---|
| 参院が議決しない場合 | 60日以内に議決しなければ、衆院は参院が否決したとみなせる | 30日以内に議決しなければ、衆院の議決が国会の議決となる |
| その経路での再可決 | 衆院の出席議員の3分の2以上が必要 | 不要 |
| 参院が異なる議決をした場合 | 衆院で3分の2以上の再可決による成立が可能。両院協議会を求めることもできる | 参院の修正に衆院が同意すれば成立。同意しない場合や参院否決では、両院協議会でも一致しなければ衆院の議決が国会の議決となる |
| 日数から除く期間 | 国会休会中の期間 | 国会休会中の期間 |
根拠は憲法59条2項・4項、60条2項です。両院が同じ内容を可決する通常の成立ルートとは別に、意見が分かれたときや参院が議決しないときの扱いが定められています。
参院が否決した場合と、議決しない場合の分岐

法律案を参院が否決した場合は、60日を待つ必要はありません。すでに両院の議決が異なるので、衆院が出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法律になります。両院協議会で調整を図る選択肢もあります。
法律案を参院が議決しない場合は、休会中の期間を除いて60日以内に議決しなかったことを受け、衆院が「否決したものとみなす」と決めることができます。そのうえで再可決する、という二段階です。60日の経過だけで成立するわけでも、必ず再可決されるわけでもありません。
予算を参院が修正し、衆院がその修正に同意した場合は、その内容で成立します。一方、参院が予算を否決した場合や、衆院が参院の修正に同意しない場合は、両院協議会で調整します。そこでも意見が一致しなければ、衆院の議決が国会の議決になります。この経路は「必ず30日待つ」という意味ではありません。参院が30日以内に議決しない場合は、それとは別の条件として、衆院の議決が国会の議決になります。二つを同時に満たす必要はありません。制度の概要は衆議院「国会の権限」も説明しています。
なお、参院で法律案が修正された場合は、衆院がその修正に同意して成立する経路もあります。ここで示した再可決は、両院が同じ内容に合意できない場合の経路です。修正案の回付や予算の両院協議会については、国会法83条・85条にも手続が定められています。
ニュースで「あと何日」を読む前の確認順

- 予算そのものか、関連する法律案か。税制改正などの法律案は、予算と関係があっても、予算の30日ルールで一緒に成立するわけではありません。
- 参院が受け取った日はいつか。国会提出日や委員会採決日をそのまま起点にしないようにします。
- 参院は否決したのか、まだ議決していないのか。法律案の再可決、予算の両院協議会、日数ルールのどれを見るかが変わります。
- 国会の休会と会期はどうなっているか。憲法上、日数から除くのは「国会休会中の期間」です。土日を一律に引いて数えず、個別の議案経過と国会の日程を確認します。
- 成立と施行を分ける。法律が成立しても、家計に関わる制度がその日に始まるとは限りません。附則などの施行日も確認します。
たとえば、予算が成立しても、同時に審議されている税率変更の法律案まで自動成立するとは読めません。予算と法律案を別々に追い、法律案なら「両院で可決したか」「再可決で成立したか」、成立後は「いつ施行するか」を確かめます。成立・公布・施行の区別は内閣法制局「法律ができるまで」が説明しています。
提出から委員会・本会議までの流れを先に確認したい場合は、国会で法律案が審議される手続の解説もあわせてご覧ください。
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