結論:厚生労働省が9月30日に公表した2025年度の介護給付費等実態統計では、介護予防サービスと介護サービスを合わせた費用額累計が12兆2,208億円となり、前年度から2,827億円(2.4%)増えました。年間実受給者数は685万1,600人です。
この「費用額」は、介護保険からの給付だけでなく、公費負担と利用者負担を合わせた集計です。数字が過去最大になったからといって、すべての利用者の自己負担が同じ割合で増えたことや、利用者負担の2割対象が直ちに広がることを意味しません。この記事では、統計で確認できる事実と、2027年度に向けて議論中の制度変更を分けて整理します。
確認日時:2026年10月1日6時18分(日本時間)。調査窓:直近24時間・7日・30日。Yahoo! JAPANのコメント数は関心シグナルとしてのみ使用し、世論全体、事実、政策効果の根拠にはしていません。
2025年度の介護費用は12兆2,208億円
厚労省の統計でいう費用額累計は、2025年5月審査分から2026年4月審査分までの合計です。金額は12兆2,208億円で、2024年度の11兆9,381億円から2,827億円増えました。
ここでの「費用額」は、審査月に原審査で決定された保険給付額、公費負担額、利用者負担額の合計です。市区町村が直接支払う償還払いの費用は含まれません。したがって、家計が窓口で支払った額だけを示す統計ではありません。
費用額は給付・公費・利用者負担の合計
介護保険サービスの利用者負担は、原則1割で、一定以上所得がある人は2割または3割です。施設を利用する場合は、居住費、食費、日常生活費が別にかかる場合があります。
このため、統計の12兆2,208億円をそのまま「国民の自己負担」と読むことはできません。給付と公費、利用者負担のどこがどれだけ増えたかは、費用額全体とは別の資料で確認する必要があります。
年間実受給者は685万1,600人、前年比1.4%増
年間実受給者数は、2025年4月から2026年3月までの1年間に、一度でも介護予防サービスまたは介護サービスを利用した人の数です。同じ人が複数回利用しても1人として数えます。
内訳は、介護予防サービスが136万1,200人で前年度比4.4%増、介護サービスが577万9,500人で同0.8%増でした。両方を利用した人は、それぞれの区分で計上されるため、単純合算して「実人数」とみなすことはできません。
介護サービスが11兆8,806億円、予防は3,402億円
費用額累計のうち、要介護認定を受けた人が利用する介護サービスは11兆8,806億円で、前年度から2,628億円(2.3%)増えました。要支援者向けの介護予防サービスは3,402億円で、同199億円(6.2%)増えています。
伸び率だけを見ると介護予防の方が大きいものの、金額の規模は介護サービスの方が大きくなっています。割合と総額を分けて見ることが、統計の読み違いを防ぎます。
訪問介護は1兆2,820億円、サービス別に差がある
介護サービスの内訳では、訪問介護が1兆2,820億円、通所介護が1兆3,616億円、福祉用具貸与が4,087億円でした。訪問看護は4,354億円で、前年度比7.1%増と伸びています。
この数字はサービスの価格表ではなく、利用されたサービスの費用を年度で合計したものです。利用者数、利用回数、要介護度、加算などが影響するため、費用額の増減だけで単価や職員の待遇を断定することはできません。
費用が増えたことと、自己負担が同率で増えたことは別
費用額の増加には、サービスを利用する人の数、利用回数、要介護度、サービスの組み合わせなどが関わります。個人の負担額は、利用したサービス量と所得区分、負担割合、高額介護サービス費などの軽減措置によって変わります。
したがって「介護費用が2.4%増えたので、全員の介護保険料や自己負担が2.4%増える」とは言えません。保険料は市町村の計画や所得段階、制度全体の財源など別の仕組みで決まります。
2割負担の対象拡大は、まだ決まっていない
厚労省の案内では、介護サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上所得者は2割または3割です。2割負担となる「一定以上所得」の範囲を見直す議論は続いていますが、2026年10月1日時点で具体的な対象範囲が決まったわけではありません。
厚労相は2025年12月の会見で、2027年度から始まる第10期介護保険事業計画期間の前までに結論を得る方針を示し、年内に決めず調整を続ける理由として、審議会などの意見を反映する必要を挙げました。現時点で「来月から2割になる」と読む根拠はありません。
9月30日の審議会は2027年度改定の基本視点案を提示
9月30日の社会保障審議会介護給付費分科会では、2027年度介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」が示されました。65歳以上人口のピーク、85歳以上人口の増加、地域ごとの需要差、介護人材の確保、物価・賃金上昇、給付と負担の持続可能性が論点です。
資料では、2025年度介護事業経営概況調査で全サービスの赤字事業者割合が約4割とされています。これは事業者の経営状況を示す資料であり、利用者負担の引き上げが決まったという意味ではありません。審議会資料の「案」と法令や決定事項を区別して読む必要があります。
地域によってサービス需要と供給の課題が違う
分科会資料は、地域によって高齢化や人口減少の進み方が異なり、介護サービスの需要も増える地域と減る地域が生じるとしています。中山間地域や人口減少地域では、介護人材の確保や事業所の維持が課題になります。
全国の費用額が増えても、すべての自治体で同じようにサービスが増えるとは限りません。住んでいる地域の介護保険事業計画、地域包括支援センター、事業所の提供状況を確認することが、家族の介護を考える際には重要です。
読者が確認するのは「費用額」と「自分の負担」を分けること
今回の統計から確認できるのは、2025年度に審査されたサービスの費用額と受給者数です。確認できないのは、個々の世帯の負担額、2027年度の2割負担の対象範囲、将来の保険料やサービス価格です。
介護に関するニュースを読むときは、①対象期間、②費用額に何が含まれるか、③法令・決定事項か審議中の案か、④自分の自治体で使えるサービスは何か、の順に確認します。これなら、過去最大という大きな数字を、自己負担の確定情報と取り違えずに済みます。
出典・候補比較・確認時点
- 厚生労働省「令和7(2025)年度 介護給付費等実態統計の概況」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/25/index.html
- 厚生労働省「令和7年度 介護給付費等実態統計 結果のポイント」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/25/dl/10.pdf
- 厚生労働省「費用額の状況」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/25/dl/03.pdf
- 厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会」:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
- 厚生労働省「第268回 令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001753962.pdf
- 厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会」:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料」:https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書」:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/html/zenbun/s2_2_2.html
- 共同通信配信「介護費用、12兆2千億円」:https://news.livedoor.com/article/detail/32451642/
- Yahoo! JAPAN「25年度の介護費用 高齢化で最大に」:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6597098(確認時コメント1,002件。記事本文の転載・要約には使用していません)
候補比較:国内「麻生氏 土地3カ所の資産報告せず」は3,692件でしたが、個別事案の一次資料突合に時間を要し、事実確定の範囲が狭いと判断しました。IT「生成AI動画巡り 声優の請求棄却」は1,072件でしたが、判決全文などの一次資料を確認できる範囲が限定的でした。経済「年収300万円上限に給付」は806件、IT「セコマ個人情報漏えい」は85件で閾値未満、科学欄には1,000件以上の候補を確認できませんでした。経済「飲食料品値上げ」は既公開記事と重複します。介護統計は1,002件で閾値を満たし、厚労省統計、審議会資料、独立報道を直近24時間の資料で照合でき、生活・制度理解への価値が最も高いと判断しました。
確認時点:2026年10月1日6時18分(日本時間)。前回との差分:9月30日21時枠は台風26号の更新を公開。今回、厚労省の新規年次統計と9月30日審議会資料を採用しました。2割負担の対象拡大、保険料、給付額、地域のサービス供給について未決定の事項は断定していません。英語記事・英語テンプレートは使用していません。
