「103万円の壁」は、これまで多くの働く人々にとって重要な基準となっていました。しかし、2025年度の税制改正により、この壁が廃止され、収入基準が大きく引き上げられることが決定しました。本記事では、**「103万円の壁廃止」**について詳しく解説し、改正の背景やメリット、注意点についてわかりやすく説明します。
103万円の壁とは？
103万円の壁とは、日本の所得税制度における給与収入の基準を指します。具体的には、年間の給与収入が103万円以下であれば、所得税が発生しない仕組みです。この基準には以下の2つの控除が含まれています。
- 基礎控除：38万円
- 給与所得控除：55万円
この2つの控除を合計すると、給与収入103万円以下であれば課税所得がゼロになるため、所得税がかからなくなります。
一方、103万円を超えると、少額でも所得税が発生することに加え、扶養者控除の対象から外れるため、家計に影響が及ぶことがあります。
2025年度から「103万円の壁」が廃止！新基準は123万円に
2025年度の税制改正により、「103万円の壁」は廃止され、新たに123万円の基準が設定されることになりました。この変更は以下のように行われます。
- 基礎控除：48万円に引き上げ（現行38万円から10万円増）
- 給与所得控除：65万円に引き上げ（現行55万円から10万円増）
これにより、給与収入が123万円以下であれば課税所得がゼロとなり、所得税がかからなくなります。
改正の背景
「103万円の壁廃止」の背景には、働き方改革や労働力不足の解消という社会的な課題があります。
1. 働き方の自由度を高める
これまで、多くのパートタイマーやアルバイトの方が「103万円以下」に収入を抑えるため、働く時間を制限していました。これが働く意欲を削ぐ要因となり、労働市場全体の効率を低下させていたと指摘されています。
2. 少子高齢化による労働力不足
少子高齢化が進む日本では、労働力の確保が急務です。「103万円の壁廃止」により、より多くの人がフルタイムで働ける環境を整えることで、労働力不足を補おうとする狙いがあります。
3. 女性や高齢者の活躍推進
特に、女性や高齢者が短時間労働にとどまらず、より多くの収入を得られるようになることが期待されています。
「103万円の壁廃止」のメリット
1. 働き方の選択肢が広がる
「103万円の壁」が廃止されることで、パートやアルバイトをする方が収入を気にせず働けるようになります。特に、家計を支えるために働く主婦や学生にとって大きなメリットとなります。
2. 手取り収入の増加
基準が引き上げられることで、より多くの収入を得ても所得税が発生しにくくなり、手取り額が増加します。
3. 扶養控除の影響が軽減
103万円を超えると、扶養控除がなくなり扶養者にかかる税負担が増える仕組みでした。しかし、新基準では123万円までは扶養控除の適用が可能です。
注意点：「106万円の壁」「130万円の壁」は残る
「103万円の壁」が廃止される一方で、社会保険の加入基準である106万円の壁や130万円の壁は依然として残ります。これらの基準を超えると、健康保険や厚生年金に加入する必要があり、社会保険料の負担が増加します。
1. 106万円の壁
週の労働時間が20時間以上で、年収が106万円を超える場合、社会保険に加入する義務が発生します。これにより、手取り収入が減少する可能性があります。
2. 130万円の壁
扶養控除の対象者として扱われるためには、年間収入を130万円以下に抑える必要があります。これを超えると、扶養から外れ、社会保険料を自分で負担することになります。
学生への影響：「特定扶養控除」の要件引き上げ
今回の税制改正では、大学生などを扶養する家庭に対する支援として、「特定扶養控除」の年収要件が103万円から150万円に引き上げられます。
これにより、学生がアルバイトで得られる収入が増えても、扶養控除が適用されやすくなり、親の税負担が軽減される効果が期待されています。
まとめ：103万円の壁廃止で変わる働き方
2025年度からの「103万円の壁廃止」は、多くの働く人々にとって大きな転機となるでしょう。新基準の導入により、これまで以上に自由な働き方が可能になります。ただし、「106万円の壁」や「130万円の壁」といった別の基準も考慮しながら、収入を計画的に管理することが重要です。
**「103万円の壁廃止」**がもたらすメリットを最大限活用し、自分らしい働き方を見つけてみてください。
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