玉木雄一郎 国民民主党 定例記者会見 2025年4月1日

「減税すれば楽になる」なんて、それは幻想かもしれない。
物価高にあえぐ中、ガソリン税や消費税の減税が叫ばれている。でも、制度の“つぎはぎ”を続けたまま、税だけ下げても意味はあるのか? 本記事では、今の暮らしを圧迫している「制度の構造」そのものに焦点を当て、再設計という選択肢を提示する。増税/減税の二元論にモヤモヤしていた人こそ、読んでほしい。

届いている。
実際、会見でも玉木代表はこう語っている。

「地方を回っていると、“ガソリンなんとかしてくれ”という声を103万円の壁より多く聞く」

生活そのものを脅かすインフラコストの高騰。それを「国民の努力」で乗り越えろ、というのはあまりにも乱暴ではないだろうか?

このままでは、“車を動かすことを諦める”世帯が増えるだろう。それは買い物をやめることであり、仕事を辞めることであり、地方経済の縮小であり、地域社会の衰退である。

第2章

実は“二重課税”!? ガソリン税と“暫定税率”のしくみを解説

「なんでこんなに高いの?」
ガソリンスタンドでつい口をついて出るこの疑問。実は、答えは明確だ。

ガソリンには税金が“二重に”かかっているからである。
しかもその仕組みは、知れば知るほど「なんでまだこんなことが続いてるの?」と感じる、不思議な構造なのだ。


■ ガソリン1リットル=税金いくら?

まず、ざっくりいこう。
ガソリン価格の内訳は以下の通り:

  • ガソリン本体価格:約90〜100円
  • ガソリン税:53.8円(内訳:本則税28.7円+暫定税率25.1円)
  • 地球温暖化対策税:0.76円
  • 消費税:約16〜18円(※価格により変動)

はい、ここで気づいた方。
ガソリン税にさらに消費税がかかっている
つまり、税金に対してまた税金がかかっている「二重課税」状態なのだ。


■ “暫定”のはずが40年以上継続中…

ここで出てくる「暫定税率」という言葉。聞いたことはあるけれど、深く考えたことがないという人も多いだろう。

この暫定税率、実は1974年のオイルショックを機に導入された“時限的”な増税措置。つまり「とりあえず今だけ上げさせてね」という話だった。が、これが2025年現在も続いている
一時的なもののはずが、完全に“固定化”されてしまったのだ。

しかも名前はずっと「暫定」。もはや**“暫定詐欺”**と言いたくなるほどだ。


■ 暫定税率の実態=25.1円の“隠れ税”

今、1リットルあたりのガソリン税のうち、約半分がこの“暫定”部分
これがなければ、少なくとも25円は安くなる。
仮に現在180円のガソリンが155円になるとしたらどうだろう?

地方では「明日からまた車出せる」と歓喜する人が続出するだろう。
配送業者にとっても死活問題であり、**ガソリン代は“インフラの血液”**とも言える。


■ 暫定税率の“言い訳”とその終焉

よく言われるのが「この税金は道路整備に使われている」というもの。
が、すでにその名目も実態も崩れている。

現在、この税収は一般財源化されており、必ずしも道路に使われるとは限らない。
つまり「もう一生、上乗せしていいよね?」と国家が言ってるようなものだ。


■ 野党は本気?与党は動く気ある?

実はこの“暫定税率廃止”は、国民民主党がずっと訴えてきた政策だ。
最近では立憲民主党や日本維新の会も声を上げ、野党共闘の動きも出始めた。

しかし与党である自民・公明の本気度は微妙。
「時限措置を見直す必要はあるが、タイミングが重要」など、玉虫色のコメントに終始している。


■ ガソリン価格=“民意”で下げられるのか?

今こそ問われているのは、「暫定税率」を“国民の声で終わらせられるか”だ。

国民民主党の玉木代表も強調するように、この問題は生活に直結する切実なテーマ。
一部の人ではなく、ほぼすべての国民が当事者だ。

にもかかわらず、政策の優先順位は下がりがち。
だからこそ、“国民の声”が可視化されることでしか、政治は動かない。


ガソリン価格を下げる“鍵”は、暫定税率の撤廃にある。
そしてその撤廃は、国民の関心と声がなければ動かない
今、この“暫定詐欺”に終止符を打つ時なのだ。

第3章

“ただの節約術”では追いつかない

ガソリン高騰がもたらす「生活全体の値上げ連鎖」

「最近、なんでもかんでも高くなってない?」
そう思ったあなた。気のせいではありません。
しかもその“物価上昇の起点”にあるのが、ガソリン価格なのです。


■ ガソリン価格は“生活コストの起爆剤”

まず考えてみてください。
私たちの暮らしは、ガソリンを使うトラックや配送網に支えられています。

  • スーパーの商品:トラックで運ばれてくる
  • 宅配便:ガソリンで走るバンが届ける
  • 農作物:耕運機や運搬機器はすべて燃料で動く
  • バス・タクシー:ガソリン・軽油が必須

つまり、ガソリンが高くなると、生活のあらゆる物とサービスの価格が連鎖的に上がるのです。


■ 「また値上げか…」の裏に、燃料費あり

例えば、牛乳1本の値上げ。
理由をよく見ると「原材料費・配送コストの高騰のため」と書かれている。
これ、つまりはガソリン代が上がってるからです。

ピザの宅配、アマゾンの送料、タクシー料金、果ては美容室の料金まで。
「ガソリン=血液」と例えるなら、その血液がドロドロになった状態が、今の日本経済なのです。


■ 節約では限界。車が生活の“命綱”な人たち

特に、地方や郊外に住んでいる人にとって、車は「生活の足」どころか「命綱」です。

  • 通勤:電車がない、バスは1時間に1本。車しか選択肢がない
  • 買い物:近所にスーパーがない。車で片道20分
  • 通院:高齢者の送迎も自家用車頼み

こうした生活を送る人々にとって、ガソリンの価格は家計の心臓に直結しています。
10円上がるだけでも、月数千円〜1万円以上の支出増になるケースも。


■ 企業も悲鳴。物流コスト=商品価格へ転嫁

さらに、企業も苦しんでいます。
配送業、農業、建設業、観光バス、タクシー、全てがガソリン依存。
コストが跳ね上がれば、商品価格に反映するしかない。

たとえば:

  • トマト1個→+10円
  • 引っ越し費用→+5,000円
  • 牛乳→+15円
  • Amazonの“送料無料”→実質値上げ

個人が節約しても、全体が値上げの波に飲まれている限り、逃げ場はないのです。


■ だからこそ、“構造”から変えなければ意味がない

「なるべく運転控えよう」
「エンジンのアイドリングを減らそう」
「カーシェアに切り替えよう」

もちろん、これらは素晴らしい心がけです。
でも、どれも**“一時しのぎ”でしかありません。**

  • 一度値上がりしたモノは、なかなか下がらない
  • ガソリン高騰が続けば、値上げが定着する
  • 定着すれば、それが「新しい価格帯」になる

つまり、ガソリン税の構造を見直さない限り、物価高は常態化するということ。


■ 生活防衛は、節約ではなく「制度改革」でこそ実現する

いま、必要なのは根本治療です。
その1つが、ガソリン税(特に暫定税率)の廃止。
これは「車を使う人のため」だけの政策ではありません。

  • 物価上昇を抑える
  • 地方の移動インフラを守る
  • 企業のコストを下げて雇用を守る
  • 若者や子育て世代の家計を救う

これほど幅広く、そして現実的な対策は他にないかもしれません。


ガソリン価格は、あなたの財布だけでなく、日本全体の“呼吸器”を締めつけている
今こそ「節約」ではなく「仕組み」を問い直す時です。

第4章

“エコ”と“節約”のジレンマ

EVシフトとガソリン税の、すれ違う現実

近年、国も企業も「EVシフト(電気自動車化)」を叫んでいます。
カーボンニュートラル。脱炭素。ゼロエミッション。
一見、地球に優しい未来に向かっているように思えます。

…でも、あなたの財布には優しくなっていますか?


■ EVシフトは「ガソリン離れ」を促す、はずだった

本来の流れはこうです:

  1. 地球温暖化を止めるため、ガソリン車を減らす
  2. EV(電気自動車)への買い替えを促進
  3. 二酸化炭素の排出量が減り、地球が救われる
  4. 同時にガソリンの使用量も減るので、税収も下がる

ここまでは理想的な話。


■ でも、現実にはEVなんて買えない

ところが――
EVは高い。インフラは足りない。充電に時間がかかる。地方には向かない。
つまり**「EVは欲しいけど、無理」**という人が大多数なのです。

例えば:

  • トヨタ bZ4X:約600万円
  • ホンダ e:約450万円
  • テスラ モデル3:約550万円〜

中古でも200万円以上はザラ。しかも充電設備が自宅にない人は…そもそも対象外。

庶民の足元には、EVはまだ遠すぎる。


■ EVに乗れない人に“罰金”のようなガソリン税

ここで不思議な矛盾が起こります。
「EV買えない」=「ガソリン車を使い続ける」

「ガソリン車を使い続ける」=「高額な税金を払い続ける」

結局、環境より生活がしんどい。

本来、環境に配慮した行動に対してはインセンティブがあるべき。
けれど現状は、EVが買えない人に**“罰金のような税金”**を課している構図。


■ ガソリン税の中に隠れる“謎の二重取り”

ガソリン1リットルあたり、どれだけ税金がかかっているかご存知ですか?
実はこんなにかかっています:

  • ガソリン税:28.7円
  • 地方揮発油税:5.2円
  • 暫定税率(本来一時的なもの):25.1円
  • 消費税:10%(なんと税金にも税金がかかってる!)

合計すると、1リットルあたり70円超が税金なんです。
しかも、そのうち25.1円は「本来もう終わってるはずの」暫定税率。

まるで“解約し忘れたサブスク料金”のように、ずっと払い続けているのです。


■ 環境対策は必要。でも、「負担の公平性」が抜けてる

もちろん、脱炭素や温暖化対策は必要です。
でも、それを推進するならこうであるべきでは?

  • EV車への補助だけでなく、「今使っているガソリン車の負担軽減」も同時に考える
  • 地方や低所得層への代替交通手段の整備
  • 税負担が偏らないような、再分配設計の見直し

つまり、「エコ」の名の下で一部の人にだけ負担が集中するのは、制度の歪みです。


■ “エコ”に協力したくても、生活が持たないなら無意味

EVに乗れず、ガソリン車で仕事や通勤をする人たちが、税で苦しんでいる今
それはもう、「環境問題」ではなく「生活権の問題」です。

人は余裕があるときにこそ、環境を意識できます。
まずは、「普通の人が普通に生活できる経済環境」を整えることが、
結果的に“持続可能な社会”につながるのではないでしょうか。


生活に余裕がない社会では、エコもSDGsも絵に描いた餅になる。
その現実を見て、まず“生活に直結する税金”から見直す必要があるのです。

第5章

「103万の壁」ならぬ「ガソリンの壁」

家計を直撃する“燃料インフレ”の見えない障壁

「103万円の壁」は耳なじみがあるかもしれません。
扶養控除や社会保険料の制度上、ある年収を超えると手取りが減る“逆転現象”。

でも今、もう一つの“壁”が国民を苦しめています。

それが――
**ガソリン価格という“生活の壁”**です。


■ ガソリンの値段が「ライフプラン」を壊している

「ガソリン高くて通勤きついから、バイト日数減らそうかな…」
「実家の介護、週2に減らさないとガソリン代が持たない」
「子どもの送迎、タクシーじゃなくてもう自転車で…」

これは極端な例ではなく、いま地方や郊外に住む人たちのリアルな声です。


■ 交通インフラが“ある前提”で税金が作られている

都市部では電車・地下鉄・バスが通っていて、「マイカーなし」でも生活可能。
でも地方では、車が**“足”どころか“命綱”**です。

  • 通勤も
  • 買い物も
  • 病院も
  • 子どもの送り迎えも

すべてがガソリンを必要とします。

ガソリン価格の上昇=日常生活の破綻

その現実に、都市部の政治は気づいていない、または見て見ぬふりをしている――。


■ ガソリン代が“第2の税”になっている

今やガソリンは「課税商品」というより、生活費の一部です。

しかしその中に、

  • ガソリン税
  • 消費税(税に税をかける構図)
  • 暫定税率(継続中)
  • 二酸化炭素排出量に応じた“環境負荷”コスト

これだけの“名目”が重ねられています。

ここまでくると、もはや“納税”というより**“懲罰”**に近い。
使わざるを得ない人ほど罰を受ける。そんな構造になっているのです。


■ なぜ「ガソリン税の廃止」は実現しないのか?

その理由の一つが、財源です。

「廃止したら、税収が減る」
「道路整備に使うお金が足りなくなる」
「環境対策の資金が…」

でも、よく考えてください。
その“道路”を一番使う人たちが、今苦しんでいるんです。

国民民主党はこの点に切り込もうと、暫定税率の廃止を掲げています。
一方、他の政党の多くは「検討します」「持ち帰ります」と歯切れが悪い。

要するに、“誰が得するか”ではなく“誰が困っているか”が見えない議論になっているのです。


■ “壁”は物理的じゃない。制度が作っている。

103万円の壁も、ガソリンの壁も。
それらは目に見えません。でも確実に人々の行動を制限します。

  • フルタイムで働くことをあきらめる
  • 移動を控えることで、経済活動も停滞
  • 家庭内で無理な節約を強いられる

すべて、見えない“制度の壁”のせいです。


■ 「壁」は壊せる。“構造の見直し”こそが鍵

壁は人間が作ったもの。ならば、人間の意思で壊すこともできる

  • EV化を進めるなら、ガソリン税を段階的に減らす
  • インフラ整備のための新たな税体系を再設計する
  • 「生活者視点」で制度をゼロベースで考える

この柔軟性こそが、本来の政治に求められているものなのです。


「ガソリンは生活必需品」――その視点に立った政治を。

それが“ガソリンの壁”を取り払う第一歩になるはずです。

第6章

「生活から始める税制」

増税・減税よりも、“再設計”という選択肢

ここまで読んでくださったあなたは、こう感じたかもしれません。

「もう、減税とか増税とかの二択じゃ、話にならないんじゃないか?」

まさにその通り。
私たちがいま必要としているのは、増やす/減らすという“操作”ではなく、“設計し直す”という発想です。


■ 日本の税制は「積み重ねの遺産」

現在の税制度は、まるで「昭和の住宅を増改築し続けたボロ屋敷」。

  • 所得税の控除制度
  • 消費税の軽減税率
  • ガソリン税と暫定税率
  • 年金・介護・医療に連動する社会保険料
  • 扶養控除や103万円・130万円の壁

それぞれは「時代のニーズ」に応じて作られたかもしれません。
でも、**全体として合理的か?**と問えば――答えはNO。

もはや「誰が得で誰が損かすらわからない複雑怪奇な迷路」です。


■ 減税=正義、増税=悪、ではない

ここに落とし穴があります。
「減税すればいい」という単純な話ではありません。

  • 減税したら誰が得をするのか?
  • 財源が減ったら、どこで穴埋めするのか?
  • 減税によりサービスが減れば、結果的に誰が一番困るのか?

大切なのは、“何のための税か?”という根本に立ち返ること。


■ 生活の現場から制度を組み立て直す

たとえば――

  • 通勤・通学・通院に車が不可欠な地方では、燃料税を減免
  • 子育て世代には「所得の多寡」ではなく「支出の多寡」で支援
  • 教育無償化は「未来への投資」として財源を国債で手当て
  • 単身高齢者には医療・介護費だけでなく「移動手段」への支援も必要

これは机上の空論じゃない
毎日の生活の中で、誰もが感じている「おかしさ」から生まれる現実的な発想です。


■ 再設計のために必要な「共通言語」

制度を変えるには、合意が必要です。
合意を得るには、「わかりやすい言葉」が不可欠。

  • 所得控除? →「生活に使えるお金の量」
  • 税額控除? →「払わなくて済む金額」
  • 暫定税率? →「昔つけたオマケ税金が今も続いてること」
  • 軽減税率? →「“本当に困ってる人”のためじゃなく“制度上の都合”のもの」

専門用語のまま議論しても、誰もついていけません。
まずは「生活の言葉」で話す。そこがスタートラインです。


■ 「制度を知らないと損する社会」からの脱却を

現在の日本は、「制度を知ってる人」だけが得をして、「知らない人」が取り残される仕組みです。
そのギャップは、情報格差を生み、最終的に**“制度不信”**へとつながっていきます。

私たちが目指すべきは――
「誰もが理解でき、実感でき、納得できる」制度。

  • 手取りが増えるってどういうこと?
  • 自分が払ってる税金は何に使われてる?
  • どの支援が、自分の暮らしに効いてくる?

これを「当たり前」に理解できる社会こそ、持続可能な未来への土台です。


■ 再設計は、一人ひとりの声から始まる

政治家の発言、党の公約、国の制度改正――
その前に、まずあなたの暮らしがあります。

「なんかおかしい」と思ったら、その感覚が最初の突破口です。

“制度は生活のためにある”という原則を、もう一度社会の中心に据え直す。
それこそが、増税でも減税でもない、“再設計”という新しい選択肢です。


【最後に】

物価高、税負担、制度の壁――
日々の生活に押し寄せる見えない「圧力」を、無理に耐える必要はありません。

私たちは「文句を言うために選挙に行く」のではなく、
「暮らしを変えるために選ぶ」時代に入ったのです。

その第一歩は、制度に「自分ごと」として関心を持つこと。

あなたの一票、あなたの一声が、
この「再設計」の未来を動かします。


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