イオンのスーパー事業はなぜ赤字?中間決算のGMS・SM別に理由を解説【2026】

結論からいうと、イオン全体の中間決算は増収増益でも、食品を扱う全事業が黒字だったわけではありません。2026年3~8月の連結営業利益は1,307億円でした。前年同期比10.7%増で、中間期の過去最高を更新しています。一方、報告セグメントではSMとGMSが営業赤字でした。SMは約1.8億円、GMS(総合スーパー)は約126.3億円の赤字です。

ポイントは、イオンの「スーパー関連」を一つの事業として見ないことです。会社資料の分類では、スーパーマーケット(SM)、GMS、ディスカウントストア(DS)は別々の事業です。赤字の規模も、背景も異なります。

イオン中間決算の全体とスーパー関連3事業

対象は2027年2月期の中間期、2026年3月1日~8月31日です。イオンの10月13日公表資料では、営業収益は5兆9,041億円(前年同期比13.8%増)でした。また、営業利益は1,307億円(同10.7%増)です。どちらも中間期として過去最高でした。

事業区分 中間期の営業利益 前年同期からの増減
スーパーマーケット事業(SM) 約1.8億円の赤字 約130.6億円悪化
GMS事業(総合スーパー) 約126.3億円の赤字 約124.1億円悪化
ディスカウントストア事業(DS) 約4.6億円の黒字 約32.4億円悪化

表の事業別損益は会社公表値を億円単位で小数第1位に四捨五入しています。また、SMとGMSは別の報告セグメントです。「イオンのスーパー全部が赤字」とまとめると実態を誤ります。なお、各セグメントの数字は個別店舗の損益そのものではありません。

スーパーマーケット事業が赤字になった理由

SM事業は前年同期から約130.6億円悪化し、今中間期は約1.8億円の営業赤字でした。一方、イオンの要因分析は食品小売事業全体を対象にしています。前年の政府備蓄米の影響などによる「コメ特需」の反動、物価高を背景にした節約志向、価格政策や販促施策の課題が挙がっています。これらをSM事業だけの要因と読み替えないよう注意が必要です。

前の期に米の需要が一時的に高まった反動で、前年と同じ売上・利益を確保しにくくなりました。さらに、家計が価格に敏感になるなかで、値下げや販促の組み合わせも利益を左右します。会社資料では、U.S.M.Hについても再編方針を示しています。対象はマルエツ、カスミ、いなげやなどを傘下に持つ企業です。各社別の運営からグループ最適化へ移るため、本部機能を統合し、資産活用や商品政策の連携も進めるとしています。

ただし、会社は第2四半期以降、価格政策と販促の見直し、生鮮・デリカの価値訴求を進め、荒利益率や来店客数に改善傾向が出たとも説明しています。これは改善の兆しであり、SM事業が黒字に戻ったことを意味するものではありません。

GMS(総合スーパー)の赤字は別の問題

GMS事業の営業損失は、前年同期の約2.3億円から約126.3億円へ拡大しました。総合スーパーは食品のほか、衣料品や住居・余暇商品も扱います。イオンは、食品売上の伸び悩みと天候不順による衣料・住居余暇の苦戦を主因に挙げています。また、説明会資料では食品の価格・販促政策の見直し、衣料・住居余暇の販売回復を下期の課題としています。

そのため、「スーパー事業が赤字」という見出しだけでは、SMとGMSの違いが見えにくくなります。SMは食品小売事業全体の要因分析を参考に、コメ特需の反動や価格・販促面の課題を確認できます。一方、GMSの説明では、食品の伸び悩みと天候による衣料・住居余暇の不振が主因として挙げられています。

スーパーが苦戦してもイオン全体が増益だったのはなぜ?

一方、イオン全体では他事業が利益を押し上げました。ヘルス&ウエルネス事業の営業利益は596.9億円で、前年同期から369.8億円増えています。この増益にはツルハホールディングスの連結効果が含まれます。そのため、既存事業だけの伸びとは区別して見る必要があります。決算説明資料の同規模比較では、ツルハグループ実績と連結調整を除いた営業利益は333億円、前年同期比30.0%増でした。

ディベロッパー・エンターテイメント事業も営業利益542億円でした。前年同期から132億円増えています。つまり、スーパー関連の損失を他の成長事業の増益が上回りました。その結果、連結全体では営業増益です。「会社全体の最高益」と「近所のスーパーの採算」は別の数字です。

中間期は過去最高でも、直近3か月は減益?

2027年2月期の中間期(2026年3〜8月)で、イオン連結の営業利益は1,307億円、前年同期比10.7%増でした。一方、第2四半期にあたる6〜8月だけをみると、中間期累計から第1四半期(3〜5月)を差し引いた概算は約555億円です。前年同期も同じ計算で約619億円となり、約1割減ります。

この約555億円・約619億円は会社が公表した単独四半期の値ではなく、決算説明会資料にある累計値から当サイトが計算した概算です。上期累計の過去最高益だけでは直近の変化が見えにくいため、累計と単独期間を分けて確認しました。連結全体の四半期損益は、SM・GMS各セグメントの赤字額とは別の指標です。

出典:イオン 2027年2月期第1四半期決算説明会資料(2026年7月10日)/イオン 2027年2月期中間期決算説明会資料(2026年10月13日)

今後は食品小売の立て直しが焦点

イオンは通期の営業利益予想を3,400億円に据え置きました。中間期の進捗率は38.4%です。また、下期はトップバリュの拡販、販促の見直し、生鮮・デリカの強化、経費構造改革を掲げています。実施の効果は、今後の月次営業概況や次回決算で確認が必要です。

今回の決算だけで、近くの店舗が閉店すると判断することはできません。店舗の閉店情報は店や運営会社ごとの発表を確認してください。U.S.M.Hの約100店閉店方針について、対象店舗や確認方法はこちらの記事で整理しています。なお、U.S.M.Hの再編方針と、イオン全体の決算セグメントは同じ話ではありません。

よくある質問

イオンは中間決算で赤字だったのですか?

いいえ。2026年3~8月のイオン連結営業利益は1,307億円で、前年同期比10.7%増でした。一方、SM事業とGMS事業はそれぞれ営業赤字でした。

食品スーパーとイオンの総合スーパーは同じ事業ですか?

決算上は別です。イオンの資料ではスーパーマーケット事業(SM)、GMS事業、ディスカウントストア事業(DS)に区分されています。

スーパーの赤字で、すぐに店舗が閉店しますか?

決算のセグメント赤字だけでは、個別店舗の閉店は分かりません。店舗名や時期が公表されたか、運営会社の公式発表で確認してください。

出典・確認日

確認日:2026年10月16日。決算期間は2026年3月1日~8月31日です。記事中の事業別損益はイオンの報告セグメント値で、個別店舗の業績を示すものではありません。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: